グランプリに輝いた加賀屋グループ
旅行新聞新社(石井貞徳社長)は1月17日(金)、東京・新宿の京王プラザホテルで「第50回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」などの表彰式を開きました。あわせて、昨年12月1日に発表した「日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2024」の表彰を行いました。
「日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー」では、観光業界の専門紙「旅行新聞」が取材活動などを通じて、先進性や創意工夫が見られる観光業界の優れた取り組みを毎年選出しています。2021年に創設し、今回は4回目となります。
グランプリに輝いた「加賀屋グループ」(渡辺崇嗣社長、石川県七尾市)は、24年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」により甚大な被害を受けました。和倉温泉では旗艦店の「加賀屋」、「松乃碧」「あえの風」「虹と海」の4館が営業していましたが、現在も休業を余儀なくされています。
予期せぬ災害時にあって、宿泊者に“寄り添う” 献身的な心からのおもてなしに、宿泊客や常連客、避難所で支援を受けた地元住民からも続々と感謝と激励の声が届きました。能登半島地震発災後の加賀屋の姿勢は、日々おもてなしをしている全国の旅館にも「自信と誇り」を再認識させ、旅館業界からも数多くの称賛の声が上がりました。
本業の「旅館業」が休業しているなか、スタッフの希望を聞きながら、グループ企業や全国の旅館に出向させるなど雇用維持にも努めています。一方で新規出店など、さまざまな事業を前進させる歩みを止めていません。「能登半島復興応援」オンラインマルシェでは、共に復興を目指そうと、地元事業者の商品販売の支援も行っています。
優秀賞の伊予鉄バス
優秀賞の「伊予鉄バス」(清水一郎社長、愛媛県松山市)は、運賃改正による運転者の賃上げや労働条件の改善に留まらず、多様な働き方ができるように幅広く選択肢を設けるなど、慢性的な人手不足の解消に向けて力を入れています。
23年12月に年間を通じて休日数を約8%増加させ、24年1月の賃金改定では、実質的には1人当たり平均7%の賃上げを達成しました。親会社の伊予鉄グループは、23年10月から完全週休3日制に移行し、伊予鉄バスも週休3日制を選択できる枠組みを設けています。また、キャッシュレス割引の導入や、バス全線でモバイルを含む全国交通系ICカードの利用も始める予定です。EV(電気自動車)バスの積極採用や、自動運転バスの実証実験などにも取り組んでいます。
優秀賞の奥出雲多根自然博物館
同じく優秀賞の「奥出雲多根自然博物館」(多根幹雄理事長、宇田川和義館長、島根県・奥出雲町)は、地域に根差した「暮らせる博物館」の構想を掲げています。博物館は世界の化石や地球を形成するさまざまな鉱物、恐竜の全身骨格標本など約2000点を展示。館内には客室を備え、全国唯一の「泊まれる博物館」としても知られています。宿泊者を対象にした「ナイトミュージアム」も好評です。
1棟貸しの体験交流施設「奥出雲百姓塾」では、宿泊しながら近隣田畑での農業体験や、奥出雲の食材を使った料理体験などができます。
東京の大学からインターン生の受け入れや、地元調理専門学校とのコラボ企画などにも積極的に取り組み、博物館を拠点と周遊観光や、食を通した地域活性化にも貢献しています。