
株式会社帝国データバンクは、食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算した。
<調査結果(要旨)>
2025年1月のカレーライス物価は1食396円(前年同月317円)となった。
前年同月から79円上昇し、10カ月連続で最高値を更新した。
2025年2月の予測では、野菜類の価格高騰を背景に1食400円台へ到達する見通し。
[注]カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指数
各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)を参照。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした
カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移
(計算式)([当月の指数]-[前年同月の指数])/[前年同月の指数]×100
【原材料】 ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ(コシヒカリ、1食:約1合[炊飯前重量])、カレールー(市販)、食用油
【エネルギー】 電気(炊飯器での調理、約7合分の炊飯+6時間の保温を加味した)、ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、
水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く。食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)
2025年1月のカレーライス物価:396円 / 前年同月+79円
家庭の食卓で人気のメニュー「カレーライス」の調理費用が過去最高値を更新する局面が続いている。カレーの調理に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)を基に算出した、カレーライス1食当たりのトータルコストを示す「カレーライス物価」は、2025年1月時点で396円となった。前月(386円)から+10円、1年前の24年1月(317円)からは+79円・+24.9%と2割を超える大幅な上昇となり、10カ月連続で最高値を更新した。
前年からの値上がり幅も、2015年以降では最大だった。輸入牛肉の価格高騰は一服したものの、ジャガイモなど野菜類の価格が再び上昇したことでカレー具材の価格が上昇したほか、コメ価格の高止まりで「ごはん(ライス)」の値上がりも続き、カレーライス物価は引き続き上昇基調で推移した。

カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も高いのが全体の約5割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、209円(前年同月197円、+12円)だった。カレー具材の価格としては、猛暑による生育不良で野菜価格が高騰した2024年8月以来となる高値となった。「ごはん(ライス)」価格は158円となり、足元でコメ店頭価格が高止まりしていることを背景に、前年同月(92円)からは+66円と大幅に上昇し、過去最高値を更新した。炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(4円)は、政府による電気・ガス代補助により価格が抑制されたことで、低下傾向での推移となった。「カレールー」(25円)は価格の変動がなかった。
カレーライス物価を基に、2020年平均を基準(100)とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2025年1月の指数は144.5となった。カレーライス物価は5年間で4割を超える記録的な物価高が反映された。同指数の前年同月比では24.7%上昇し、20カ月連続のプラスとなったほか、2015年以降で最大を記録した。

今後の見通し
2025年2月:1食400円台に到達予想、高値圏での推移続く
東京都区部の物価動向を基に予想した2025年2月のカレーライス物価は、1食400円台に到達する見通し。農林水産省の調査による2月の価格見通しでは、カレーライス物価を構成する野菜類(ニンジン・ジャガイモ・タマネギ)では、いずれも「平年を上回る」見通しとなった。輸入牛肉は足元の円高傾向を背景に若干の値下がりも期待できるものの、野菜価格が高騰していることで価格を押し上げ、「カレー具材」は24年7月以来7カ月ぶりに210円台へ到達するとみられる。コメ価格では、2024年産(新米)を中心に店頭価格ベースで値上がりの勢いは鈍化傾向もみられるものの、当面は値下がりの可能性が低く、1食あたり150円台後半での推移が予想される。電気・ガス代は政府による負担軽減策で、3月調理分までは水面下で値下がりが続くとみられるものの、4月以降は反転上昇が見込まれる。
カレーライス物価は、近年例を見ない記録的な価格上昇圧力を反映し、引き続き高値圏での推移が予想される。