株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘、以下リクルート)の観光に関する調査・研究、地域振興機関『じゃらんリサーチセンター』(以下JRC)は、このたび、全国の観光行政(自治体、DMO、観光協会等)および、民間企業(宿泊施設、交通事業者等)を中心に、オーバーツーリズムや観光客の平準化・分散に関する対策の現状を調査致しました。オーバーツーリズム解消に向けて必要な対策および課題点を明らかにすることを目的にした本調査では、調査結果から混雑緩和の手段として重要な観光客の分散のために、対応する人材・人手不足の解消と、広域エリア間連携が重要であることが分かりました。
調査背景および目的
訪日外客数がコロナ禍以前を上回るペースで好調に推移する一方で、国内主要都市および観光地においてはオーバーツーリズム対策の要望の声が高まっています。国も「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた取り組み」を進める中、観光地や観光関連事業者による現況に対する認識や、必要な対策および課題点について明らかにすることで、今後の対策検討や地域の観光施策に活用することを目的としています。
主な調査トピックス
観光行政・観光関連事業者は、観光客の増加により、業務や事業に対して好影響を感じる一方で、日常生活への好影響は感じにくい結果に(P.3)
過半数が生活圏の雰囲気の変化や、旅行者のマナーの悪さを感じている(P.4)
オーバーツーリズム解消のために必要だと思う対策のうち、実行することが難しいと思う対策は、「交通渋滞の解消」と「公共交通の輸送力向上」(P.5)
旅行客の分散・誘客対策がされない理由は、「人材/人手不足」と「エリア間の連携・役割分担」(P.6)
なお、本プレスリリースは詳細レポートより抜粋しています。本調査の詳細レポートは以下のURLからご確認ください。
https://jrc.jalan.net//wp-content/uploads/2024/11/report_overtourism.pdf
研究員コメント
日常生活を送るエリア(以下「生活エリア」)、業務・事業に関わるエリア(以下「業務エリア」)共に、観光行政・観光関連事業者の約60%が「混雑を感じている」と回答しました。これは、日本全体がこれまでにない数の観光客を受け入れていることを示しています。一方で、多くの観光客を受け入れることのメリットが、日常生活の中で実感できるほどではないことも浮き彫りになりました。地域においては、悪影響ばかりが生活に及ばないよう、混雑がもたらす諸問題への対策を進める必要があります。ただし、地域ごとに抱える問題や優先すべき課題は異なることも分かりました。また、交通インフラなどの問題には、地域単独では解決が難しい側面もあります。この状況に対して、各地域で発生している問題と真因を分析し、解決すべきポイントを整理する必要があります。さらに、観光地を取り巻くステークホルダーが連携し、他者任せにせず共に対策を検討していくことが重要です。観光客の分散や非混雑地域への誘客を進めるためには、人材・人手不足とエリア間連携が大きな障壁となっていることも明らかになりました。特に広域的な視点での連携には、多くの関係者が関わり、利害関係が異なる場合も多く、合意形成を取るのが難しいケースも見られますが、DMO(観光地域づくり法人)等のリーダーシップにより連携が進んでいる事例も増えてきています。今後の地域間連携強化に注目してまいります。
リクルート じゃらんリサーチセンター 研究員
長野 瑞樹
調査概要
・調査名称「観光地のオーバーツーリズムおよび分散・平準化対策に関する現状調査」
・調査目的 観光行政・観光関連事業者の生活エリア・業務エリアについて、旅行者による混雑状況や地域への影響度合いを把握し、オーバーツーリズム問題に対する意識や対応策の実施意向・実施状況を把握する
・調査方法 『じゃらんリサーチセンター』観光ネットワーク会員(以下、JKN会員)に向けたインターネット調査 ※JKN会員にメールでアンケートを依頼し、専用のweb画面で回答していただく形式
・調査期間 2024年8月28日(水)~10月4日(金)
・調査対象者 JKN会員(割付回収なし)
詳細は下記リンクよりPDFをご覧ください
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20241118_travel_01.pdf
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