9月16日、東京都の海運クラブにて「令和8年度 全国旅館政治連盟の集い」が開催された。全国47都道府県から約160名の全旅連ならびに青年部員が集結し、自由民主党からは国会議員本人・代理を含め約250名が出席した。


自民党観光産業振興議員連盟会長の岩屋毅氏をはじめ、国土交通大臣 金子恭之氏、内閣府特命担当大臣(経済財政政策・規制改革)城内実氏、内閣府特命担当大臣(地方創生等)黄川田仁志氏、財務大臣 片山さつき氏の4名の大臣が出席し、業界のさらなる発展に向けた熱いメッセージを発信した。また、自民党観光立国調査会会長の鶴保庸介氏も出席し、祝辞の中で力強いエールを送った。
冒頭、主催者を代表して、全国旅館政治連盟理事長であり全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長の井上善博氏が挨拶を行い、宿泊観光産業の地位向上と業界一丸となった政策活動の推進を呼びかけた。
乾杯の発声では、熊本県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長の西上佳孝氏をはじめとする熊本県のメンバーが登壇。熊本地震からの復興を乗り越え、力強く復活を遂げた地域の姿を熱く訴え、災害からの再生に向けて歩み続ける宿泊業界の底力を会場全体で共有した。
今年度の集いでは、「宿泊産業を我が国の基幹産業に 宿を核とした地方創生の実現を」、そして「温泉文化 未来へ。世界へ。2030年、ユネスコ無形文化遺産登録へ。」の2つのメッセージを掲げ、宿泊観光産業の基幹産業化と、温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録の実現に向けた業界の決意を発信した。
出席した議員からは、宿泊・観光産業が日本の経済と雇用を支える基幹産業であるとの大きな期待が示され、今後も活動への支援が継続されるという力強いメッセージが寄せられた。
閉会にあたっては、全国旅館政治連盟理事長代行の西海正博氏が挨拶を行い、盛会のうちに幕を閉じた。




9月17日、若手経営者130名が自民党に支援要望提出
9月17日には、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部に所属する宿の若手経営者約130名が、東京の議員会館に集結し、自由民主党衆参両院の国会議員に対し支援要望を提出した。
全旅連青年部はこれまでにも、宿泊観光産業の地位向上を目指して積極的に要望活動を展開してきた。
宿に泊まり、宿文化を体験して頂くこと自体が、自然、食、寺院や神社といった文化遺産などと並ぶ、世界中の人々を引きつけるキラーコンテンツになっており、国として、インバウンドの地方部への誘客、そして観光による持続可能な地域づくりが大きな課題となる中では、宿泊観光産業の果たすべき役割はますます大きくなっているものと認識している。
その上で、生産性・収益性の向上、人手不足問題への対応、頻発する自然災害への対応など、解決が容易でない課題が多く残されている。
これらの課題を着実に解決し、宿泊観光産業が持続可能で収益性の高い産業に変革し、業界全体の地位向上を図ることは不可欠である。その決意のもと、自民党衆参両院の議員に対し支援を要望した。中でも、以下の事項を重点要望として、業界が直面する課題への理解と支援を求めた。




【 要望内容 】
勤務間インターバル制度の義務化に伴う宿泊業への適用条件の緩和
現在、労働政策審議会等において、勤務間インターバル制度(終業から次の始業までに一定時間以上の休息を確保する制度)の義務化が検討されている。従業員の健康確保・過重労働防止という制度の趣旨については、宿泊業界も十分に理解し、労働環境の改善に積極的に取り組む所存である。
しかしながら、旅館・ホテルは24時間365日稼働のサービス産業であり、中抜け勤務・前泊勤務・深夜フロント・宿直など、一般的な事業所とは本質的に異なる固有の勤務形態を有している。現在議論されている「9時間ないし11時間のインターバル確保」を一律に義務化した場合、こうした勤務形態が事実上成立しなくなり、現場運営が著しく困難となることが強く懸念される。
従業員の健康確保という制度の趣旨を尊重しつつも、地域のインフラとして機能し続けるためには、業種の実態を十分踏まえた制度設計が不可欠であり、以下の対応をお願いしたい。
・ 宿泊業を「業種別適用除外」または「特例業種」として位置づけ、宿泊業固有の勤務形態について、一般の義務化規制とは別に特例規定を設けること
・ インターバル時間の算定において、宿直・当直中の仮眠時間を適切に
「休息時間」として算入できる制度設計とすること
食料品消費税減税に伴う宿泊施設の食事提供への適用拡大
現在、政府は、令和9年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率を1%に引き下げるとともに、飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲内で、所得に連動したきめ細かな給付を令和9年度に先行導入し、全体として飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化を図る基本方針を閣議決定した。物価高騰に苦しむ国民の生活負担軽減を図るという政策の趣旨は十分に理解するものであるが、宿泊施設にとって看過できない問題が生じる。
料理原価の比率が高い宿泊施設では、食材に係る仕入税額控除が大幅に縮小する一方、宿泊及び宿泊に付随する食事提供には10%の標準税率が適用されることから、消費税の直接納付額が大きく変動することとなり、制度移行に伴う納税資金管理や実務対応への影響も懸念される。
もっとも、税率引下げ分が食材の仕入価格に完全に反映されれば、仕入先への支払額の減少と消費税納付額の増加が相殺されるため、それ自体によって最終的な税負担が増加するものではない。
飲食料品を1%とする一方で外食を10%に据え置けば、内食・中食との税率差が2%から9%へ拡大し、消費者の選択に大きな税制上の差が生じる。とりわけ食事を宿泊体験の中核とする旅館では、食事付き宿泊商品の相対的な割高感を高め、国内旅行消費や地域の食文化・地産地消に影響を及ぼすおそれがある。
旅館・ホテルの食事は宿泊と一体のサービスであり、一般的な外食とは性格を異にする。また、制度移行時には、宿泊、宴会、館内飲食、売店、持ち帰り等の税率区分に伴い、システム改修やインボイス処理等の実務負担も見込まれる。
ついては、飲食料品に係る消費税減税の制度設計に当たり、以下の対応をお願いしたい。
・宿泊に付随する朝食・夕食等を一般的な外食と区別し、宿泊料金のうち食事相当部分に飲食料品の税率を適用すること、又はこれに相当する負担軽減措置を講じること
・ 消費税納付額の変動や複数税率への実務対応等、制度移行の影響を検証し、必要な経過措置及び実務ガイドラインを整備するとともに、PMS、POSレジ、会計・予約システム等の改修・経理対応を支援すること
・制度設計及び施行後の検証において、宿泊観光業界の意見を反映できる協議の場を設けること
一室旅館・ホテル営業の適正化について
平成30年の規制緩和により、ホテル・旅館の最低客室数が撤廃され、ICT等によるフロントの代替も可能となった。これに伴い、共同住宅の一室等で従業員が常駐せず通年営業する、いわゆる「一室旅館・ホテル」が増加している。
豊島区では、令和8年6月時点で一室旅館が510施設に達し、令和7年度の苦情も80件と前年度の約4倍に急増している。居住部分と宿泊部分が混在し、緊急時や苦情への対応体制が不十分な施設では、騒音・ごみ、防犯・消防等の面で、住民の生活環境と宿泊者の安全確保に懸念がある。また、住宅宿泊事業の年間180日の上限と旅館業の通年営業という制度の違いを踏まえ、営業実態に応じた生活環境保全措置の整合性を確保する必要がある。
このため、規制緩和後の実態を検証し、住居と混在する共同住宅等の一室旅館・ホテル営業について、営業者の管理責任、緊急時・苦情発生時の迅速な対応体制、周辺住民への事前説明、標識及び騒音・ごみ・防犯・消防対策等の基準を明確化していただきたい。
その際、旅館・ホテルの運営効率化促進に配慮するとともに、古民家宿や一棟貸し等の多様な宿泊形態に配慮し、施設の規模や営業実態に応じた、小規模事業者にも実行可能な管理方法認めていただきたい。併せて、一室旅館・ホテル営業について、自治体が地域の実情に応じた基準を条例で上乗せできるよう、法令上の根拠を整備していただきたい。
旅館・ホテルの耐震化に対する支援拡充
近年、地震や豪雨等の自然災害が全国各地で頻発・激甚化する中、旅館・ホテルは、災害時には被災者の二次避難先等として重要な役割を担っている。宿泊業界の団体・組合等は47都道府県すべてにおいて自治体等との災害協定を締結しており、宿泊施設は地域の防災拠点としての役割も担っている。
一方、現行制度では、地域防災計画に位置付けられた「避難場所となる避難所等」には耐震改修費の2/3が支援されるものの、災害協定に基づき被災者等を受け入れる宿泊施設が必ずしも同等の支援対象とはならない。また、近年の資材費・人件費の高騰や、宿泊施設特有の大規模かつ複雑な改修工事の実態に対し、現行の補助対象限度額57,000円/平方メートル では実際の工事費との乖離が生じ、耐震化を進める上で大きな負担となっている。
ついては、災害協定に基づき被災者等を受け入れる旅館・ホテルについて、「避難場所となる避難所等」と同等の支援対象とするなど対象を拡大するとともに、耐震改修工事費の補助対象限度額57,000円/平方メートル を実勢工事費に即して引き上げ、今後も建設物価の変動を踏まえて機動的に見直すことを要望する。
あわせて、令和12年度末までとされている事業期限についても、宿泊施設の耐震化の進捗を踏まえ、必要な延長を行うことを要望する。
取引相場のない株式(?上場株式)の評価方法の見直しについて
国税庁の有識者会議において検討が進められている、取引相場のない株式(非上場株式)の評価方法の見直しについて、旅館・ホテルをはじめとする中小企業の円滑な事業承継に大きな影響を及ぼす可能性があることから、以下の3点を要望した。
一、相続税・贈与税の在り方と一体で議論を尽くし、評価方法のみを先行して決定しないこと。あわせて、事業が持続できる恒久的な事業承継税制を整備すること。
二、一部の租税回避行為への対処を理由に、真面目に経営する大多数の中小企業の税負担を広く引き上げる改正は行わず、見直す場合も、評価水準は現行の算定方法による株価を超えないものとすること。
三、新たな評価方式について、成長・回復を遂げた企業や業歴の長い企業ほど株価が大きく上昇する構造を踏まえ、類似業種比準方式の存置を含め、評価の安全性に十分配慮した制度設計とすること。
令和8年熊本地震対する支援策の御礼と引き続きの支援について
令和8年熊本地震に際し、政府において発災直後から、被災者及び被災事業者に寄り添った迅速かつ力強い対応を講じていただいたことに、心より御礼を申し上げた。
その上で、熊本地震における一日も早い復旧・復興を確実なものとするため、引き続きの支援と格段の配慮をお願いした。


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【令和7・8年度 全旅連青年部スローガン】
「温故創新」
~観光の中心で咲き誇る礎たれ~― Always be yourself
全旅連青年部 第26代青年部長
塚島 英太









