
■実証実験の背景
日本では毎年約500万tの食品ロスが発生している。このうち事業系食品ロスは約50%である。農林水産省は令和元年7月に公表した「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」の基本方針において、食品関連事業者から発生する事業系食品ロスを2000年度比で2030年度までに半減させるとの目標を設定しており、これを受け、各社はさまざまな取り組みを行っている。
この取組における課題の一つが鮮度の判定である。現在、客観的に鮮度を判定する手法が普及していないため、多くの会社は経験、方針をもとに廃棄判断を行っている。そのうえ、安全マージンを取るため、十分に鮮度が保たれているものが廃棄されることがある。このように食べることができるものを廃棄することを避けるため、食品の鮮度を客観的に判断する手法が求められている。
そこで、Milk.株式会社はハイパースペクトルカメラの技術を使った鮮度測定を行うハンディタイプの分光計測システム「IRODORI(イロドリ)」(以下、イロドリ)を開発。今回、その有効性を確認するため食品の鮮度測定の実証実験を行った。近い将来、本実証実験の結果をもとにサービス化を実現し、食品ロスを低減する社会の実現を目指す。


■実証事項
食品を自社開発したイロドリで撮影し、客観的かつ正確な判定を行うための要件として、以下の観点で検証を実施した。
??食品の鮮度測定
食品をイロドリで撮影し、5G通信を介してクラウドにデータを送信後、クラウドでデータ解析を行い食品の鮮度を判定する。判定結果は5G通信でインターネットに接続されているPCから参照できるようになっており、食品をスキャンしてすぐに鮮度の確認を行うことができた。
■まとめ
今後もMilk.株式会社は、本実証実験の結果をもとに技術的課題を洗い出し、国内大手回転寿司チェーンの協力のもと、食品の鮮度測定システムの実用化することで、食品ロスを低減する社会の実現に向けて貢献していく。
■各社の役割
Milk.株式会社
ー 鮮度管理システムの開発
ー 実証実験の計画策定・実施
国内大手回転寿司チェーン
ー 実証実験場所の提供
ー 食品の提供
株式会社マグナ・ワイヤレス
ー 5G技術活用型開発等促進事業
令和4年度採択開発プロモーター
ー 実証実験の計画策定・実施支援
ー 5G端末の提供
【5G技術活用型開発等促進事業について】
東京都では、スタートアップ企業等による新しい日常に寄与するような5G 技術を活用したイノベーションの創出や新たなビジネスの確立を促進するための仕組みとして「5G技術活用型開発等促進事業/Tokyo 5G Boosters Project」を実施している。スタートアップ企業を支援する事業者として東京都より採択された開発プロモーターが、選定したスタートアップ企業に対して東京都、通信事業者等と連携・協働を図り、スタートアップ企業等の5G技術に関連するサービスなどの開発・事業化を資金的、技術的な側面からのサポート、マッチング支援等ネットワーク面の支援を行っている。
URL: https://5g-boosters.tokyo/
【Milk株式会社について】
Milk.株式会社は、宇宙技術であるハイパースペクトルカメラを医療・食品・インフラ分野など多分野へ応用するディープテックスタートアップ。世界ではじめてハイパースペクトルカメラを開発・命名した元JAXAエンジニアの佐鳥新教授から技術継承を受け、ノーベル物理学賞を志す代表の中矢により、2019年に創業。ハイパースペクトル画像のAI開発も行うハードウェアからソフトウェアまで一気通貫で開発を行うエンジニア集団として、大企業や大学を中心に研究開発を行っている。
会社概要
会社名:Milk.株式会社
所在地:東京都港区
代表者:代表取締役社長 中矢大輝
設立年月日:2019年12月
事業内容:ハイパースペクトルカメラの販売、データ解析、ソフトウェア開発等
URL:https:// milk-med.com
本リリースに関する問合せ
Email:info@milk-med.com