当社株主はじめステークホルダーの皆様へ向けた経営メッセージの発信について

掲載日: 2022年04月07日 /提供:セブン&アイ・ホールディングス

2022 年4 月7 日
株式会社セブン&アイ・ホールディングス

当社株主はじめステークホルダーの皆様へ向けた経営メッセージの発信について

当社は、本日2022年4月7日付にて、取締役会の全会一致の決議に基づき、当社株主はじめステークホルダーの皆様へ向けた経営メッセージ「世界トップクラスのグローバル流通グループへの進化を目指して」を発信いたしましたのでお知らせいたします。

レター全文については別添をご参照ください。

以上

2022 年4 月7 日

世界トップクラスのグローバル流通グループへの進化を目指して

当社株主はじめステークホルダーの皆様へ

皆様には、日ごろ当社グループに対する多大なご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。とりわけ、すでに2 年有余にわたる世界的なパンデミックがいまだ収束の兆しが見えない中で、皆様のご支援は、私たちにとりまして何よりも心強い支えとなっております。

現下、激変する経営環境のもと、当社グループが何を目指し、何に力を注いでいるかといった点につきまして、株主はじめステークホルダーの皆様に一段のご理解を賜り、ご支援いただくことが、私たちにとって何よりも重要であると考えております。当社では、かねてより株主の皆様との建設的な対話を継続的に行い、また多様なステークホルダーの皆様の声に耳を傾けることで、「当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上」に資する真剣な議論に努めてまいりました。また、本年に入り、社外取締役も参加する形式を含む株主の皆様との面談も数多く重ねてまいりました。その結果を踏まえ、当社株主はじめステークホルダーの皆様に、当社経営の現状および今後に向けた考え方をご理解いただきたいと考え、本レターを公表することといたしました。

当社グループの社是・基本理念

当社グループは、1920 年の創業以来、大規模な自然災害や戦争をはじめ幾たびかの大きな社会経済の変動を体験し、その中にあって、つねに個々のお客様のご要望にお応えし、地域社会に根ざした事業を積み重ねることで、成長を遂げてまいりました。もちろんこの間、私たちのビジネスの基軸となる事業形態は、経済・社会環境とともに変化してきております。その中で一貫してまいりましたのは、私たちが掲げる「お客様・お取引先・株主・地域社会・従業員を含めたすべてのステークホルダーの皆様から信頼される誠実な企業でありたい」という社是に示した基本理念です。これは、私たちの経験の中から生まれ、堅持してきた拠り所であり、皆様のご信頼とご支援にお応えする私たちの経営の原点を示すものです。

中期経営計画の進捗と成果

当社グループは、上述の理念のもと、「基本姿勢」(*1)およびグループの将来像「2030 年 目指すグループ像」(*2)を明示した上で、2021 年7 月に現在の「中期経営計画2021‐2025」(以下「中期経営計画」)を公表いたしました。この「中期経営計画」では、グループ各社が一体となった取り組みを進めることで持続的な成長を実現するとともに、社会的な価値提供も両輪として推進していくことを目指しております。加えて、米国の子会社である7-Eleven, Inc.(以下SEI)によるSpeedway LLC(以下Speedway)の株式取得を実施し、世界トップクラスのグローバル流通グループへの飛躍を目指すべく様々な戦略施策を推し進めております。

この結果、当社の株主総利回り(TSR)は、2020 年2 月末から 2022 年2 月末の期間において157%、2021 年2 月末から2022 年2 月末の期間において141%となっており、いずれもS&P500、TOPIX、北米における代表的なコンビニエンスストア(以下CVS)銘柄の平均を上回っております。

なお、当社グループでは、ESG をはじめとしたサステナブル経営を推進していくにあたり、「中期経営計画」においても、その取り組みを基盤に置いています。とりわけ、気候変動への対応は、いまや世界的にも喫緊の課題となっており、2019 年に環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を公表し、CO2 排出量削減をはじめ、グループ一丸でその取り組みを推進しています。また、気候変動に関わる情報開示の充実も必須と考えており、2019 年にはTCFD 提言に賛同を表明いたしました。2020 年6 月にTCFD 提言に基づく情報開示を行い、2022 年3 月には事業インパクトの分析結果を定量で開示いたしました。この開示は国内の株式会社セブン-イレブン・ジャパン(以下 SEJ)での開示でございますが、2022 年度は株式会社イトーヨーカ堂(以下 IY)、株式会社ヨークベニマル等のスーパーストア事業での開示を予定し、また、2023 年度にはSEI での開示を計画しております。今後も、気候変動による「リスク」と「機会」を分析する等、グローバルな視点を持って持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

(*1)「基本姿勢」
常にお客様の立場に立って、新たな体験価値を提供することで、国内外の地域社会に貢献したい
(*2)「2030 年 目指すグループ像」
セブン-イレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する世界トップクラスのグローバル流通グループ

当社の経営課題認識と今後の対応方針

A. 事業ポートフォリオの見直しと最適運営に向けたアクションの加速

当社は、「中期経営計画」において事業ポートフォリオに関する考え方を明示し、これに沿った事業ポートフォリオの見直しと最適な運営に向けたアクションの加速に努めております。特にグループ全体における事業シナジーの最大化については検討を重ね、効率性・成長性ともに課題を抱える重点構造改革分野に関しては抜本的な事業構造改革の断行とベストオーナーの検討を並行して実施しております。

当社が今まで行ってきた戦略的方向性を踏襲し、セブン-イレブン事業を核としたグローバル成長戦略を更に推進させる観点から、事業ポートフォリオにおける3 つの重点戦略について、当社の考えを以下にお示しいたします。

1. 国内外CVS 事業の連携を通じ利益成長を加速します

当社株主でもあるValueAct Capital Management L.P.(以下 ValueAct)より、本年2 月8 日付でいただいた提案書において、当社グループが国内外で手掛けるセブン-イレブン事業を「グローバルCVS チャンピオン」になれる可能性があると高く評価していただきました。当社グループ事業にご注目をいただいている点、深く感謝しております。

【北米CVS 事業】

当社の北米CVS 事業を担うSEI は、その純利益を見ても2005 年度17 百万米ドルから、2021 年度には1,317 百万米ドルへと、著しい成長を遂げ、今後も2020 年度から2025 年度にかけて年平均20%超の成長率を達成する見込みです。

なお、「中期経営計画」では、海外CVS 事業をメインドライバーとしたグループ成長戦略を掲げておりますが、SEI においては、今後Speedway 統合シナジーを高次元で顕在化させることに加え次代を見据えた事業構造、収益性の変革を進めてまいります。具体的な方向性としては、SEJ との連携を背景としたバリューチェーン構築による食品事業の強化を行い、フレッシュフードやオリジナル飲料、プライベートブランド商品の販売、レストラン事業の拡大を図ってまいります。また、食品事業の強化とともにガソリン事業への依存度の低減とEV 化への対応強化を通じた脱炭素社会への適応を通じて、サステナブルな事業構造の確立と収益力の向上を図ってまいります。

さらに、国内外問わずDX(デジタルトランスフォーメーション)領域も重要な経営課題として認識しており、スマートフォン等からの注文にお応えするお届けサービス「7NOW」につきましては、近年のニーズの高まり等に鑑み、すでに米国では約4,000 店、日本では約1,200 店で本格展開しています。今後は、日米で培ったモデルをベースにグローバルに展開することで、出店エリアにおけるお客様の利便性向上に貢献し、グローバルブランドとしてセブン-イレブンの価値向上を実現してまいります。

【グローバル戦略】

グローバルな事業推進という点では、当社グループは、すでに1990 年代より米国におけるセブン-イレブン事業の再建を手掛け、SEI を目覚ましい成長へと導いてきた実績を有しています。現在、セブン-イレブン事業は、すでに世界18 の国と地域で展開されており、それぞれの潜在的な成長可能性は極めて高いものがあると考えております。当社グループは、日本国内および米国等で手掛けてきた事業革新の手法を活かすことで、その潜在的な成長性を引き出すことが可能であると確信しております。また、さらなるグローバルな事業展開を進めることで、各地域のお客様への価値提供をよりいっそう充実したものにするとともに、革新的なサプライチェーンを通して社会全体の繁栄に寄与しうるものと考えています。

このため、SEJ とSEI 両社の共同出資により7-Eleven International LLC(以下7IN)を設立し、同社のもとで日米セブン-イレブンの連携による協創を強化し、グローバル戦略を加速させていく方針です。7INでは、日本および北米を除く地域で2025 年度までに5 万店の店舗網を確立し、2030 年度までに日本、北米も含めた全世界で30 の国と地域での店舗出店を目指していく方針で、現在、より精細な戦略マップを策定しています。具体的なKPI、ロードマップ等につきましては、適宜公表を進めてまいります。

2. 食品事業戦略軸でCVS 事業、スーパーストア事業の競争力を強化します

「中期経営計画」においては、国内外のCVS 事業を当社グループの成長ドライバーとするとともに、グループ国内売上の6 割強(2021 年度実績ベース)を占める食品事業を戦略的な成長領域と位置付けています。

当社グループでは食品事業の競争力強化により食品市場におけるシェア拡大を目指しており、業態を越えてグループ総力を結集し、ブランドの育成強化を図っています。とりわけ、2007 年より展開しているグループのプライベートブランド商品「セブンプレミアム」は、革新性および認知度の高さ、お客様からのご支持等の点で、競争力の源泉となっています。セブンプレミアムの開発は、SEJ が独自に創出した開発プロセス、IY の生鮮品、加工食品等にわたる幅広い調達力、さらにグループ内の多様な知見、情報力、そしてお取引先様との長年にわたる信頼関係を融合することで可能となっており、流通サービス事業者独自のブランド戦略としては、他に類例のない取り組みとなっています。

高齢化、人口減少等がさらに進み、世界的に見ても非常に複雑な国内消費市場の構造変化のもと、将来にわたって国内CVS 事業として加盟店様とともに持続的な成長を遂げるためには、「SEJ の販売力・競争力を中心におきながら、IY を中心としたスーパーストア事業が有する、産地把握、商品調達、生産管理等の知見やサプライチェーンを活かす」という独自のビジネスモデルを展開していくことが不可欠であり、これが当社グループの強みを最大化する方法であると確信しています。このような国内CVS 事業とIY を中心としたスーパーストア事業の不可分一体な連携は、1 つのグループの中に在ってこそ可能となります。とりわけコロナ禍以降、お客様の消費行動や価値観が大きく変容し、よりいっそう緻密な商圏把握、お客様との接点の多様化と深化が求められている環境下においては、まさにこのような国内CVS 事業とスーパーストア事業が一体となった強みが発揮されるものと考えます。

コロナ禍を経て、いっそう拡大するお届けニーズへの対応(ラストワンマイル施策)に際しても、当社グループは、すでに、SEJ の7NOW、IY のネットスーパー等のサービスを展開しておりますが、今後は、グループの共通ID である7iD を軸に、両社の有する店舗ネットワーク、アプリ会員、センター等を有機的に連携させることで、グループ独自の競争力あるサービスに進化させてまいります。

なお、IY は、これまで重ねてきた事業構造改革を2022 年度内に完遂し、ネットスーパーのセンター化、首都圏および大都市圏への集中、強みである食のSPA 化等の再成長戦略に注力することで、上記のように、グループの競争力、企業価値向上に貢献するとともに、併せて単体の収益力も強化してまいります。一部の株主の皆様からは、IY について、売却またはスピンオフすることがグループの企業価値向上に資するのではないかとのご提案をいただいております。しかしながら、当社としては、前述の通り、IY を中心としたスーパーストア事業とSEJ が同一グループに在ることこそが、SEJ ならびに加盟店様を含むグループの将来にわたっての成長に資すると確信しております。引き続き、このコアビジネスモデルの磨き込みに邁進し、企業価値向上に努めてまいります。

3. 事業ポートフォリオについては継続した見直しを実行します

当社は、グループの企業価値の最大化に向けては、上記2.において触れた通り、当社グループ独自のビジネスモデル構築によるグループ価値の最大化といった視点から検討を重ねるとともに、事業ごとの効率性・成長性も踏まえながら、事業ポートフォリオの見直しについて継続して議論してまいりました。

なかでも「中期経営計画」でお示しした通り、重点構造改革分野に関しては抜本的な改革を断行するとともに、グループ内で十分な価値向上に向けた施策を継続することが困難と判断される事業に関しては、ベストオーナーの検討を並行して進める等、構造の見直しを実施してまいります。2021 年7 月には株式会社Francfranc 株式の一部譲渡、本年2 月には株式会社オッシュマンズ・ジャパンの全発行済株式の譲渡を公表するに至りました。また、百貨店・専門店事業においては、これまでも事業構造改革を実施してまいりましたが、現在、ファイナンシャル・アドバイザーも起用の上、株式会社そごう・西武についてストラテジック・レビューを行っております。

当社は、今後も、上記の考えに基づき、事業ポートフォリオの見直しと最適運営に向けたアクションを継続してまいります。

B. キャピタル・リアロケーションプランの策定

様々な実行施策を踏まえたキャピタル・リアロケーションプランを策定します

当社は、一貫した財務規律に基づいたキャピタル・アロケーション方針のもと、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けた財務施策を実施していくことが極めて重要であると認識しております。今後、CVS 事業を中心としたグループ事業成長を通じ営業キャッシュフローの増大を図りつつ、事業ポートフォリオの見直しを通じ重点構造改革分野における抜本的な改革断行、ベストオーナーの検討を進め資本回収も実現してまいります。創出されたフリーキャッシュフローについては、資本効率性に立脚した投資判断に基づき、成長領域であるCVS 事業やDX に向けた戦略投資に集中的に配分し、加速度的な成長を推進していく所存です。

加えて、自己株式取得を含む株主還元につきましては、今後も中長期的な企業価値の向上につながると見込まれる戦略的な M&A や将来の成長に向けた投資を優先した上で、自己資本利益率(ROE) や 1 株当たり当期純利益(EPS)の向上に向けた戦略的な資本政策として機動的に実施してまいります。

C. ガバナンス体制のトランスフォーメーション

世界トップクラスのグローバル流通グループにふさわしいガバナンス体制に変更します

当社は、昨年来、ValueAct を含む国内外の様々な株主の皆様との間で、社外取締役も参加する形で建設的な対話を集中的に実施し、その過程で、当社のガバナンス体制についても様々なアイデアをいただきました。これらを踏まえ、当社は、グローバルマーケットにおける持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現を目指し、取締役会の構成について検討するとともに取締役の人選を行いました。

具体的には、取締役会の多様性を向上させるとともに、独立社外取締役を増員し、過半数とするガバナンス体制に変更いたします。この一環として、本年5 月26 日に開催予定の当社第17 回定時株主総会においては、以下の基本方針に沿って取締役を選任することを内定いたしましたので、下記の通りお知らせいたします(*)。当社がグローバル企業として成長戦略を推進する上で最適な候補者と考えております。
1. 社内取締役の人選については、経営と執行のバランスおよび意思決定の迅速化等にも鑑み、現状の陣容から絞り込んだコンパクトな体制とする
2. 社外取締役の人選については、ボードダイバーシティ強化による経営経験・スキル等の更なる充実とグローバル企業としての成長戦略推進に対応したグループ経営監督体制の増強を目指す
3. 具体的な体制として、社内取締役については現状の8 名から6 名に絞り込み、社外取締役については現状の5 名から8 名に増員することで、社外取締役が過半数を占める体制とする

社内取締役候補者
氏名 新任・再任
井阪 隆一 (再任)
後藤 克弘 (再任)
伊藤 順朗 (再任)
丸山 好道 (再任)
永松 文彦 (再任)
ジョセフ・マイケル・デピント (再任)

社外取締役候補者
氏名 新任・再任
伊藤 邦雄 (再任)
米村 敏朗 (再任)
東 哲郎 (再任)
井澤 𠮷幸 (新任)
山田 メユミ (新任)
ジェニファー・シムズ・ロジャーズ (新任)
ポール 与那嶺 (新任)
スティーブン・ヘイズ・デイカス (新任)

(*)上記の取締役候補者につきましては、本年4 月7 日付の弊社ニュースリリース「役員の異動に関するお知らせ」(https://www.7andi.com/company/news/2022.html)も併せてご参照ください。

株主の皆様との建設的なエンゲージメントの継続当社の取締役会は、株主はじめステークホルダーの皆様からの声に深く感謝し、今後も建設的なエンゲージメントを通じて、当社に対するフィードバックについて真摯な検討を行ってまいります。当社は、引き続き「世界トップクラスのグローバル流通グループ」を目指し、皆様の期待にお応えすべく、グループの革新と持続的成長に注力し続け、中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。

最後になりましたが、当社は明確な目的、責任、および時間軸の下、セブン-イレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する世界トップクラスのグローバル流通グループへの大きな一歩を踏み出します。本レターに示す経営方針を実行することで、強固な経営基盤のもと、当社のパフォーマンスをさらに向上させ、持続的な成長を実現し得るものと、当社取締役会および当社経営陣は確信しております。皆様におかれましては、今後いっそうのご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

以上

公式ページ(続き・詳細)はこちら
https://www.7andi.com/library/dbps_data/_material_/localhost/ja/release_pdf/2022_0407_ir01.pdf

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