株式会社帝国データバンクは、「豆腐店」の倒産動向について調査・分析を行った。
<調査結果(要旨)>
- 「安い豆腐」限界 豆腐店の倒産・廃業急増
- 「物価の優等生」薄利多売で利益出ず 半数が「赤字」経営
集計期間:2024年7月31日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産、休廃業・解散企業
調査機関:株式会社帝国データバンク
※調査結果は下記ホームページにも掲載予定
https://www.tdb.co.jp/report/index.html
卵やもやしと並ぶ「物価の優等生」として食卓を支えてきた豆腐で、メーカーの倒産や廃業が急増している。スーパーなど小売店向けにパック豆腐などを生産する「豆腐店」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)と廃業は、2024年1-7月に計36件発生した。年間で過去最多に並んだ2023年(計46件)を上回るペースとなり、前年を大幅に上回る年間60件台に到達する可能性がある。
豆腐店の経営は、豆腐づくりのコスト増と価格転嫁の難しさのはざまで厳しい状況が続いている。量産豆腐に多く使用される米国産など輸入大豆の価格は落ち着いたものの、円安などの影響を背景に高止まりで推移するほか、電気・ガス代や物流費、プラスチック製が多い容器代などのコストも値上がりした。他方で、豆腐は生鮮食品などと同様に日持ちせず、「特売品」の目玉として小売業者からの値下げ圧力は高い。加えて、主要な販売先のスーパーで近年急速に台頭してきた安価なPB豆腐製品や、大手メーカーによる安価な大量生産品との価格競争が厳しくなっている。
実際に、豆腐1丁あたりの大豆原価率を試算すると、足元でコロナ前を上回る10%台で推移するなど高い水準が続いている。他方、こうしたコスト上昇分を販売価格へ転嫁できるケースは少なく、豆腐店の損益は約半数が「赤字」となった。「薄利多売」による経営環境の悪化に、後継者難といった経営課題も重なったことが、豆腐店の倒産・廃業が急増した要因とみられる。
安値で食卓を支えてきた「物価の優等生」の看板を前に、豆腐の適正価格への理解が進まなければ、豆腐店の倒産や廃業が今後さらに増加する可能性もある。