パス株式会社(東京都渋谷区: 東証スタンダード市場 コード番号3840)の連結子会社である株式会社アルヌール(東京都渋谷区、以下、アルヌール)は、鹿児島県の漁業協同組合である山川町漁業協同組合、神戸大学の川井浩史特命教授、新たに鹿児島県水産技術開発センターのご協力のもと、鹿児島県にて海洋養殖用種糸の陸上育苗を開始したことをご報告いたします。
カギケノリは飼料に微量添加するだけで牛のげっぷに含まれるメタンガスの発生を抑制する効果があるとして注目を集めている海藻です。しかしながら、全国の牛の飼料に添加することを目指すには天然のカギケノリを収穫するだけではまかなえません。そこで、アルヌールでは海と陸の両方でカギケノリの大量養殖技術の研究開発を行っております。
この度、アルヌールではこれまでの実験を踏まえて小さなカギケノリが付いた海洋養殖用の種糸の作製を行いました。この種糸を鹿児島県へ運び、水槽の中に張って育苗実験を開始しました。今後、カギケノリの生育を観察後、海へ移します。この実験結果をもとに最適な養殖条件の検証を行っていき、海洋養殖の段階的な規模の拡大を目指してまいります。
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カギケノリの種糸を張る様子(鹿児島県水産技術開発センターにて)
●日本初のカギケノリの海洋養殖へ向けた4つのステップ
1.陸上人工採苗
糸にカギケノリの「種」をつけます。アルヌールでは神戸大学川井先生のご助言のもと、確立したカギケノリの培養株を使って2通りの種糸作製方法を試験しています。
2.陸上育苗
種糸についたカギケノリを陸上の水槽の中で大きくします。海洋に出しても微細藻類や環境変化に負けない強いカギケノリに育てます。
3.本育成
育苗が完了した種糸を海洋に出します。種糸を設置する地点の潮流や水深などがカギケノリの養殖にどう影響するのか試験する予定です。
4.摘採
生育したカギケノリを収穫します。カギケノリは陸上にあげるとすぐに痛んでしまい有効成分が失われる可能性があるため、素早く効率的な収穫・保管方法の検討を行っています。
◆カギケノリ養殖生産量アップを目指した培養試験の受託
アルヌールでは現在、カギケノリを含む藻類の培養でバイオスティミュラント(※1)を用いた場合の培養試験を受託いたします。バイオスティミュラントを用いることで、生育速度や生育量が上昇する場合には培養時間の短縮につなげることができます。また、藻類の持つ機能性成分の含有率の上昇にも寄与する可能性があります。その他、アルヌールでは下記のような技術の提供を行っております。
《微細藻類の培養技術の導入、培養における専門技術提供、藻類育成技術の普及、バイオリアクター技術の提供、先進的な藻類培養ソリューションの提供、藻類内容物の抽出・精製方法の研究など》
※1「バイオスティミュラント」とは、植物や土壌により良い生理状態をもたらす、様々な物質や微生物。
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Kaginowaについてhttps://kaginowa.com
本プロジェクトでは、「カギケノリ」の生息地である鹿児島県の山川町漁業協同組合と、藻類の培養技術を持つアルヌールと共同で「カギケノリ」の研究と養殖方法確立により安定供給と海洋養殖による藻場の回復拡大を目指し、本来の海を取り戻す活動を行ってまいります。
また今後は、本プロジェクトに参加する自治体や企業を募り、海洋国家である日本において「カギケノリ」の大量養殖を海洋及び陸上と両側面にて養殖技術の開発および「カギケノリ」による「牛のゲップ由来メタン」の削減効果のある飼料の開発により持続可能な社会の実現を目指していきます。
■株式会社アルヌールについて https://www.alnur.jp/
会 社 名:株式会社アルヌール
本 社:東京都渋谷区神宮前六丁目17番11号 JPR原宿ビル
R&Dセンター:東京都豊島区高田一丁目25番3号
事 業 概 要:微細藻類の培養装置及びそのオペレーションノウハウを基幹技術とした、バイオメディカル・
ヘルスケア分野及びCO2削減等環境分野における研究・開発及びその技術提供、関連商品販売
海藻の一種である「カギケノリ」の力で、日本の畜産と漁業を未来へとつないでいく環境プロジェクト「Kaginowa」運営 https://kaginowa.com/