月桂冠株式会社(社長・大倉治彦、本社・京都市伏見区)は、「日本酒の香りで癒しのひとときを」と題したスペシャルサイトを3月26日、月桂冠ホームページ内で公開しました。このサイトは、日常のリラックスタイムを日本酒のフルーティな香り「吟醸香(ぎんじょうか)」で彩っていただくための様々なヒントを提供するもので、「吟醸香」とは何かという紹介、日本酒の香りにまつわるアンケート結果、リラックスシーンでの吟醸香の楽しみ方、吟醸香の高い商品開発など、様々な情報を紹介しています。<URL> https://www.gekkeikan.co.jp/RD/keyword/ginjoka/
【吟醸香とは】
日本酒には実はさまざまな香りがあり、日本酒を楽しむ重要な要素となっています。その中でも特にフルーツや花のような華やかな香りを、吟醸香と呼びます。その代表的な成分はリンゴのような華やかな香りのカプロン酸エチルと、バナナのような芳醇な香りの酢酸イソアミルで、これらは、お米を原料に酵母の発酵によって作られます。
【日本酒の香りにまつわるアンケート調査結果】
月桂冠総合研究所が、吟醸香のもたらす作用についての研究の中で行ったアンケート調査結果を紹介しています。日本酒の香りに何を期待するか、リラックスタイムにどのようなアルコール飲料を飲んでいるか、またその時の気分、アルコール飲料を飲むタイミングといった4問のアンケート結果を紹介。その結果からは、多くの人が日本酒の香りに「癒し」や「華やかさ」を期待し、アルコール飲料を飲むと「くつろぎ」や「楽しい」気分になることが浮き彫りとなりました。
【リラックスシーンでの吟醸香の楽しみ方】
普段の生活の中でアルコール飲料が登場するのは夕食中や夕食後などで、まだ飲用のシーンやタイミングが限定されているようです。吟醸酒の香りを生活の中で生かしていくために、このサイトでは、料理だけでなくスイーツとの組み合わせ方や、入浴シーンでの使用方法、酒器の選び方など、日常のリラックスシーンで楽しめるヒントを紹介しています。
【吟醸香の高い商品開発について】
日本酒造りにおいてフルーティな吟醸香を醸し出すためには、特別な方法とする必要があります。原料となるお米をよく磨き、低温で長時間じっくりと発酵させる、「吟醸造り」と呼ばれる製法により、フルーツや花のような華やかな香りを酵母が醸し出します。月桂冠では、さまざまなタイプの香りの高い商品開発に、こだわりを持って取り組んでいます。サイトでは月桂冠歴代最高の吟醸香を放つ大吟醸酒や、果実感あふれる甘く艶やかな味と香りを詰め込んだ小容量びんの商品など、吟醸香を贅沢に楽しめるアイテムを紹介しています。
URL
https://www.gekkeikan.co.jp/RD/keyword/ginjoka/
(参考情報)
●日本酒業界全体の大吟醸酒造りに貢献
―月桂冠による吟醸香を高生産する酵母育種の歴史―
月桂冠では1980年代後半、酵母が醸し出す香気成分「カプロン酸エチル」「酢酸イソアミル」などの生成機構の解明に成功しました。その成果をもとにして吟醸酒造りに適した酵母を開発し、特許技術を広く開放してきました。それらの技術を用いて育種した菌株は、「きょうかい酵母」として公益財団法人日本醸造協会を通じて頒布され、全国の蔵元で広く活用されています。月桂冠の酵母育種技術が活用されたものとしては、「きょうかい1601号」、日本醸造協会と月桂冠の共有特許権となっている「きょうかい1701号」など吟醸香を多く作る酵母のほか、有機酸のひとつリンゴ酸を多く生産する酵母などがあります。特に1601号をもとにバージョンアップされた日本醸造協会の「きょうかい1801号」は、全国新酒鑑評会への出品酒の醸造にも多く使われています。月桂冠による酵母の研究と開発の成果は日本酒業界全体で活用されており、酒の香りや酸味をコントロールして目的とする美味しい酒質へと醸すことに貢献するなど、大吟醸酒造りを支えるもとになっています。月桂冠の酵母育種技術はオリジナル酵母の開発にも活用しており、直近では、従来の吟醸香高生産酵母の約2倍の吟醸香生産能を持つ酵母を育種するなど、吟醸香を高めた日本酒造りに直結する成果にもつながっています(「カプロン酸エチル超高生産株の育種と清酒実地醸造試験」と題して、「日本農芸化学会2020年度大会」で発表)。
●吟醸香の主成分の機能性に関する研究
月桂冠総合研究所は、日本酒のフルーティな香りの主要な成分である「カプロン酸エチル」や「酢酸イソアミル」を嗅ぐと、ヒトの心と体にリラックス効果(鎮静効果)をもたらすことを、筑波大大学院 矢田幸博教授の技術指導のもと、ヒトに対する有効性評価試験で確認しました(3月26日、「世界初!日本酒の香りによるリラックス効果を月桂冠総合研究所が確認」と題してニュースリリース)。この発見は、世界初となるもので、「日本酒の香りは生理的・心理的リラックス効果をもたらす」と題して、「日本農芸化学会2020年度大会」(主催:日本農芸化学会)で発表しました。
●月桂冠総合研究所
1909(明治42)年、11代目の当主・大倉恒吉が、酒造りに科学技術を導入する必要性から設立した「大倉酒造研究所」が前身。1990(平成2)年、名称を「月桂冠総合研究所」とし、現在では、酒造り全般の基礎研究、バイオテクノロジーによる新規技術の開発、製品開発まで、幅広い研究に取り組んでいます(所長=石田博樹、所在地=〒612-8385 京都市伏見区下鳥羽小柳町101番地)。