キリンと日本製鋼所 国内初となる、二軸混練押出機(TEX(R)シリーズ)を用いた実機設備でのPETアルカリ解重合技術の実証に成功 解重合率95%以上を達成しPETケミカルリサイクル実用化へ前進…

掲載日: 2026年09月02日 /提供:キリンホールディングス

キリンホールディングス株式会社(社長COO 南方健志、以下キリン)のパッケージイノベーション研究所(所長 松田明彦)と株式会社日本製鋼所(代表取締役社長 松尾敏夫、以下JSW)は、従来の高温、長時間の反応を必要とするケミカルリサイクル技術※1に対し、短時間でPET(ポリエチレンテレフタラート)の分解が可能なアルカリ解重合技術について、量産化を見据え、実機設備を用いた実証試験を実施しました。その結果、解重合率95%以上を達成するとともに、250kg/時間以上で安定してPETを分解する操業条件を確立しました。本成果により、量産プロセスの設計に必要な設備仕様や操業条件に関する知見を取得し、実用化に向けた技術的基盤を確立しました。

今回の取り組みは、キリンが開発してきたアルカリ解重合技術※2をJSWの二軸混練押出機(TEX(R)シリーズ)※3で実証試験したものであり、同機を用いたアルカリ解重合法について、量産プロセスを想定した国内初の実証例※4です。
なお、本成果はキリングループが「キリングループ環境ビジョン2050※5」で掲げる「容器包装を持続可能に循環している社会」の実現に向けた、PET資源循環の高度化に貢献する取り組みです。
※1 加水分解法、メタノリシス法、グリコリシス法など。分子レベルまで分解し、色素や金属などの不純物を取り除くことで、石油由来と同等品質の再生PET樹脂へ再生するリサイクル手法
※2 当社リリース 2023 年12月15日 アルカリ解重合技術 高効率・環境負荷低減を実現する、PETケミカルリサイクル技術を2件開発 | 2023年 | KIRIN - キリンホールディングス株式会社
※3 二軸混練押出機 TEX(R) | 樹脂機械事業 | 事業・製品 | 株式会社日本製鋼所 - JSW
※4 日経テレコンおよびG-Search 新聞雑誌記事データベース、DialogデータベースおよびLexisNexisによるニュース・企業情報調査に基づく。 2026年7月13日時点、株式会社ナレッジワイヤ調べ。
※5 キリングループ環境ビジョン2050 | 環境 | KIRIN - キリンホールディングス株式会社


■研究目的・背景
ペットボトルをはじめとするPET製品の使用量は世界的に増加しており、資源循環の重要性が高まっています。飲料用のペットボトルにおいて現在主流のリサイクル手法であるメカニカルリサイクルでは、原料が飲料用ペットボトルに限られます。
ケミカルリサイクルはPET原料を化学的に分解し精製するため、飲料用ペットボトルに限らず幅広いPET原料を高品質なPETへ再生できる可能性がありますが、従来は高温・長時間の反応条件が必要であるなど、エネルギー効率やコスト面で課題がありました。
キリンは、これらの課題解決に向け、低エネルギーかつ高効率なPETアルカリ解重合技術の開発を進め、PET循環型社会の実現に向けた研究を推進しています。

■研究成果
キリンとJSWは、量産設備仕様を想定した実機スケールでアルカリ解重合プロセスの実証試験を実施しました。キリンは基礎技術開発を、JSWは設備設計、および操業条件の検討を担い、両社の技術・知見を融合することで、実機設備(TEX(R) シリーズ)による実証試験を実現しました。また本成果の詳細は2026年9月に開催される公益社団法人化学工学会 第57回秋季大会(https://www4.scej.org/meeting/57f/)で発表予定です。


実証試験で使用した二軸混練押出機TEX(R) シリーズ

一般に、化学反応を速く進める方法の一つとして加熱がありますが、本実証実験では、機械による強い混ぜ合わせや摩擦などの力も利用することで、加熱だけに頼らずに反応を促進できるメカノケミカル反応を用いました。本技術では、少ないエネルギーで短時間に反応を進めることができ、環境負荷の低減につながる技術として注目されています。

解重合プロセスの概要



<得られた成果>
? 解重合率95%以上
? 生産性250kg/時間以上での安定運転
? 量産設備設計に必要な設備仕様および操業条件に関する知見を取得
これにより、研究室レベルの検証にとどまらず量産規模での実用化に向けた技術的基盤を確立しました。

■今後の展望
今後は、本技術を基盤として、PETの回収から解重合、再資源化までを含むリサイクルプロセス全体の開発を進めます。またリサイクルに使用するPET原料には、非食品用途PETを含む幅広い原料への適用を検証し、実用化に向けた取り組みを加速します。さらに、企業、自治体、研究機関など多様なパートナーとの連携を通じて技術開発や社会実装に向けた取り組みを推進し、資源循環の高度化と持続可能なPET循環型社会の実現を目指します。

■キリングループの「容器包装」に関する取り組みについて
キリングループは、2020年に策定した「キリングループ環境ビジョン2050」において、「容器包装を持続可能に循環している社会」を目指すことを掲げています。また、「キリングループ プラスチックポリシー※7」では、2027年までに日本国内の酒類・飲料用ペットボトルにおけるPET樹脂使用量の50%をリサイクル樹脂にすることを目標としています。
キリングループは、リサイクルPET樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」の採用拡大や、企業・自治体などと連携した使用済みペットボトルの回収、ケミカルリサイクル技術の開発・実用化などを通じて、容器包装の資源循環を推進しています。今回の取り組みもその一環として、PET資源循環の高度化と持続可能な循環型社会の実現に貢献することを目指します。
※6 キリングループプラスチックポリシーhttps://www.kirinholdings.com/jp/sustainability/materiality/env/e_policy/

■JSWの「プラスチック資源循環」に関する取り組みについて
本取り組みにおいては、JSWが培ってきた二軸混練押出機”TEX(R)シリーズ”での連続プロセスを活用し、量産化設備に向けた実験検証を重ねてまいりました。
JSWグループは、「Material Revolution(R)の力で世界を持続可能で豊かにする」というパーパスのもと、プラスチック資源循環社会の構築と低炭素社会への貢献を重要な課題と位置づけています。この方針の一環として、プラスチック樹脂製造・加工機械を取り扱う樹脂機械事業部では環境負荷低減につながる技術・製品の開発を進めています。
TEX(R)シリーズは、マテリアルからケミカルまでリサイクルプロセスに幅広く適用されており、プラスチック他、各種原料の再資源化を支えています。
ケミカルリサイクル分野では、既に使用済みアクリル樹脂(PMMA)をモノマー化回収する連続式リサイクル技術も確立しており、広島技術開発センターでのR&Dを通じて、プラスチック資源循環のさらなる発展に寄与することを目指します。

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