浮かぶ危機意識 気候変動「食に影響」98%、「農業に打撃」97% 生産者・消費者361人に共同アンケート

更新日: 2025年05月19日 /提供:日本農業新聞




 株式会社日本農業新聞(東京都台東区、代表取締役社長:田宮和史郎)と株式会社アイクリエイト(東京都渋谷区、代表取締役:粟田あや)は、気候変動が食や農業に与える影響について、生産者と消費者双方の認識を探る共同アンケートを実施しました。生産者と消費者の合計361人が回答。気候変動による猛暑や高温が日本の食に「影響を与えている」と答えた人の割合は全体の98%に達し、国民の幅広い層に危機感が広がっていることが分かりました。生産者の97%は、気候変動によって自身の経営や地域農業が打撃を受けているとの認識を示し、農業生産の現場に深刻な影響が及んでいる実態も浮かび上がりました。
 気候変動による食や農業への影響をより多くの方に知っていただくため、アンケート結果をまとめた記事は日本農業新聞公式ウェブサイトで無償公開しています。また、気候変動に関する世界的な報道連携「Covering Climate Now」による「89%プロジェクト」に参加しています。

 (掲載記事)
気候変動、再生産価格…共同アンケートで浮かぶ危機意識(4月30日付)
https://www.agrinews.co.jp/news/index/303358
気候変動に農家苦慮 本紙・企業共同アンケート(5月6日付)
https://www.agrinews.co.jp/news/index/304473

■アンケートの概要

 共同アンケートは、日本農業新聞の調査報道企画「農家の特報班(のうとく)」の一環として行いました。4月3日~10日の7日間、日本農業新聞は「農家の特報班」などのLINEや公式X、アイクリエイトは交流サイト(SNS)などで呼びかけ、インターネットで実施しました。無作為抽出の世論調査とは異なり、多様な意見を聞くことを目的としています。47都道府県の361人が回答。自身の属性を農家・農業関係者などの「生産者側」とした人は224人(62%)、「消費者側」とした人は137人(38%)でした。

■結果の概要

~生産者・消費者双方が危機感~
 回答者全体の98%が猛暑・高温などが日本の食に「影響を与えている」と回答しました。生産者側からは「有機農業を営んでいるが、温暖な時期が長引いて害虫被害が多発し、大変苦慮している。このままでは利益にならない」(埼玉県・野菜農家)、消費者側からも「身の回りでも耕作放棄地が増えていて、危機を感じている」(山形県・公務員)といった声が届きました。食料生産の維持に対し、生産者・消費者の双方に危機感が広がっていることが浮き彫りになりました。
~農業「続けられない」「深刻な打撃」7割~
 農家や農業関係者には、自身の農業経営や地域農業に気候変動がどのような影響を与えているか尋ねました。97%が打撃を実感しており、「農業を続けられないほどの打撃」が8%、「農業はなんとか続けられるが深刻な打撃」も63%に上りました。



~「持続可能な価格」の認識にギャップ~
 気候変動が食料生産に影響を与える中、農家にとって次期の生産に必要な利益が得られる「再生産価格」の認知度も調査しました。「意味を含めて詳しく知っている」人の割合は生産者側が55%だったのに対し、消費者側は29%にとどまり、生産者と消費者の認知度に差があることが分かりました。



~食守るため「行動している」9割、地場産購入が最多~
 日本の食を守るため、日常生活の中でどのような行動をしているかも調査したところ、「行動している」と答えた人が全体の88%を占めました。行動内容で最多だったのは「地元産、国産を積極的に買う」でした。「農畜産物の『再生産価格』を受け入れる」は4位でした。
 農畜産物の価格を巡っては、「米、野菜の価格をもっと上げていいと思う一方、さまざまな物が高騰している中、命をつなぐ食料をあまり高くできないのかとも思う」(福島県・兼業農家)と、生産者側からも消費者の生活に配慮する声が上がりました。一方、「生産者や消費者の努力も大切だが、限界がある。国が責任を持って農業を守らなければならない」(山口県・会社員)と、消費者側から農業政策の拡充を求める声もありました。



■日本農業新聞について

 日本農業新聞は、国内唯一の日刊農業専門紙です。1928年に創刊した「市況通報」を前身とし、「食と農の総合情報メディア」として、90年以上にわたって専門情報を伝えてきました。近年は電子版などの多メディア展開、LINEを使った課題解決型の調査報道、農業現場の気候変動の影響に関する報道にも力を入れています。農業の環境負荷低減・脱炭素化に向けたコンソーシアム「みどりGXラボ」も運営。気候変動の課題解決に貢献したメディアを表彰する「Media is Hope AWARD 2024」(主催:一般社団法人Media is Hope)の下半期媒体賞を受賞しました。
 (公式ウェブサイト)https://www.agrinews.co.jp/

■アイクリエイトについて

 食と農など、自然と協生したライフスタイルへの意識・行動変容をテーマに、さまざまなステークホルダーとの共創型プロジェクトや調査を手がけるブランディング・PR会社です。日本中の人々が、土に触れる体験を通じて身近な食への意識、行動を変えるきっかけをつくる「1億総スモールファーマー化プロジェクト」などに取り組んでいます。
 (公式ウェブサイト)https://i-crt.jp/

【お問い合わせ先】

日本農業新聞 編集局 メディアセンター部
メール:noutoku@agrinews.co.jp

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