ガスバリア性樹脂「ソアノール」溶液を塗工した紙包装材技術を開発

掲載日: 2025年12月23日 /提供:三菱ケミカル

耐油性を有することからPFAS代替に貢献

三菱ケミカル株式会社(本社:東京都千代田区、社長:筑本 学、以下「当社」)は、食品包装材等に使われる樹脂「ソアノール(TM)」の溶液を紙基材に塗工し、ガスバリア性と耐油性を付与する技術を開発したことをお知らせします。


ソアノール(TM)は、当社独自技術によって開発された高いガスバリア性・耐油性・透明性を持つエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)です。その他の樹脂と溶融させて熱成形することでフィルムやシート等の食品包装材として用いられ、食品の風味や品質を長持ちさせてフードロス削減に貢献します。


このたび当社が開発した技術は、紙基材にソアノール(TM)溶液とアンカーコート剤を併用して塗工することで安定したバリア層を形成し、ソアノール(TM)の優れたガスバリア性や耐油性を付与することができます。


紙包装材の耐油性を高めるためにはPFAS※を用いることが一般的ですが、本開発技術では、高温や屈曲時でも、PFASを用いた包装材を上回る耐油性を発現します。ソアノール(TM)は食品に直接接触できる高い衛生性を有するため、フライドチキンやハンバーガー等の食品包装用途への展開を見込んでいます。各国のPFAS規制強化が進むなか、PFASを用いない耐油紙の需要増加が見込まれているため、当社は顧客での評価等を推進し、2026年度中の採用を目指します。


なお、2026年1月28~30日に東京ビッグサイトで開催される「新機能材料展2026」に本開発技術を展示する予定です。


当社は経営ビジョン「KAITEKI Vision 35」において、「食の品質保持」を注力事業領域のひとつに挙げています。食の品質保持を支える環境配慮型の素材の提供によって、社会のサステナビリティ実現に貢献していきます。


※炭素とフッ素が結びついた有機フッ素化合物の総称。撥水性・撥油性・耐熱性・耐薬品性等から幅広く使用されているものの、難分解性・高蓄積性・長距離移動性という性質があるため、各国で規制やリスク管理に関する取り組みが進められている。

塗工面に植物油を滴下して24時間放置した様子


耐油紙の使用例


紙基材への塗工イメージ


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