遊佐町合併70周年記念事業遊佐の小学生が地元でつくられている農作物を学び、食べる「学校給食ゆざごっつおの日学習会」に参加

更新日: 2025年01月28日 /提供:生活クラブ事業連合生活協同組合連合会

 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(本部:東京都新宿区、会長 村上彰一、以下生活クラブ)は 、山形県遊佐町が合併70周年を記念して遊佐町が実施した食育プロジェクト「学校給食ゆざごっつおの日学習会」に参加し、地元の小学5年生78名に向けて遊佐町の農業に関する授業を行ないました。生活クラブからは、神奈川・埼玉の組合員がオンラインで児童たちとつながり、生産者と消費者というだけの関係性にとどまらない、提携の歴史や関係性の深さ、そして遊佐町への思いを語りました。当日の様子や生活クラブから伝えたことをレポートします。





 本プロジェクトは、遊佐町の豊かな自然と生産者が育てた食材を深く知り、その食材を使った給食を食べることで、小中学校の児童生徒に地元食材のよさや魅力を再発見・再認識してもらい、先人のつくり上げた食文化を未来へつなぐための「掛け橋」となってもらうことを目的として実施される遊佐町の事業です。「地域農業と日本の食料を守り、持続可能な社会と地域を発展させる共同宣言」の取組みの一環として、遊佐町・生活クラブ連合会・庄内みどり農協の3団体がプログラムづくりに参加。遊佐の農業生産者と現場の教職員が各々の問題意識や課題解決を話し合う中で、この食育授業の内容や構成を決め、授業当日に臨みました。

 授業の冒頭で、長年、生活クラブと提携してきた生産者である、JA庄内みどり遊佐町共同開発米部会の眞嶋稔氏・長澤秀樹氏と、JA庄内みどりの遠田直樹氏が、 児童たちに「おじいちゃんやお父さんがお米をつくっている人はどれくらいいますか」と聞くと、手を挙げたのは2割程度。ほとんどの児童が農業について詳しくは知らないため、まずは「食料をつくり届け、景色や環境を守り、未来につないでいく」という農業の仕事についてお話がありました。途中クイズも交えながら、生乳の製造、花や苗を育てることも農業であること、稲刈りに使うコンバインが一般的な車よりも高いことなどが、分かりやすく楽しく伝えられました。
 そして長澤氏からは、 生活クラブ生協の組合員は50年以上前から遊佐町のお米を食べ続けていること、給食で出されているお米も「遊YOU米」という名前で日本各地の生活クラブ生協の組合員へ届けられていること、 「遊YOU米」は農薬と化学肥料を減らし環境を守る、特別なお米であることが話されました。また遊佐の農業の特徴である「飼料用米づくり」は、およそ30年前に生活クラブ、平田牧場、遊佐のお米の生産者が協力しあって始め、それが全国に広まっていったとも伝えられました。遊佐町では地元でつくった飼料用米で豚を育て、そのたい肥を田んぼに入れ土を豊かにし、またお米をつくるという「循環型農業」を実践しており、1頭の豚が102キロもの飼料用米を食べると聞いて、児童たちは「えー!」と驚きの声をあげていました。

 生活クラブからは、2名の組合員がオンラインで参加し、生活クラブと遊佐に関わる取組みや遊佐の農業・生産者への思いを、児童のみなさんにお話ししました。
●生活クラブ神奈川 籠嶋雅代 副理事長
「生活クラブでは毎年、全国のおおぜいの組合員が実際に遊佐を訪れ、生産者の方々と交流しています。生活クラブ神奈川では、2019年から遊佐の田んぼでのお米作りにも取り組んでいます。昨年夏の豪雨のあとも、たくさんの組合員がボランティアに訪れ、復旧作業を手伝いました。そのため昨年遊佐に来た組合員は400人にものぼります。こんなにたくさんの組合員が遊佐に来ているのを、知っていましたか?おおぜいの組合員が、「自分たちの産地」として遊佐を大切に思い、お米や農産物を食べつづけているんですよ」




生活クラブ神奈川 籠嶋雅代さん

●生活クラブ埼玉 石井清美 理事長
「『農薬を減らしてほしい』という私たち生活クラブの要求に対して遊佐の農家さんたちは努力をつづけてくれ、今では一般の農薬使用量の半分以下でお米をつくってくれています。これには本当に感謝しています。私が実際に遊佐に行ったときに驚いたのは、畔が緑色だということ。ちゃんと草が刈られた跡があるんです。みなさんはあまり驚かないかもしれませんが、除草剤を使っている田んぼ
では畔の草は茶色く枯れているんですよ。農薬を減らすことは、食べる人たちのために安全な食料をつくるというだけでなく、地域の人々の健康や自然環境を守ることにもつながっているんです」



生活クラブ埼玉 石井清美さん


 その後の質疑では、児童たちから「豚さんが食べているお米の品種はヒトも食べられるものですか」「循環型農業のメリットってなんですか」「牛もお米を食べますか」などの質問が活発に出ました。

 本授業のあとには、遊佐でつくられたものを材料にした特別な給食が提供されました。農家と生活クラブの想いが形になった“遊YOU米”の白米、遊佐町内の陸上養殖でつくられた「さくらます」の焼き物、遊佐産のほうれん草、白菜、人参のごま和え、平田牧場の豚肉と遊佐産のさつまいもやごぼうなど野菜をたっぷり使った具沢山味噌汁。そして、デザートのポン菓子(キャラメル味)にも“遊YOU米”が使用されていました。「遊佐でつくっているものだけで給食ができるなんて!」と教職員も児童たちも驚き、おいしいねと言いながら食べました。 

 児童と一緒に給食を食べた生産者たちは最後に「遊佐町の農業は、お米をつくり地域の景色と未来を守る、とても素敵なお仕事なので、みなさんが大人になったら、興味ある人はぜひ、私たちと一緒にお米をつくりましょう!」と呼びかけました。

遊佐の農産物を原料にしてつくられた生活クラブの消費材(生活クラブで取り扱う品物のこと。利益を追求した商品とは異なり消費するためのものとして、生活クラブでは「消費材」と呼びます)の展示もあり、児童たちはこんなにたくさんのものが遊佐の農業とつながっているということを知りました。


 遊佐町教育委員会の池田美海さんは「この1回で終わらせず、こういった食育プロジェクトをつづけていきたい」とお話ししていました。
 「学校給食ゆざごっつおの日学習会」では、おおぜいの生活クラブ組合員が遊佐を「自分たちの産地」として大切に思い、お米や農産物を食べつづけていることや、食べるだけではなく主体的なかかわりをもって産地と交流していることを、消費者側の立場から遊佐町の子どもたちや遊佐の生産者へ伝えることができました。また、子どもたちの身近にある、特徴ある遊佐の農業の価値を知ってもらうきっかけとなりました。これからも、遊佐をはじめ、日本の食料自給を次世代とともに守りつくっていくために、生活クラブではさまざまな活動に取り組みます。

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