
株式会社アクト・ノード(本社:神奈川県相模原市、代表取締役:百津 正樹)は、生物系特定産業技術研究支援センター(生研支援センター)が実施する「令和7年度補正予算 スマート農業技術の開発・供給に関する事業」(研究種目:技術改良・新たな栽培方法の確立の促進)に採択されました。本事業は、生研支援センター(BRAIN)が国から交付される運営費交付金により実施するものです。
■ 採択事業の概要
【採択課題名】「デジタル統合型マルドリ自動潅水システム」の開発と供給
【取り組み概要】
かんきつ生産では、潅水と施肥の判断が収量と品質を大きく左右します。本事業では、環境データと樹体の水ストレス(水ポテンシャル)のデータをもとに、潅水と液肥施肥のタイミングと量を判断して自動で実行するシステムを開発します。これにより「単収の増大と安定化」と「労働時間の削減」の両方を実現し、全国のかんきつ産地への供給を目指します。
■ 開発の背景
愛媛県八幡浜市では、慣行の生産者が3トン未満(いずれも10aあたり)のところ、10年以上にわたって7トン/10aを超える収量を続けている生産者がいます。その秘訣が灌水・施肥です。本事業では、熟練者のノウハウをシステムで補い、マルドリによる収量増を広い地域で再現できるようにします。■ 主な取り組み内容
本事業では、クラウドアプリ「アクト・アップ)」を中心に、「観測系」と「制御系」を一つにまとめた自動潅水システムを作ります。観測系は気象・土壌・樹体を測る仕組み、制御系は潅水コントローラー・貯水タンク・液肥タンクです。システムは次の流れで動きます。・環境を観測する
・樹体を観測する
・データを集計・分析し、最適な条件を判断する
・潅水コントローラーに指示を出す
・潅水を実行する
・実績を記録する
・蓄積したデータを活用する
園地の条件や品種に合わせて設定を変えられるシステムとしてパッケージ化し、3つの開発課題と生産者園地での実証に取り組みます。
1. デジタル統合型マルドリ潅水システムの開発(2026年10月~2028年8月)

環境データをもとに、潅水と液肥施肥のタイミングと量を判断し、自動で実行する統合システムを作ります。
・園地条件に合わせたセンサーの接続(2026年10月~2027年5月)
降雨、温湿度、風速、土壌水分など、最適な潅水に必要な項目を測るセンサーを選びます。選ぶ際は「計測項目」「通信方法」「電力供給」の3点を園地ごとに組み合わせます。アクト・アップはオープンなインターフェースを持ち、これまでに70種類以上のセンサー項目と接続した実績があります。
・潅水コントローラーとクラウドの連携(2026年10月~2027年3月)
クラウドに対応した潅水コントローラーとアクト・アップを連携させます。水源に合わせて潅水設備を構成し、スケジュールに沿った潅水と液肥施肥を自動で行えるようにします。潅水の記録がデータとして残るため、熟練者の潅水ノウハウを蓄積し、共有できるようになります。
・園地ごとの性能評価と改良(2027年5月~2028年8月)
実証園地での運用を通じて性能を評価し、改良を重ねます。
2. 果樹の水ポテンシャルAI測定センサーの開発(2026年10月~2029年3月)
水ポテンシャルは樹体の水ストレスを示す指標です。これを従来より低コストで簡単に測る方法を開発します。現在、精度の高い連続計測にはマイクロテンシオメーターが使われていますが、高価なうえ、設置に専門的な技術が必要です。本事業ではこれを研究時の校正基準として使い、普及版のシステムには次の低コストな計測方法を開発します。
・カメラAI(葉の画像)
葉柄の角度の変化をAIで読み取り、水ストレスを推定します。温州みかんでは、葉柄角度をAIで計測する技術がすでに実装済みで、10分ごとの連続計測ができています。今後は精度をさらに高め、水ポテンシャルとの相関を分析します。
・果実の肥大速度を使った推定AI
固定カメラの画像から果実が大きくなる様子を連続で捉え、水ストレスを推定します。
・樹体音センサー
水ストレスがかかると、樹の中でキャビテーションと呼ばれる現象が起き、音が出ます。ほかのノイズもあるなか、キャビテーションの音を特定し超広帯域の音響センサーで捉えることを目指します。温州みかんでは、この音の発生回数(AE数)を数えられることを確認済みです。今後はノイズを除去し、水ポテンシャルとの相関を分析します。
・エッジデバイスの開発(2026年10月~2027年3月)
画像の処理を園地に置いた機器(エッジデバイス)で行う仕組みを作ります。送るデータの量を減らして処理を速くし、通信環境が限られた園地でも使えるようにします。
・クラウドサービスへの組み込み(2028年7月~2029年3月)
推定した水ストレスのデータをアクト・アップに取り込み、樹の状態の見守りや自動での最適潅水に活かします。これにより、地形や土壌が違う園地でも潅水量を推定しやすくなります。樹のダメージ(ストレスのかけすぎ)を早く見つけられるほか、裂果の抑制や、暑さに強い品種の開発にも応用できる可能性があります。
3. 蓄積データの活用機能の開発(2027年7月~2029年3月)

・最適潅水量の推定ロジックと自動潅水の連携(2026年10月~2029年3月)
環境データに、樹体の水ポテンシャルなどの生体データを組み合わせて分析します。これにより、地形や土壌による違いも区別・判断し、自動化できることを目標にしています。自動化は3段階で進めます。
レベル1:人が判断して設定する
レベル2:システムの判断と人の設定を組み合わせる(ハイブリッド)
レベル3:システムが判断し、自動で設定する 使い続けるほど水ストレス推定の精度が上がり、潅水の最適化性能も向上し続けます。
・データの集計・分析と共有の機能(2027年7月~2029年3月)
デジタルで集計した情報を、生産者の承認のもとで関係者と共有します。
営農指導員・栽培指導員:生育の状況や干ばつの発生を把握し、早めに助言や対策に活かします。
研究機関:さまざまな園地のデータを、生産技術や品種の開発に活用できる可能性が広がります。
販売・流通:作柄の予想や実際の状況を、販売計画や流通計画に活用できる可能性が広がります。
4. 異なる4つの園地での導入実証

開発したシステムを、条件の違う4つの生産者園地に導入し、さまざまな地域や品種に広げられるかを確認します。
1愛媛県八幡浜市(4.4ha):温州みかん・中晩柑段々畑高い収量を実現しているモデル生産者で、温州みかんの最適潅水を再現できるか確認
2愛媛県八幡浜市(5.0ha):温州みかん段々畑1と似た条件で再現できるか確認
3熊本県熊本市(5.5ha):温州みかん段々畑異なる地域・環境で再現できるか確認
4愛媛県松山市:中晩柑(甘平)傾斜地生理的な特性が違う高級品種で最適潅水を確認し、裂果を抑えられるか検証
■ 期待される効果(試算)
増収と作業効率の向上に寄与します。具体的な効果はこちらのブログに公開しています。
■ 供給体制
生産者のタイプごとにパッケージ化したシステムを、地域の販売代理店(施工・メンテナンスを含む)を通じて提供します。当社はクラウドサービスと利用情報を、協力企業はネットワーク、センサー・カメラ・IoT通信機器、潅水機器を提供します。愛媛県と熊本県から始め、全国のかんきつ産地へ代理店網を広げていきます。■ 実施体制
代表機関:株式会社アクト・ノード(システムの開発・統合)共同研究機関: 国立大学法人愛媛大学(果樹の生体センシング技術の開発、植物生理の分析)、国立大学法人埼玉大学(樹体音センサーの開発)
開発・供給支援機関(実証先):愛媛県・熊本県のかんきつ生産者4者
協力機関: 潅水機器メーカー(クラウド潅水コントローラーの提供) 地域の施工・メンテナンス企業2社
契約機関:生物系特定産業技術研究支援センター(生研支援センター)
■ 会社概要
会社名:株式会社アクト・ノード所在地:〒252-0333 神奈川県相模原市南区東大沼4-12-7
設立:2020年1月6日
代表取締役:百津 正樹
URL:https://www.act-node.com/
■ お問い合わせ
メール:info@act-node.com製品・サービスに関するお問い合わせ:https://www.act-node.com/contact/index.html









