株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、カマンベールチーズの摂取と認知機能の関係性についての研究成果メディア発表会を、10月15日(火)14時より虎ノ門ヒルズフォーラムにて開催しました。当日の内容を本事後レポートにてお伝えいたします。
第1部では、お二人の識者の先生をお呼びし、人生100年時代に健康な状態で長生きするために必要な認知機能の維持や低下予防について、そして白カビチーズ「カマンベールチーズ」と認知機能の関連性に関する最新エビデンスについて講演をしていただきました。
「健康寿命延伸と認知機能の維持」国立長寿医療研究センター 理事長特任補佐/桜美林大学 客員教授
鈴木 隆雄(すずき たかお)先生
健康寿命を延伸させよう
平均寿命が延伸するなか、いま改めて注目されているのが健康寿命です。年齢を重ねても自分らしくイキイキと暮らすためには、いかに健康寿命を延長させるかがキーとなります。
いくつかの要素からなる知的機能の全般を「認知機能」と呼び、日常生活を送るうえで欠かせない、重要な機能です。認知に関わる主な機能として、「記憶」「言語」「実行(遂行)」「計算」「注意」「見当識」「視空間認知」などがありますが、これらの認知機能は、加齢のほか、生活習慣の乱れにより低下するといわれています。
運動、睡眠、食事の改善で認知機能低下予防
「身体活動量が多いほど、アルツハイマー型認知症のリスクは低下した」というデータもあります※1。
また、睡眠も認知機能の維持に重要な要素で、睡眠時間は短すぎても、また長すぎても認知症のリスクが上昇する傾向にあるという結果も。また食事について「バランスの良い食事」とはよくいわれていますが、実際に、食品摂取の多様性が高いグループでは、多様性が低いグループに比べ、認知機能が低下しにくかったとのこと※2。
※1 Buchman, A S et al. Neurology vol. 78,17(2012)
※2 Otsuka R, et al. Geriatr Gerontol Int. 2017;17(6):937-944.
「カマンベールチーズ摂取と認知機能に関する最新研究成果」韓国・The Well Research Center 所長
金 憲経(キム ホンギョン)先生
なぜカマンベールチーズなのか
鈴木先生のお話にもあった通り、認知機能というのは、低下の状態が軽度であれば生活習慣により改善できる可能性があります。そこで、認知機能維持や低下抑制の可能性がすでに先行研究でわかっている食品の中でも、チーズ摂取と認知機能との関連性について、さらに掘り下げてみました。
牛乳・乳製品と認知機能の関連性については、日本の久山町研究において牛乳・乳製品の摂取が認知症(特に、アルツハイマー型認知症)のリスク低下に有益である可能性が示されるなど、これまでに国内外で多くの研究が報告されています。しかし、ここでいう「乳・乳製品」というのはチーズ・バター・ヨーグルトなどを含む「食品群」での分類であり、特定の食品による認知機能への影響は、実はあまり研究が進められていませんでした。
カマンベールチーズ摂取と認知機能の関連性を示唆
このような中、桜美林大学、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター、株式会社 明治では、牛乳・乳製品の中でもカマンベールチーズ摂取と認知機能維持の可能性に着目し10年以上前から研究を続けてきました。そしてこの度疫学研究にて、チーズの摂取習慣に加えて日常的に摂取するチーズの種類が認知機能の高さと関連することをヒト試験において初めて明らかにしました。この研究の成果は、2024年8月22日に国際学術誌Nutrientに掲載され、本日の発表に至りました。
【グラフ】地域在住高齢女性における認知機能低下と関連する因子 (地域在住の高齢女性 1,017 名を対象とした解)
今回の研究では、高齢女性において乳製品の中でもチーズの摂取習慣により認知機能低下を起こりにくくする可能性がヒト試験においてはじめて明らかになりました。さらに、チーズの種類の中でも「カマンベールチーズ」の摂取が、より認知機能の高さと関連することがわかりました(グラフ、※3)。
また今回の研究で、年齢が若いこと、歩行速度が速いこと、嚥下機能が維持できていることも認知機能低下の起こりにくさと関連していることが確認されました。
年齢、運動、栄養(食事)は、健康や認知機能の維持において大切な要素であろうことは想像されますが、これらの要素と並び、カマンベールチーズの摂取習慣も認知機能の維持に繋がる可能性が強く示唆されました。
カマンベールチーズに含まれる成分「オレイン酸アミド」摂取で認知機能維持の可能性
カビで熟成したチーズには、さまざまな生理活性成分が含まれています。これまでカマンベールチーズの脳や神経に作用する有効成分としては、「オレイン酸アミド」や「デヒドロエルゴステロール」といった脂質成分や、乳ペプチド等が特定されていました。(※4,5)
今回、こうした先行研究を踏まえ、オレイン酸アミドと認知機能との関連性をヒト試験で確認し、カマンベールチーズに含まれるオレイン酸アミドの摂取が、認知機能を維持させる可能性が示唆されることを明らかにしました。
※3 Suzuki et al. Nutrients vol. 16,16 2800. 22 Aug. (2024)
※4 Ano, Yasuhisa et al, PloS one vol.10, 3 e0118512 , 11 Mar.(2015)
※5 Ano, Yasuhisa et al, PloS one vol.10, 3 e0116598 , 11 Mar.(2015)
ゲストタレント 俳優・梅沢富美男さん登場、健康トーク炸裂!
ゲストとして俳優の梅沢富美男さんにご登壇いただき、1部で登場した2名の先生方と一緒に、楽しく美味しく脳を元気にする生活習慣についてトークセッションを行いました。
厚生労働省が2021年に発表した「健康寿命」に関するデータでは、2019年の日本男性の健康寿命は72.68才で、登壇された梅沢さんは現在73才と、まさに健康寿命の平均年齢です。梅沢さんには、認知機能の状態をチェックする「あたまの健康チェック(R)」という試験を事前に受けていただき、トークセッションの場で、この試験結果を発表しました。
また、梅沢さんの生活習慣をお伺いし、認知機能低下を招く恐れのある生活習慣や、その改善案について先生方からアドバイスをいただきました。さらに、梅沢さんの得意料理や最近作ったカマンベールチーズを使ったメニューを写真で紹介し、認知機能の維持のためにおすすめの食べ合わせや、手軽で美味しい食べ方についてもトークを行いました。
<トークセッション内容(抜粋)>
―――梅沢さんは現在73歳とのこと。まさに健康寿命の平均年齢でいらっしゃいます。ご自身の現在の認知機能の状態について、何かご自覚されることなどはありますでしょうか?
梅沢さん:いまも明治座で公演してますから、舞台の構成、振り付け、演出、お芝居、すべて自分でやっていますし、親父の代から110年続いてる劇団ですから、普通の73歳の人たちと比べると、優秀かなと思ってます。「300年に一度の俳優」といわれてますから。
―――実は、梅沢さんには事前に「あたまの健康チェック」という試験を受けていただきました!これは、あたまの健康状態に関する目安を独自指標であるMPIという値を用いて示すもので、点数ではなく偏差値のようなスコアになります。梅沢さんの「あたまの健康チェック」の点数は・・・67.78 でした!
梅沢さん:そのテストに記憶チェックみたいなものがあって、わたし台詞を覚えるのも速いほうなんです。役者って2通りあって、台本・脚本の文字で覚えるタイプと、声で覚えるタイプがある。わたしは音・声で覚えるほうですね。だから今回の試験は得意でした。でも同時に、舞台役者は台詞を捨てる作業もあるんですね。膨大な台詞があるので、捨てていかないと、次の台詞が出てこないときがあるから。このテストのときも、いくつか「覚えてください」と言われてそれをすぐ答えることはできるんですが、途中で世間話を挟むんですよ。そのあとに、「先ほど覚えたものを言ってください」と言われて…いじわるなんですよ(笑)。この点数は、俳句でいうと「凡人」ですね。だから大したことないんじゃないかな・・・。先生、どうでしょうか?
鈴木先生:偏差値でいうと60点台後半の数字は、上位15%のグループにある人ということで、さすが「300年に一度の俳優さん」だと思いました。日々舞台で身体を動かして、いろいろなことに気配りするという生活が、結びついてるなと。
脳をいくら使っていても、食事や睡眠の状況によって認知機能が衰える
梅沢さん:先生、ぼく夜に飲みに行くお店のお姉ちゃんの名前が覚えられなくなっちゃったんですよ。で、うちに帰って女房の前でその子の名前を思い出して呼んじゃって……。そういう失敗が多々あるんです。ちょっと弱ってるなって思うときも。
鈴木先生:いえいえ、その女性の名前がすっと出てきたのもいいことです。認知症を患う人は、エピソードトークの記憶がすとんと抜けてますので、そういう意味では元気ですね。ただ奥様に対してはご配慮が……。
梅沢さん:気をつけます。
―――金先生、梅沢さんに聞きたいことがおありということですが、ご質問いただけますか。
金先生:はい。さきほどの「あたまの健康チェック」のスコアはよいスコアでしたが、いかにそれをキープできるかは、日頃の生活習慣で変わってくるんです。梅沢さんいま食事や睡眠は規則的にできていますか?
梅沢さん:先生、芸能人っていうのはほんとうに不思議なもんで、売れれば売れるほど、生活が乱れるんですよ。売れてくるとどんどん仕事が忙しくなって、地方への公演も多くなる。100公演以上にもなる。そうなると、食事や睡眠が満足にできない。それが悩みですね。
金先生:実は脳をいくら使っていても、食事や睡眠の状況によって認知機能が衰えてしまいます。食事が不規則だったり、寝不足だったりするとのことで、今のままだと、認知機能が衰えていってしまう可能性がありますね。
―――忙しい梅沢さんですから規則的な睡眠や食事を取るのは難しいですよね。そんな梅沢さんですが料理本を出すほど料理がお得意でいらっしゃるんですよね!梅沢さんは普段からお料理はよくされるんですよね?実は本日、梅沢さんにカマンベールチーズを使った料理の写真を持って来ていただきました!
オレイン酸アミドという成分があるカマンベールチーズがベスト
梅沢さん:今回のイベントの話をいただき、カマンベールチーズを朝食にどんどん食べてみました。「オクラ納豆とカマンベール」「出汁巻き卵、カマンベール巻」、それに最後は「カマンベール味噌汁」です。味噌汁にカマンベールチーズは相性抜群です! わたしと藤田ニコルみたいな関係です!和食にもあいますね~。
金先生:すばらしいです。カマンベールチーズたっぷり使って、おいしそうです。認知機能維持という観点では、そうとう意識してるんじゃないですか。
梅沢さん:ちなみにカマンベールチーズじゃなきゃだめなんですか? そのほかのチーズは?
金先生:何が大きく違うかというと、カマンベールチーズに代表される白カビタイプのチーズには、オレイン酸アミドやデヒドロエルゴステロールといった脂質成分や乳ペプチドなどが含まれていて、これが脳や神経に作用する有効成分として特定されています。
また、先ほども解説しましたが、「オレイン酸アミド」という成分の摂取と認知機能との関連性を示すヒト試験も出ているんですよ。
梅沢さん:なるほど、やはりカマンベールチーズじゃなきゃだめなんですね。
―――さらに今日は、皆様にご試食いただいたきたいメニューをご用意しています。「カマンベールチーズのはちみつがけと、カレー粉がけ」です。こちらは事前にスタッフが認知機能維持を意識してつくったものです。このナッツやはちみつ、カレー粉には抗酸化作用のある成分を含んでいるということなのですが、いかがでしょう。
鈴木先生:抗酸化作用も認知機能の維持に期待されているので、カマンベールチーズととてもいい食べ合わせですね。
梅沢さん:カマンベールチーズにカレー粉って、相性いいんですね。いい加減な料理だなって思ったけど、めちゃめちゃいいです。はちみつがけもおいしい!これは“才能アリ”だね!
金先生:わたしはカレーはあまり食べないんですが、これは食べられます! カマンベールチーズとカレーはぴったりあう! 工夫って大事ですね。
―――それではお時間も迫ってきましたので、最後に梅沢さん、鈴木先生、金先生から一言ずついただけますでしょうか。
梅沢さん:カマンベールチーズを食べて、脳が健康になるならば、夜のお店のお姉ちゃんの名前も覚えられて、最近の課題が解決できます!
鈴木先生:実はそもそも、日本の高齢者は、乳・乳製品の摂取が欧米と比べても少ないんですね。認知度も低い。さらに、カマンベールチーズを食べる人はまだまだ少ない。“食の多様性”という観点からも、こうしたカマンベールチーズを、普段の食卓で楽しんでほしいと思いますね。それからもうひとつ、夜のお店のお姉さんの名前を忘れちゃうというのは科学的なエビデンスがないので、これからチャンスがあれば研究してみたいと思います。
金先生:運動も大事です。認知機能を考える場合、有酸素運動を中心として、もっと脳が刺激されると考えています。
梅沢さん:カマンベールチーズが脳に実にいいことが本当によくわかりました。カマンベールチーズを食べて、運動も続けながら、これからも芸能界の若いヤツらにカツを入れていきたいと思います!
<明治 研究成果メディア発表会「カマンベールチーズと認知機能の意外な関係」 開催概要>
【日 時】 2024 年 10 月 15 日(火) 14:00~15:15
【場 所】 虎ノ門ヒルズフォーラム (港区虎ノ門 1-23-3 虎ノ門ヒルズ森タワー 5階)
【内 容】
■第1部:総論とエビデンス
登壇者:
鈴木 隆雄 先生(国立長寿医療研究センター 理事長特任補佐/桜美林大学 客員教授)
金 憲経 先生(韓国・The Well Research Center 所長)
■第2部:トークセッション
登壇者:
■ゲストタレント 俳優・梅沢 富美男様、鈴木 隆雄先生、金 憲経先生
■フォトセッション
株式会社 明治 グローバルフードソリューション事業本部本部長 三井 基史
株式会社 明治 研究本部長 市原 淑立
鈴木 隆雄 先生
金 憲経 先生
梅沢 富美男様