株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社長:出雲 充、以下「ユーグレナ社」)は、2026年3月10日に同志社大学にて開催された日本農芸化学会 公募採択課題シンポジウム「持続可能な水産業に向けた微細藻類の活用」(企画:今村壮輔(NTT株式会社)、伊福健太郎(京都大学))※1において、ユーグレナをはじめとする微細藻類の飼料活用に関する最新研究および実証事例を発表し、水産・畜産・農業分野での成長促進や免疫向上などを通して、持続可能な一次産業の実現に貢献するための方向性を示しました。
※1 https://www.jsbba.or.jp/2026/program/jsbba_symp.html
■背景
地球温暖化や家畜感染症、輸入飼料への依存、生産者・労働力の減少など、農水産業を取り巻く環境は年々複雑化しています。
こうした状況に対し、当社は「バイオマスの5F(Food(食品)、Fine Chemical(ファインケミカル/高機能原料)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料))」を軸とした事業戦略のもと、微細藻類の培養技術を活用した新たな飼料・肥料モデルの創出を進めています。

2025年6月にはユーグレナ由来の飼料・肥料ブランド「いきものたちにユーグレナ」を発売し、研究開発と消費者認知拡大の両面からモデルの社会実装を加速しています。
■今回の発表概要
持続可能な一次産業の実現に向けた取り組みの一環として、ユーグレナをはじめとした微細藻類の飼料・肥料利用に関する最新の研究成果と、社会実装に向けた進捗を次の内容で紹介しました。
<微細藻類ユーグレナの可能性と、各分野における研究結果>
59種類に及ぶ豊富な栄養成分や、独自成分であるパラミロンの機能性が、ユーグレナの基盤的特徴として挙げられます。これらの栄養・機能成分は、動物・植物いずれに対しても健やかな成長を促し、免疫機能の向上に寄与し得ることが確認されています。細胞壁を持たず消化吸収されやすいことや、油脂を体内に蓄積することなどユーグレナならではの性質も、飼料・肥料として幅広く応用できる可能性が秘められていることを示しています。また、当社のユーグレナは環境と社会に配慮した責任ある養殖方法で生産された水産物を対象とする国際認証ASC-MSCの海藻(藻類)認証を取得しています。
【水産】
水産分野では国立大学法人鹿児島大学水産学部 (鹿児島県鹿児島市、学長:佐野輝)との共同研究として、カンパチとクルマエビにユーグレナを配合した飼料の給餌試験を実施したところ、いずれにおいても成長にネガティブな影響は認められず、カンパチでは自然免疫の指標である血液中リゾチーム活性が、クルマエビでは感染防御に関わる総フェノールオキシダーゼ活性が上昇しました。
したがって、これらのことから、ユーグレナを給与することで、魚やエビといった養殖生産物の病害リスクの低減に貢献する可能性を示すことができました。

資料より抜粋

資料より抜粋
【畜産】
ニワトリにおける給与試験では、成長促進、飼料要求率(FCR)の改善、特異的抗体価の増加が認められ、免疫・生産性のいずれにも寄与できることが示唆されています。※2 ※3
※2 宮崎大学、ユーグレナ社、あすかアニマルヘルス社はパラミロン配合飼料の給与によりニワトリの獲得免疫能が向上する可能性を確認しました | 株式会社ユーグレナ
https://www.euglena.jp/news/20250128-2/
※3 宮崎大学、ユーグレナ社、あすかアニマルヘルス社は、ユーグレナ配合飼料の給与によりニワトリの成長が促進される可能性を確認しました | 株式会社ユーグレナ
https://www.euglena.jp/news/20250602-1/
【農業】
農業分野においては、土壌環境の改善を通して得られるポジティブな効果が複数確認されています。例えば、水菜では生鮮重が増加し、ペチュニアでは開花期間が延長するなどが確認されています。
このように、動物・植物に関する各分野において、ユーグレナをはじめとする微細藻類が成長・健康性に良好な影響を与えることが実証されつつあります。
<生産物のブランド化>
研究成果を社会実装へつなげる取り組みとして、2025年より、ユーグレナ由来の資源を活用して生産された農畜水産物を「ユーグレナ育ち」として認定する制度を開始しました。
すでに、水産の「YESブリ」(養殖魚)、畜産の「なごみたまご」(鶏卵)、農業の「ぴかまる」(米)など、多様な生産物が誕生しており、生産者との協働を通じて認知が広がりつつあります。ブランド化の仕組みにより、生産者の付加価値創出と消費者理解の促進を両立し、一次産業の持続可能性向上に寄与することを目指しています。

<微細藻類飼料の本格的普及に向けて>
一方で、当社のユーグレナに限らず、微細藻類のような持続可能性に期待される飼料の本格的な普及に向けて、消費面と供給面の両軸で課題が存在します。消費面では、サステナブル・シーフード(水産資源・環境に配慮された水産物)をはじめ、サステナビリティに配慮された農畜水産物を認証制度は多く存在するものの、それが消費者の購買行動に直接的に結びついておらず、さらに、取得やトレーサビリティ確保によるコスト上昇が販売価格に反映されづらいことが挙げられます。今後、さらなる認証制度の認知向上と価格転嫁への理解が深まることがサステナブル飼料の普及には不可欠となります。
また、例えば供給面では日本国内の配合飼料消費量年間約2,400万トンのうち、その1%のみを微細藻類に置き換える場合でも、24万トンという大規模な供給が必要となることから、生産キャパシティの増大と生産コストの大幅な低減が重要な鍵となります。
こうした課題に対応するため、当社は2030年に向けて、ファインケミカル(高機能原料)や機能性肥料・飼料を切り口に微細藻類の生産量を約3倍に拡大することを目指しています。さらに2030年代には、微細藻類由来のバイオ燃料(藻油)の商業化と、それに並行して発生する脱脂藻体(ユーグレナなどの微細藻類から油分を除いたもの)を活用した代替飼料・肥料の本格展開を進め、より広い産業領域における微細藻類資源の循環利用の確立を目指します。
株式会社ユーグレナについて
2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。「人と地球を健康にする」というパーパスのもと、事業成長が社会課題の縮小につながるという「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」体現に向け、基本戦略として位置付けているバイオマスの5F(Food, Fine Chemical, Feed, Fertilizer, Fuel)に沿った形で、ヘルスケア事業、バイオ燃料事業、アグリ事業等を推進。2014年より、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」を、継続的に実施している。
https://euglena.jp









