ASTRA FOOD PLAN、農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)に採択

更新日: 2024年11月05日 /提供:ASTRA FOOD PLAN

寿高原食品、フィード・ワン、ヴォークス・トレーディングと連携し、「りんご搾汁残渣」をエコフィード飼料にアップサイクルする実証実験を開始




「サステナブルな社会の実現」をミッションに掲げるフードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN株式会社(埼玉県富士見市、代表取締役社長:加納 千裕 以下ASTRA FOOD PLAN)は、農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)に交付限度額 904,010千円で採択(※1)されたことをお知らせします。
 本事業では、国内飼料業界のリーディングカンパニーとして配合飼料の製造・販売事業を行うフィード・ワン株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、代表取締役社長:庄司 英洋、以下:フィード・ワン)、日本で初めてりんごジュースの商品化に成功した業歴105年の寿高原食品株式会社(本社:長野県千曲市、代表取締役:水井 寿彦)、ハウス食品グループでフードエンジニアリング商社の株式会社ヴォークス・トレーディング(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小村章夫、以下:ヴォークス・トレーディング)と連携し、廃棄されていた「りんご搾汁残渣」を、当社の特許技術「過熱蒸煎機」でエコフィード飼料(※2)や食品などにアップサイクルする実証実験を行います。

(※1)農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業(フェーズ3基金事業)とは
https://www.affrc.maff.go.jp/docs/phase3kikin/index.htm

(※2)エコフィード(eco-feed)とは
食品製造副産物等を利用して製造された飼料。エコフィードの利用は、食品リサイクルによる資源の有効利用のみならず、飼料自給率の向上等を図る上で重要な取組です。

飲料残渣の現状と課題について
■飲料メーカーでは、1日あたり数十トンの飲料残渣が発生
 当社は、食品工場で発生する野菜の端材や、産地で発生する規格外農作物など、一般的な「食品ロス」には含まれない「かくれフードロス」の解決を目指していますが、国内では食品だけでなく、飲料残渣も多く発生しています。
 ペットボトル飲料などを製造する大規模工場では、1日あたり数十トンの茶殻やコーヒー粕などの飲料残渣が発生しており、大量かつ腐りやすいという観点から食品への再利用が難しいため、一般的にはコストをかけて産廃処分、もしくは工場に付帯した設備で焼却して熱回収するなどされています。堆肥や飼料への活用がされている場合もありますが、一部に留まります。
 また、飲料残渣は家畜飼料としての活用も期待されていますが、従来の製造方法ではコスト高や販売単価の安さなど、経済合理性が合わないため国内でのアップサイクルが進んでいないのが現状です。一方で、海外で大量生産されるリンゴの搾汁残渣の乾燥品は、飼料原料として輸入されており、エコフィード飼料の原料でさえ海外輸入に頼っているのが現状です。


■食品ロス削減に取り組む寿高原食品。りんご搾汁残渣は1日最大約20トン
 規格外のりんごを使用して、日本で初めてりんごジュースを製造販売した、創業105年となる寿高原食品は、創業当時から「食品ロス」問題に取り組んできました。当時、薬用として種のみしか使われていなかったあんずの実を活用し、あんずジャムなどの商品開発を行なったり、長野オリンピックで、りんご搾汁粕繊維入り紙皿の製造協力をしたりするなど、創業時から現在まで「もったいない精神」が受け継がれています。



▼果実と歩んだ百年物語
https://www.kotobuki-hfc.co.jp/history/



 一方で、りんごジュースを製造する際に発生する搾汁残渣は、最盛期で1日あたり約20トン発生しています。搾汁残渣の半分を堆肥に、残りの半分をやむをえず廃棄しており、多くの輸送コストや製造コスト、廃棄コストがかかっていることが課題となっています。


<りんごジュースの原料>

<搾汁残渣>

実証実験の概要:
「りんご搾汁残渣」を「エコフィード飼料」や食品などにアップサイクル
本事業は2027年度までを予定しており、以下の4社が連携して取り組みます。
2024年度はプラントの設計や準備に着手、2025年度に過熱蒸煎機の量産型機開発、2026年度にテストプラントでリンゴ搾汁残渣を原料とした飼料および食品原料の「りんごパミスぐるりこ(R)」の生産を開始し、採算性を検証。2027年度に実装し、過熱蒸煎プラントの完成、販路の確立を目指していす。

■目的
1. エコフィード飼料と食品の製造を併用することで採算性が高められるかを検証し、経済合理性を担保
風味や栄養価を残したまま乾燥・殺菌できる『過熱蒸煎機』は、りんごの搾汁残渣を食品パウダーにアップサイクルすることができます。飼料は食品に比べ販売単価が非常に安く、コストをかけて再利用するよりも廃棄する方が安いことから、アップサイクルが進んでいませんでしたが、飼料と食品用途の販売の両方を行うことで、経済合理性を担保できると仮説を立てています。



2.『過熱蒸煎機』によって安く飼料を作り、大量に流通させる仕組み作り
当社の特許技術である『過熱蒸煎機』は、従来の乾燥装置に比べて量産性が高く、エネルギーコストが低いため、大量生産が可能です。現在の『過熱蒸煎機』の最大モデルでの1日の最大処理能力は4トン(1時間500kg原料処理、1日8時間稼働の場合)と、食品加工機械としては十分な処理能力ですが、飼料用途の場合は、より大きな生産能力が求められます。本事業で量産型を開発し、大量生産による製造コストダウンを図ります。



3. 「りんごパミスぐるりこ(R)」のバリューチェーンを構築
技術開発のみにとどまらず、ステークホルダーとバリューチェーンを構築し、「りんごパスぐるりこ(R)」の安定的な販路を開拓します。単価は安いが需要が高く大量に販売できる可能性が高い飼料用途と、需要を新たに創り出す必要がある食品等の両方の市場開拓を狙います。





■役割
寿高原食品:
寿高原食品の工場内を利用して、実証実験を行います。
長年りんご加工で培ってきたノウハウを活かし、りんご搾汁残渣の乾燥・製品化作業を担います。ASTRA FOOD PLANと共同で、効率的な乾燥プロセスの開発や、乾燥にかかるコストや労力の最適化を目指します。


フィード・ワン:
飼料メーカーとしての知見を活かし、「リンゴパミスぐるりこ(R)(※3)」を配合した飼料の開発や給餌方法の確立に取り組みます。実際に家畜に給餌し、成長や健康状態などを分析し、「リンゴパミスぐるりこ(R)」配合飼料の販売可能性を評価します。また、現在海外から輸入している熱風乾燥品のりんご搾汁残渣の飼料との比較・検証を行います。


ヴォークス・トレーディング:
国内外に広がる食品関連企業とのネットワークを活用し、「リンゴパミスぐるりこ(R)」の販路開拓を支援します。飼料以外の用途開発や商品化に向けたマーケティング調査、最適な価格設定や流通体制の構築をサポートします。

ASTRA FOOD PLAN:

プロジェクト全体の設計・統括、『過熱蒸煎機』の技術指導やプラント設計を行い、高品質な「リンゴパミスぐるりこ(R)」の安定供給を目指します。また、食品メーカーと連携し、「リンゴパミスぐるりこ(R)」を使用した食品の商品開発を推進します。

(※3)『ぐるりこ(R)』とは
規格外農作物や野菜の端材等を過熱蒸煎機で乾燥・粉末化した食品パウダーの総称。 素材別には”タマネギぐるりこ(R)”、”リンゴパミスぐるりこ(R)”などとなります。パミスとは果実を搾ったあとの種や皮のことです。

関係者コメント
寿高原食品株式会社 代表取締役 水井寿彦氏


当社では年間1,000t以上のりんご搾汁残渣が発生しており、自社堆肥製造センターにて堆肥化していますが、処理が追いつかず、およそ半分は産業廃棄物としてお金を払って処分(堆肥用、バイオマス燃料用)している現状にあります。堆肥やバイオマス燃料として使用されることにも意義がありますが、事業継続の観点からは、りんご搾汁残渣を最終的に有価物としてアップサイクルすることが理想的だと考えています。
 AFP社の『過熱蒸煎機』による乾燥は栄養価の損失が少なく、殺菌ができることが特徴ですので、飼料はもちろん食品にも用途が広がることで、有価物となる可能性を秘めています。
今回の実証試験でコストや量産化の課題に目処がつけば、当社のような青果を取扱うメーカーに大きなインパクトを与えるものであり、連携企業としてこの試験に参加できることを光栄に思っています。





■フィード・ワン株式会社 原料部部長 鈴木 謙吾氏


配合飼料は原料の一部として食品製造時に発生する副産物を使用しており、食品として利用できない副産物を飼料に活用することで食品リサイクルにも役立っています。日本では、毎日たくさんの食品ロスが発生しており、その多くが未だ廃棄物として処分されています。本取組みにおいてASTRO FOOD PLAN様の『過熱蒸煎機』を活用することで寿高原食品様のアップサイクルと連動し、弊社としても食品ロス等の更なる積極的な利用で資源循環型社会の実現を目指して参ります。





ヴォークス・トレーディング 代表取締役社長 小村章夫 氏


ヴォークス・トレーディングは企業理念を起点に、持続可能なサプライチェーンを目指 しており、事業活動を通して社会課題の解決とSDGsの目標達成に貢献したいと考 えております。 今回のプロジェクト参画は、「食品残渣の乾燥」としてだけでなく、CO2削減や 食糧危機対策など、社会課題解決に繋がる意義が大きいと考えており、一企業だけ ではこれらの難局を乗り越えることは出来ないと認識しております。
ASTRA FOOD PLAN社が掲げる、サプライチェーン全体を巻き込み、循環型 フードシステムの構築に賛同し、新たな食品原料にアップサイクルすることに連携して取り組んでいきたいと考えております。






■ASTRA FOOD PLAN株式会社 代表取締役 加納千裕


このプロジェクトは、ご縁と想いが繋がって実現しました。当社の理念に共感し、仲間に加わっていただいた3社には大変ありがたく思います。
「かくれフードロス」を削減し、アップサイクルで再利用することが当たり前な世界を実現するには、社会的意義だけでなく「量」のインパクトが重要だと考えております。寿高原食品様の1日最大20トンというリンゴ残渣は、私たちのこれまでの実績から考えると非常に大きな量で、実証も大がかりなものになります。いかに低コストに高品質な製品にアップサイクルできるか、プロジェクトメンバー企業の皆様と力を合わせてチャレンジし、実装を目指したいと思います。
この挑戦ができるのも、国からの支援あってのことです。期待に応え、日本を代表するスタートアップとなれるように飛躍していきたいと思います。




「SDGs」や「食品ロス削減」に関する取り組みをご検討の企業様へ
未利用資源のアップサイクルで生まれた高付加価値パウダー『ぐるりこ(R)』を使用し、料理メニュー、パン・菓子や加工食品の原料として採用していただける企業様を募集しています。お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先:https://www.astra-fp.com/contact/

寿高原食品株式会社について
長野県千曲市に本社を構え、果実加工一筋105年を迎える寿高原食品株式会社。長野県産を中心に、年間約8,000トンの果実を加工し販売しています。一次加工した製品を原材料として食品メーカー等に納入している他、一般消費者向けに様々な種類のジャムやジュースを展開しています。

ホームページ:https://www.kotobuki-hfc.co.jp/
フィード・ワンについて
牛、豚、鶏、養殖魚に与える配合飼料の製造・販売を主たる事業とする国内飼料業界におけるリーディングカンパニーです。飼料メーカーならではのノウハウやネットワークを活かし、生産から食卓までの一連のサプライチェーンをトータルコーディネートしています。

ホームページ:https://www.feed-one.co.jp/

ヴォークス・トレーディングについて
お客様、供給者、そして消費者の声を事業に反映する「食」のプロフェッショナル集団です。 世界の産地から香辛料、穀物、冷凍果実や冷凍野菜等を調達し、タイ・インドネシアでは生産工 場や圃場運営もするなど、食品商社の枠を超えた事業展開を強みとしております。 お取引先様とともに社会に新しい価値と満足を提供するフードエンジニアリング商社をめざしています。

ホームページ:http://www.voxtrading.jp/jp


循環型フードサイクル構築を目指す「ASTRA FOOD PLAN」
 ASTRA FOOD PLANは、過熱水蒸気技術を用いた食品乾燥装置『過熱蒸煎機』を開発・販売しているフードテックベンチャーです。
『過熱蒸煎機』は、高い生産効率とコストパフォーマンスを実現したことから、従来コストの問題で有効活用できなかった食品工場で発生する野菜類の端材や、規格外品などの未利用農作物、飲料ざんさ等を、付加価値の高い食材にアップサイクルすることができます。食品ざんさ廃棄の課題を抱える事業者に『過熱蒸煎機』を販売すると同時に、本装置で作られる新たな食品原料『ぐるりこ(R)』の用途開発を食品メーカーと協力して行うことで、フードロス問題の解決を目指しています。


一般的な食品ロスの約4倍。年間2000万トンにおよぶ「かくれフードロス」の実態

 現在コンビニエンスストアや量販店の売れ残りなど、本来食べられるのにも関わらず廃棄される「食品ロス」が問題となっています。しかし、一般的に認知されている「食品ロス」の量には野菜の芯や皮、ヘタなどの食品ざんさや産地で発生した規格外農作物や余剰農作物などの未利用農作物が含まれていません。
環境省の「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和4年度)」(※4)によると、2022年における日本国内の食品ロスは、約472万トンと推計されていますが、農林水産省がまとめた「食品廃棄物等の利用状況等(平成30年度推計)」(※5)では、食品ざんさや未利用農作物などの不可食部分も含めた「食品由来の廃棄物等」の食品ロスが2531万トンにおよぶことがわかっており、大きな社会課題となっています。
ASTRA FOOD PLANは、この一般的な食品ロスの約4倍となる年間2000万トン(※6)の食品廃棄を「かくれフードロス」と呼び、その削減とアップサイクルに取り組んでいます。




(※4)「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和4年度)」
https://www.env.go.jp/press/press_03332.html

(※5)
消費者庁『食品ロスについて知る・学ぶ』
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/

(※6)
「年間2000万トンのかくれフードロス」=「2531万トン(食品由来の廃棄物等)」-「約570万トン(本来食べられるのにも関わらず廃棄される食品ロス)」

『ぐるりこ(R)』について
 規格外農作物や、食品工場で出る端材など、これまで捨てられてしまっていた食材を乾燥してアップサイクルした食品パウダーの総称です。サスティナブルで循環型のフードサイクルを目指していることと、原料をぐるぐると回転させながら乾燥殺菌する製造工程の様子を表したキーワード「ぐるり」と、Collaborate、Cooperation、粉の「こ」を組み合わせた造語で、ASTRA FOOD PLANの商標となっています。
 『過熱蒸煎機』によってわずか5秒~10秒で乾燥・殺菌されて製造される『ぐるりこ(R)』は、熱による食材の劣化が極めて少ないことから栄養価が高く、風味が非常に強いのが特徴です。
 「タマネギぐるりこ(R)」においては、市販の熱風乾燥品と比較して135倍香りが強いことがわかっており、少量の添加で飴色タマネギの風味を付与することができます。主にベーカリーチェーン向けにオニオンブレッドの原料として業務用で2023年1月から流通を開始しており、2024年7月からは通販サイトで一般向けにも販売されています。






『過熱蒸煎機』について


『過熱蒸煎機』は、食品の風味の劣化と酸化、栄養価の減少を抑えながら、乾燥と殺菌を同時に行うことが可能な装置です。以下の3つの特徴により、野菜の不可食部分や、米ぬか、果物の搾りかす、飲料ざんさにいたるまで、高付加価値化した食材にアップサイクルすることが可能です。





- 食材の風味の劣化と酸化を防止
数百度の高温スチーム 過熱水蒸気を用いることで食材の酸化を抑え、栄養価の損失と風味の劣化を防ぎます。食材によっては旨味成分が増加し、ビタミンE、β-カロテンや葉酸などの栄養価が、熱風乾燥を用いた場合と比較して高いことも分かっています。

- 低コスト、高い生産効率を実現
ボイラーレスの過熱水蒸気発生装置を開発し、熱風と併用することでエネルギー効率が極めて高い乾燥・殺菌技術を実現。連続式で生産効率が高く、従来型乾燥技術のコストの課題をクリアしました。  

- スピード殺菌乾燥
過熱蒸煎機での食材への加熱時間はわずか5~10秒。短時間加熱で食材の劣化を抑えながらも、過熱水蒸気の効果でしっかりと殺菌ができるので安全に加工できます。


製品名:過熱蒸煎機
発売日:2022年4月4日
※『過熱蒸煎機』カタログダウンロード https://www.astra-fp.com/download/


・会社概要

ASTRA FOOD PLAN株式会社
URL:https://www.astra-fp.com/
本社所在地:埼玉県富士見市鶴瀬東1-10-26
代表取締役:加納千裕
設立:2020年8月
















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