江崎グリコ株式会社の完全子会社である関西フローズン株式会社は、このほど広島支店(広島市)の新築移転に合わせ、食品業界に先駆けて-25℃の冷凍倉庫に対応した無人搬送車(AGV=Automatic Guided Vehicle)を導入しました。冷凍環境下での重量台車の搬送を自動化し、倉庫管理システム(WES=Warehouse Execution System)と連携することで、冷凍倉庫業務の効率を大幅に改善するとともに、社員の負荷軽減と安全性向上を実現します。Glicoグループは今後も物流DX化と働き方改革を推進してまいります。

■導入の背景
物流業界では人手不足や高齢化が進む中、特に-25℃の冷凍倉庫内での作業は厳しい環境にあり、効率向上と安全確保が喫緊の課題となっています。こうした状況を踏まえ、関西フローズンは広島支店の移転を機に、支店併設の冷凍倉庫において、人手依存型の従来作業から脱却し、効率性と安全性を両立させた次世代物流モデルの構築に取り組みます。
■AGV導入の概要
- 共同開発
○AGV(Automatic Guided Vehicle=無人搬送車)の製造を手がける愛知機械テクノシステム株式 会社と、江崎グリコSCM本部技術開発部、冷凍倉庫の運用知識を持つ関西フローズンが、それぞれの持つ技術や経験を融合し、冷凍環境に対応した仕様を共同で開発しました。
- 技術的な工夫ポイント
○-25℃の冷凍環境でも安定してバッテリー性能を維持できるよう設計しました。
○結露や凍結によるセンサーの誤動作を防ぐ仕組みを組み込みました。
- 運用モデル
○搬送と荷役作業を自動的に連動させることで、冷凍庫内の作業を効率的かつ安全に進められる仕組みを整えました。
■導入による効果
○搬送作業の自動化による労働環境の改善
従来、人力で行っていた-25℃環境下の重量台車を牽引する作業をAGV6台で自動化します。
年間で約4,928時間(1日換算13.5時間)の作業時間を削減し、
社員の腰痛や凍傷リスクを低減します。
○作業効率の向上とトラック荷待ち時間の短縮
搬送作業の効率化により、トラックの待機時間を短縮します。
短納期への対応力を高めます。
○AGVと倉庫管理システム(WES=Warehouse Execution System)の連携
台車の位置情報を自動で呼び出し、目的地まで搬送します。
ベテラン作業者の暗黙知に依存した「属人化」を解消します。
冷凍環境下で社員が作業する時間を短縮し、働きやすい環境を整備します。
○出荷ミスの削減
出荷ミス率をほぼゼロに近づけることで、作業ミスを減らし、物流品質を向上させます。
○エネルギーと運用コストの最適化
搬送作業の自動化により、エネルギー利用と運用コストを最適化します。
■今後の展開
今回の導入を皮切りに、効果を検証しながら全国のGlicoグループ物流倉庫へ順次展開し、冷凍物流の新たな標準モデルを確立するとともに、業界全体の効率化と安全性向上に貢献してまいります。
関西フローズン株式会社
江崎グリコの100%子会社として、アイスクリームや冷凍食品の卸売・配送・売場管理を行っています。近畿・中部・中四国に15拠点を展開し、POSデータを活用して販促提案や「セブンティーンアイス」自動販売機の運営を強みとしています。冷凍倉庫と自社物流により品質と効率を確保し、地域の食文化を支えています。1996年に設立し、本社は京都府八幡市、従業員数は約570名です。









