フジッコ株式会社(本社:神戸市中央区/代表取締役社長執行役員:福井正一)は、滋賀県立大学 人間文化学部 生活栄養学科 准教授 今井絵理先生との共同研究により、成人における「就労の有無」が食事の質を示す栄養素充足スコアの低下と関連し、就労者では副菜系食品の摂取量が少ない傾向があることを明らかにしました。本研究成果は、第80回日本栄養・食糧学会大会(2026年5月15日~17日)にて発表いたしました。

図1 就労状況別にみた調整済栄養素充足スコアの比較 男女ごとに、栄養素充足スコアを目的変数、就労状況を説明変数、被験者背景(年齢、BMI、睡眠、喫煙、アルコール、運動、共食頻度の各スコア)を共変量とした共分散分析を実施しました。棒グラフは調整平均値を示し、エラーバーは95%信頼区間を示しています。
■研究概要
≪研究背景・目的≫
共働き世帯の増加などによる就労人口の拡大に伴い、近年では、「就労」と食習慣および健康状態との関連が注目されています。就労者は勤務による時間的制約やストレスから食事の簡便化・不規則化が生じやすいと考えられます。また、日本の伝統的な食事様式である主食・主菜・副菜を基本とした和食は、栄養バランスに優れ、健康維持に寄与する食事として評価されてきましたが、就労を背景とした生活スタイルの変化により、特に副菜の省略や摂取不足が生じている可能性が指摘されています。しかし、これまでの栄養疫学研究は高齢者に偏重しており、成人期における就労の有無と包括的な食事・栄養摂取状況および栄養素充足度との関連については十分に検討されてきませんでした。
滋賀県は年齢・性別構成が全国平均に近く、都市部と農村部を含む多様な生活環境を有していることから、同県の大規模健康・栄養調査データは、日本人成人の食生活や就労状況を検討する上で有用と考えられます。そこで本研究では、平成27年度「滋賀の健康・栄養マップ」調査結果データを用い、成人における就労の有無と食品群別摂取量、栄養素摂取量および栄養素充足度の関連について検討し、就労者への栄養支援の方向性を明らかにすることを目的としました。
≪試験内容・方法≫
滋賀県民の健康状態や生活習慣、栄養摂取状況を把握するために、18歳以上の滋賀県民約1万人を対象に約5年ごとに実施される大規模な健康調査である「滋賀の健康・栄養マップ」の調査データを用いました。学生・妊産婦を除く20~64歳の3,520人を対象に、食事の質を示す栄養素充足スコア、食品群別摂取量や栄養素摂取量について、男女別に就労群と非就労群を比較して評価しました。
≪研究成果≫
男女ともに、就労群では非就労群と比較して栄養素充足スコアが有意に低いことが確認されました(図1)。また、食品群別摂取量においては、男女ともに肉類の摂取が多い一方で、男性では野菜類が少なく、女性では豆類や果実などの摂取が少ない傾向が見られました。さらに、栄養素充足スコアは、穀類や油脂類を多く摂取するほど低くなる一方で、野菜類、豆類、いも類、果物類などの「副菜」にあたる食品を多く摂取するほど高くなることが明らかになりました。これらの結果から、就労の有無が食事の質(栄養素充足スコア)の低下と関連し、就労者では副菜系食品の摂取量が少ない傾向が見られたことから、就労者に対する副菜摂取支援が食事の質向上に寄与する可能性が示唆されました。
≪研究の意義・今後の展望≫
当社はこれまで、豆類や海藻類などの副菜系食品を通じて、主食・主菜・副菜を基本とする和食の価値を提案してまいりました。本研究成果は、就労者にとって「手軽に取り入れられる副菜」の提供が、食事全体の質向上につながる可能性を示しており、当社の総菜製品が現代の生活スタイルに即した栄養支援として有用であることを裏付けるものと考えています。今後は、就労者の生活実態を踏まえた食提案や製品開発を一層推進するとともに、副菜摂取が健康指標に及ぼす影響についての研究を継続し、当社パーパスのひとつである健康提供の実現に向け、研究と商品開発の両面から、すべての人が健やかな食生活を実践できる社会づくりに貢献してまいります。
■学会発表概要
学 会:第80回日本栄養・食糧学会大会
会 期:2026年5月15日~17日
場 所:サンポート高松
演題名:「就労」と食事・栄養摂取状況および栄養素充足度の関連
発表者:田畑祥之1、村端穂香1、東条由花1、後藤弥生1、丸山健太郎1、今井絵理2
1フジッコ株式会社、2滋賀県大・人間文化・生活栄養
<お問い合わせ先>
フジッコ株式会社
担当者:開発事業本部 研究開発部 基盤研究グループ 田畑 祥之
責任者:開発事業本部 研究開発部 部長 丸尾 俊也
TEL:078-303-5191
ホームページアドレス:https://www.fujicco.co.jp









