大正大学地域構想研究所シンポジウム2026開催報告

掲載日: 2026年10月14日 /提供:学校法人 大正大学

~スマートシュリンク「積極的に取り入れるべき」67.5%。関心は「どう進めるか」へ~


地域構想研究所シンポジウム「賢く縮むまちづくり ~地域で進むスマートシュリンク~」の様子

各ご講演の後、パネルディスカッションにて活発な議論がなされました。
登壇者(敬称略):片山 善博(大正大学地域構想研究所 所長)小峰 隆夫(大正大学地域構想研究所 客員教授)/羽賀 和紀(朝日新聞社 記者)/加治 隼人(朝日新聞社 記者)/濱田 省司(高知県知事)/岡部 克仁(南伊豆町長)/中村 英明(日南町長)

大正大学(学長:神達知純、所在地:東京都豊島区)地域構想研究所は、2026年9月1日(火)、大正大学地域構想研究所シンポジウム2026「賢く縮むまちづくり~地域で進むスマートシュリンク~」を開催しました。
基調講演、全国知事アンケートの調査報告、3自治体の事例紹介、パネルディスカッションを行い、自治体関係者を中心に260名が来場しました(昨年118名)。来場者アンケート(有効回答119件/回収率45.8%)では、スマートシュリンクについて「積極的に取り入れるべき」が67.5%となり、昨年の63.3%とほぼ同水準となりました。自治体の現場では取り組みが実際に動き始めており、関心は概念の理解から「どう進めるか」へ移りつつある様子がみられました。

シンポジウムの概要
〇基調講演:人口減少時代の日本経済・地域
〇調査報告:「8がけ化」する社会 ~全国知事アンケートから見えたもの~
〇事例紹介1 高知県 高知県の挑戦~人口減少社会に挑み、「賢く縮む」4Sプロジェクト~
〇事例紹介2 南伊豆町 入間地区の漁業集落排水事業の転換について
〇事例紹介3 日南町 中山間地域のモデルを創る“創造的過疎”のまちづくり
〇パネルディスカッション

シンポジウムの詳細報告は、HP にて
・URL : https://chikouken.org/topics/news/18677/

▼開催総括(大正大学地域構想研究所 所長 片山善博)
スマートシュリンクとは、人口減少が続く中でも、地域に必要な社会機能を維持し、住民のウェルビーイングを守るための取り組みです。今回のシンポジウムは、公共施設の統廃合や財政縮小といった限定的な捉え方ではなく、その本来の意義を共有することも目的として開催しました。
高知県の濱田省司知事、静岡県南伊豆町の岡部克仁町長、鳥取県日南町の中村英明町長からは、それぞれの地域で進めている具体的な取り組みをご紹介いただきました。いずれも実践に基づくものであり、住民との合意形成に向けた苦労や課題も含め、これから取り組む自治体にとって多くの示唆を含む内容でした。
また、小峰隆夫客員教授の基調講演では、人口問題や経済学の観点からデータに基づいてスマートシュリンクの必要性が示されました。朝日新聞社の羽賀和紀氏、加治隼人氏からは、「8がけ化」する社会に関する全国知事アンケートの結果が報告され、自治体が人口減少をどのように受け止めているのかについても共有されました。
今回のシンポジウムを通じて、スマートシュリンクは、単に「縮小する」ことではなく、限られた人材や財源の中で、何を地域に残し、どのような暮らしを守るのかを住民とともに考える取り組みです。今回得られた知見が、それぞれの地域に応じた主体的な取り組みにつながることを期待しています。

▼来場者アンケートより
調査対象 2026年9月1日開催の本シンポジウム来場者
調査方法 会場での配布回収(紙)およびWEB回答(QRコードによるGoogleフォーム)
調査期間 2026年9月1日~9月3日
回収状況 来場者260名/有効回答119件(回収率45.8%) ※昨年:118名/52件/回収率44.0%
回答者の構成 都道府県庁(議員・国関係機関を含む)37/市区町村(議会関係を含む)24
その他(民間企業21・教育研究機関12・NPO団体8・個人4・媒体4等)53/無回答5
※本アンケートは「来場者」を対象とした限定的な回答結果であるため、社会一般の傾向をみることはできませんが、関心を持って参加する方々の傾向を捉えているものとして参考にしていただければ幸いです。

【調査結果サマリー】
(1) 「積極的に取り入れるべき」67.5%。昨年の63.3%とほぼ同水準
人口減少を前提とした政策立案についての考えを尋ねたところ、「積極的に取り入れるべき(※1)」が67.5%で最も多くなりました。「必要だが後ろ向き懸念(※1)」は25.6%でした。
注目されるのは、この分布が昨年とあまり変わらなかった点です。昨年はそれぞれ63.3%、28.6%でした。来場者が2. 2倍、回答数が2倍以上に増え、層も広がったにもかかわらず、構成はほぼ動いていません。来場者アンケートという限定ではありますが、シンポジウムに参加する関心の高い層の意見傾向であることがうかがえます。


図1 人口減少を前提とした政策立案についての考え方(n=117/無回答2)(※1)実際の回答選択肢は「積極的に取り入れるべきであり、現実に即した施策が重要だ」/「必要だが、強調しすぎると後ろ向きな思考になりすぎる懸念がある」(※2)昨年は選択肢が3つ、本年は「人口維持をめざすべき」を加えた4つであり、構成が異なるため参考として並記しています。

(2)市区町村では58.4%が「既に実施」または「計画・検討段階」
組織における「賢く縮む」取り組みの状況を、自治体に所属する回答者に尋ねました。「既に具体的な事業を実施している」17.2%と「計画・検討段階にある」31.0%を合わせると48.2%となり、およそ半数が実際の動きに入っています。進み方は立場によって異なります。市区町村では「計画・検討段階にある」41.7%が最多であり、「既に実施」と合わせると58.4%が何らか動き始めている結果となりました。一方、都道府県庁では「必要性は認識しているが、着手できていない」41.2%が最多という結果でした。


図2 「賢く縮む」取組の現在の状況(自治体関連所属者のみ回答)

(3)取組みでの最大の課題は「住民の理解・合意形成」80.4%(自治体所属者)
取り組みを進めるうえでの課題を尋ねたところ(2つまで選択)、自治体所属者全体(n=56)では「住民の理解・合意形成」が80.4%で突出して最多となりました。都道府県庁87.9%、市区町村69.6%と、立場を問わない共通の関心事となっています。必要性への迷いではなく、地域の将来像をどう共有し、どう合意をつくるかに関心の中心が移っています。当日のパネルディスカッションでも、住民に正確なデータを示し、対話を重ねたうえで選択を委ねるプロセスが焦点となりました。
次に挙がる課題は立場によって異なります。都道府県庁は「議会の理解」51.5%、市区町村は「首長の理解」「担当人材の不足」が各30.4%でした。

図3 「賢く縮む」推進上の課題(複数選択・2つまで/自治体関連所属者のみ回答)

(4)「条件不利地域への配慮」を求める声が55.6%で最多
議論が社会に広がるにあたって気をつけるべき点を尋ねたところ、全体で最も多かったのは「条件不利地域の切り捨てにつながること」が55.6%でした。次いで「必要な投資や新たな挑戦まで抑制する口実になること」34.2%が続きました。所属別では受け止め方に違いがあります。「地域のあきらめムードを助長すること」を挙げた割合は、市区町村50.0%、都道府県庁13.5%でした。住民と直接向き合う立場ほど、議論が言葉だけで独り歩きすることへの注意が強いことがうかがえます。

図4 「賢く縮む」議論の広がりにあたって気をつけるべき点(複数選択)

◆大正大学
大正大学は、設立四宗派の天台宗・真言宗豊山派・真言宗智山派・浄土宗および時宗が協働して運営する大学です。その協働の精神を支えているのが、大正15(1926)年の創立時に掲げた「智慧と慈悲の実践」という建学の理念です。「智慧と慈悲の実践」は仏教における菩薩の生き方を表したもので、菩薩とは「自らの修行の完成と衆生の救済を志す人」を意味します。本学では、このような理念の下に〈慈悲・自灯明・中道・共生〉という仏教精神に根ざした教育ビジョン「4つの人となる」を掲げています。これまでの歩みを礎に、2026年の創立100周年を「第二の開学」ととらえ、さらなる教育研究活動を展開しています。公式ウェブサイト:https://www.tais.ac.jp/

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