地域のブランディングを支援する、Place Branding 魂(URL:https://placebranding.jp/ 運営:奈良アクア・ラボ株式会社)は、都市部(東京、愛知、大阪、福岡)に居住する15~79歳の男女700名を対象に、旅行についてのアンケート調査を実施しました。
本レポートは、地域において観光ブランディングを推進する方々が、より効果的なブランド開発を進めることができるよう、令和7年現在の旅行に関するトレンドを調査し、広く公表するものです。
調査の結果、旅行の計画時にもっとも力を入れているのは「費用を下げること」で、その割合は70.9%でした。旅行を趣味とする人は「グルメ・飲食」に注力していますが、金銭面にシビアであることは変わらないようです。今後行きたい旅行先は「国内への旅行」がトップの82.6%で、いっぽう「海外への旅行」は行きたくないと回答した人が半数以上の51.0%でした。旅行先の情報として信頼できるのは「公式サイト」がトップで、「SNS」は最下位でした。ただし、「SNS」は年代によって利用傾向に大きな差があることも分かりました。
日本人の旅行が国内回帰していることや、公式サイトをもっとも信頼していることなどが浮き彫りとなり、観光ブランディングにあたって、何に注力すべきかを示唆する結果となりました。
調査サマリー
1.旅行の計画、もっとも力を入れているのは「費用を下げること」70.9%
2.旅行好きのランキングは「グルメ・飲食」がトップも、金銭面にはシビア
3.国内旅行「行きたい」82.6%! いっぽう海外旅行「行きたくない」51.0%
4.信頼できる情報源は「公式サイト」80.7%、「SNS」を信頼できない60.7%
5.便利なのはWebサイト、上位3位を独占!
6.SNSを参考にする年代、そうでない年代
1.旅行の計画、もっとも力を入れているのは「費用を下げること」70.9%
旅行を計画するとき、何に力を入れているのでしょうか。7つの項目を挙げ、それぞれについて力を入れているかどうかを聞きました(図1)。その結果、「力を入れている」「やや力を入れている」がもっとも多かったのは「費用を下げること」で、その割合は70.9%でした。昨今の物価高が影響しているのか、観光業界にとっては厳しい状況のようです。次いで、「グルメ・飲食」「快適な移動」「ホテ
ル・旅館」と続きます。
なお、この調査結果は15歳から79歳の男女700名の集計になります。旅行好きの人はどうなのでしょうか。次に、旅行が趣味の人に限定した結果をみてみましょう。

図1「旅行を計画するとき、次のそれぞれに、力を入れていますか」
2.旅行好きのランキングは「グルメ・飲食」がトップも、金銭面にはシビア
調査対象700名のうち、旅行が趣味と回答した284名について集計しました(図2)。先の結果(図1)と比べると、「快適な移動」を除いて、全体的に力を入れている割合の高いことが分かります。旅行が趣味なので当然でしょう。ただし、移動手段には頓着しない人も多いようです。
注力していることのトップは、「グルメ・飲食」の86.3%でした。次いで「費用を下げること」の80.3%と続きます。旅行好きの人も、やはり金銭面にはシビアなようです。
なお、旅行が趣味の人のプロフィールは図3のとおりです。複数設定した選択肢(映画、読書など、複数選択可)から、「旅行」を選んだ回答者になります。

図2「旅行を計画するとき、次のそれぞれに、力を入れていますか(旅行が趣味の人)」

図3「趣味の質問に『旅行』と回答した人の割合」
3.国内旅行「行きたい」82.6%! いっぽう海外旅行「行きたくない」51.0%
旅行先として、今後、どういったところに行きたいか聞いたところ、トップは「国内への旅行」の82.6%でした(図4)。いっぽう、「海外への旅行」は最下位の49.0%です。むしろ、海外旅行には「行きたくない」と考える人が半数以上の51.0%でした。バブル期に海外旅行が激増したのも今は昔、金銭面にシビアなことが影響してか、旅行のトレンドは国内回帰しているようです。
先の設問と同様に、旅行が趣味の人について集計した場合も同様の傾向でした(図5)。ちなみにこちらは「国内への旅行」は圧巻の95.8%です。旅行が趣味の人は、「行ったことのないスポット」「その土地独自の特徴があるスポット」も90%を超えています。
観光ブランディングにあたって、インバウンドも重要ですが、国内回帰している日本人をどう取り込んでいくのかが問われているのかもしれません。

図4「今後、どういったところに行きたいですか」

図5「今後、どういったところに行きたいですか(旅行が趣味の人)」
4.信頼できる情報源は「公式サイト」80.7%、「SNS」を信頼できない60.7%
続いて、令和7年の現在、旅行先の情報をどのように取得しているか調査しました。まず、旅行先の情報として信頼しているかどうか、媒体ごとに「信頼できる」から「信頼できない」までの4段階の選択肢を提示して聞いたところ、「信頼できる」「やや信頼できる」の割合が最も多いのは「公式サイト」の80.7%でした(図6)。これは、宿泊施設や観光協会などの公式サイトが、良質なコンテンツを提供していることを示すとともに、観光ブランディングにあたって、何に注力すべきかを示唆する重要な結果だと考えられます。
逆に、「信頼できない」「あまり信頼できない」が多いのは「SNS」の60.7%でした。

図6「旅行先の情報として、次のそれぞれを、信頼していますか」
5.便利なのはWebサイト、上位3位を独占!
続いて、実際に旅行先を選ぶときに、各媒体を参考にしているかどうかを聞いたところ、参考にしているのはトップから「旅系のWebサイト」「公式サイト」「宿泊・ツアーの予約サイト」と続き、上位3位をWebサイトが占める結果となりました(図7)。「旅行誌・ガイドブック」は、信頼できる情報としては公式サイトに次ぐ順位でしたが、紙媒体であるためか、実際の利用においては手軽に利用できるWebサイトに軍配が上がるようです。
SNSは媒体として信頼されていないうえ、あまり参考にもされていません。しかし、SNSの利用は年齢により偏りがあるため注意が必要です。次に、SNSを参考にしているかどうか、年代ごとにみてみましょう。

図7「旅行先を選ぶとき、次のそれぞれを、参考にしていますか」
6.SNSを参考にする年代、そうでない年代
旅行先を選ぶときに、SNSを参考にしているかどうか年代ごとに集計したところ、結果は一目瞭然でした(図8)。10代は67.0%が「参考にしている」「やや参考にしている」と回答、年代が上がるにつれてその割合は減少し、70代では11.0%となりました。
観光ブランディングに限りませんが、情報を提供するにあたっては、まず、どういった層にその情報を届けたいかを決めて、それに応じた媒体を利用することが大切なようです。

図8「旅行先を選ぶとき、『SNS』を参考にしていますか」
■調査概要
調査名称:旅行についてのアンケート
調査期間:2025年3月17日~3月18日
調査対象:都市部(東京、愛知、大阪、福岡)に居住する、15歳~79歳の男女
調査数 :700名
調査方法:Webアンケート