
1.背景
近年、製造業では労働力不足の深刻化に加え、市場ニーズの多様化を背景とした多品種少量生産への対応が求められており、生産現場の自動化・高度化が重要な経営課題となっています。生産現場では、生産設備や物流動線を柔軟に変更しながら効率的な生産を実現するニーズが高まっており、このような中、工程変更への柔軟な対応や高精度な搬送を実現する、無人搬送車(AGV)や自律走行搬送ロボット(AMR)といった無人搬送システムの導入が進んでいます。
一方で、従来の無人搬送システムは、固定化された物流動線や平坦な床面を前提とした設計であるため、狭隘空間や段差・凹凸のある環境への対応、柔軟なレイアウト変更や高度な搬送制御の実現には制約・課題が残されています。
豊田通商はこれまで、モビリティ産業を中心に国内外の製造業へ産業用ロボットや搬送ロボットの導入を推進し、生産現場の自動化を支援してまいりました。こうした中で、「移動の制約」を解消する次世代の移動・搬送基盤へのニーズが高まっており、その実現が求められています。
2.TriOrb社について
TriOrb社は、球体駆動による全方向移動機構をコア技術とし、従来の無人搬送システムでは対応が難しい環境や用途に対応した、自律走行搬送ロボットを開発するスタートアップです。同社の特許技術である「TriOrb BASE」は、駆動部に車輪ではなく3つの球体を用いることで、360°あらゆる方向への移動を可能とし、段差・溝・勾配にも対応可能な高い走破性を備えています。
さらに、4方向に配備されたカメラで空間を視覚的に把握するVisual SLAMとの組み合わせによる、ミリメートル単位の高精度な制御に加え、複数台を連携・制御する協調搬送で長尺物・重量物の搬送にも対応できるなど、従来の無人搬送システムでは実現できなかった革新的な性能を有しています。

全方向移動機構を搭載した自律走行搬送ロボット
3.出資の目的と今後の展開
本出資は、TriOrb社の全方向移動技術と豊田通商グループが有する機械設備分野における知見・現場力を組み合わせることで、従来の搬送システムでは難しかった柔軟なレイアウト変更や高度な搬送を可能にし、生産現場における「移動の制約」を解消した次世代のフレキシブルな生産ラインの実現を目指すものです。今後、豊田通商は、TriOrb社の自律走行搬送ロボットを生産設備やロボットの移動プラットフォームとして製造現場に活用し、両社でユースケースの確立と標準化を進めるとともに、将来的には、グローバル市場での展開も視野に入れています。
豊田通商は、今回の出資を通じて、TriOrb社が有する全方向移動技術と、豊田通商グループが培ってきた製造業向けソリューション提供力やグローバルネットワークを組み合わせることで、生産現場の自動化・高度化を推進してまいります。また、両社で市場展開を進めるとともに、柔軟で再構成可能な次世代生産ラインの実現を目指し、製造業における労働力不足や生産性向上といった社会課題の解決に貢献してまいります。

TriOrb AMRの特徴・ソリューション










