令和4肥料年度秋肥(6~10月)の肥料価格について

掲載日: 2022年05月31日 /提供:JA全農(全国農業協同組合連合会)

令和4肥料年度秋肥(6~10月)の肥料価格について

全国農業協同組合連合会(JA全農)

1.決定内容
肥料原料は、穀物相場の上昇から好調な需要が続くなか、ベラルーシに対する経済制裁、中国の輸出規制、ロシアのウクライナ侵攻により、世界有数の肥料輸出国からの輸出が停滞し、限られた代替ソースに世界中から需要が集中したため、需給がさらにひっ迫するとともに、世界的に原料調達の先行きに対する不安が高まっています。
このような情勢を受け、窒素、りん酸、加里の国際市況は、すべてが史上最高値まで上昇し、今後も高い水準で推移すると見込まれます。また、外国為替相場は、日米の金利差の拡大を受け急激に円安が進行しました。
この結果、令和4肥料年度秋肥(6~10月)価格は、下記のとおり決定しました。

分 類

品 目

成 分
(%)

前期比
(春肥対比)

窒素質

尿素(輸入・大粒)

46

+94%

尿素(国産・細粒)

46

+73%

硫安(粉)

21

+45%

りん酸質

過石

17

+25%

重焼りん

35

+25%

加里質

塩化加里

60

+80%

けい酸加里

20

+36%

複合肥料

高度化成(基準)

15-15-15

+55%

適用開始:令和4年6月から(地域・作物により異なる場合があります)
注1.価格変動率は本会の県JA・経済連向け供給価格ベースであり、JA・農家向け供給価格の変動率とは一致しない
注2.複合肥料は価格指標となる基準銘柄であり、流通上の銘柄とは異なる

2.原料情勢
(1)肥料原料
ア.窒素質肥料の原料であるアンモニアの国際市況は、原油、天然ガス価格を受けて急騰しています。これまでロシアからアンモニアを調達してきた肥料サプライヤーも調達先の切替を行っており、これに伴うコスト上昇は肥料国際市況高騰の一因となっています。
イ.尿素の国際市況は、需要が旺盛な一方、中国の輸出制限の継続やロシアへの経済制裁による輸出停滞などにより、史上最高値圏まで上昇しています。
ウ.りん安の国際市況も、尿素と同様の理由で上昇しており、原料のアンモニア・硫黄価格も上昇を続けていることから、強含みで推移することが見込まれています。
エ.塩化加里の国際市況は、カナダに次ぐ生産国であるロシア、ベラルーシからの供給が滞り、史上最高値圏まで上昇しています。

(2)海上運賃
肥料の輸送に用いる小型船の海運市況は、市況高騰が続くコンテナ船の代替としての引き合いが強い一方、船舶の大型化トレンドによる隻数の減少が要因となり上昇しています。今後の海上運賃は、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、穀物等の輸送距離が延びること、船舶燃料の高騰等により、強含みで推移すると見られています。

(3)外国為替相場
外国為替相場は、日米金融政策の相違を反映した金利差の拡大と、資源高による我が国の経常収支赤字の拡大を背景として急激に円安が進行し、令和4年4~5月は1ドル123円~131円で推移しています。

3.肥料原料の安定確保
国の支援策も活用し、調達困難国(中国、ロシア、ベラルーシ)からの産地の切替や多元化をすすめ、肥料原料の安定確保を確実にすすめます。

bnr_500_tanomu.png 記事下バナー

注目のキーワード

すべてのキーワード

業界

トピックス

地域