株式会社帝国データバンクは、生鮮食品などの値上げを加味した食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算し分析を行った。
総務省「小売物価統計」から、カレーライスの具材となるじゃがいもなどの材料や、電気・ガス代など水道光熱費の全国平均価格を基に、それぞれの分量や各調理工程の分あたりエネルギー使用量を配分し、算出した。
<調査結果(要旨)>
- 11月の「カレーライス物価」は1食377円、8カ月連続で最高値 前年に比べ2割高
- 12月は1食380円へ到達する可能性 近年例を見ない記録的な価格上昇圧力が続く
[注]カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指標
各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)、2024年9月確定分まで
カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移。なお、前年同月比の計算式は下記に準ずる
(計算式)([当月の指数]-[前年同月の指数])/[前年同月の指数]×100
カレーライスの材料・エネルギーの定義は下記の通り。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした
【原材料】 ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ(コシヒカリ、1食:200g換算)カレールー(市販)、食用油
【エネルギー】 電気(炊飯器での調理、約7合分の炊飯+6時間の保温を加味した)、ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く。食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)
調査機関:株式会社帝国データバンク
家庭の食卓で人気のメニュー「カレーライス」の調理費用が過去最高値を更新する局面が続いている。カレーの調理に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)を基に算出した、カレーライス1食当たりのトータルコストを示す「カレーライス物価」は、2024年11月時点で377円となった。前月(371円)から6円、1年前の23年11月(316円)からは61円の大幅増となり、8カ月連続で最高値を更新した。野菜類を中心とした「カレー具材」で値動きに一服感がみられる半面、コメ価格高騰で「ライス」の値上がりが大きく影響し、カレーライス物価は引き続き上昇基調で推移した。
11月の「カレーライス物価」は1食377円、8カ月連続で最高値 前年に比べ2割高
帝国データバンクは、生鮮食品などの値上げを加味した食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算した。カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も費用が高いのが全体の約5割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、前年同月から5円増の200円だった。輸入牛肉の価格は円安を背景に上昇が続いたものの、ジャガイモ・ニンジン・タマネギ(野菜類)の価格で大幅な値下がりが続き、4カ月連続で前月を下回ったほか、前年同月からの値上げ幅は15カ月ぶりに10円未満にとどまった。
他方で、「ごはん(ライス)」価格は149円と前年同月(92円)から57円の大幅増だった。足元のコメ価格高騰による影響が大きく、前年同月からの増加幅は過去10年で最大となり、11月単月のカレーライス物価を大幅に押し上げた主要因となった。炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(4円)、「カレールー」(25円)は価格の変動がなかったものの、特に水道光熱費では水面下で上昇傾向が続いている。
カレーライス物価を基に、2020年平均を100とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2024年11月の指数は137.8となり、5年間で4割にせまる上昇率となった。同指数の前年同月比では19.6%上昇し、18カ月連続のプラスとなった。
12月は1食380円へ到達する可能性 近年例を見ない記録的な価格上昇圧力が続く
東京都区部の物価動向を基に予想した12月のカレーライス物価は、1食380円に到達する可能性がある。野菜類では、全般的に価格が落ち着きつつあるものの、「カレー具材」は5カ月ぶりに前月を上回る可能性がある。コメ価格では、2024年産(新米)を中心に店頭価格ベースで値上がりの勢いに衰えがみられず、過去10年で初となる1食150円台への到達が予想され、カレーライス物価は近年例を見ない記録的な価格上昇圧力が継続する見通し。また、今冬は電気・ガス代も上昇しており、水道光熱費でも過去10年で初の1食あたり5円台に到達する可能性がある。
カレーライス物価は、当面の間、大幅な高値圏での推移が予想される。