愛知県豊橋市は、地元の地産地消を盛り上げるために生産者と飲食店、菓子店などとのマッチングを行い、メニューを開発しています。2024年7月16日(火)には、豊橋市駅前大通2丁目の複合施設「emCAMPUS EAST」のemCAMPUS FOODで夏の生産物を使った新メニューをマスコミに向けてお披露目。食材の作り手と料理の作り手、双方のプロの手によって新たな魅力が引き出されたメニューがそろいました。各店舗での提供もこの夏、始まります。ぜひ、市内を巡って「農業王国・豊橋」を体感してください!
市町村別農業生産額が全国14位の豊橋市は、地元の生産物の価値を高めるため、市内の飲食店、菓子店、加工業者と農畜水産業者との橋渡しをするマッチング会を2022(令和4)年度から実施しています。豊橋産の生産物をふんだんに使ったメニューを新たに生み出し、市内外の方々が気軽に食べられる環境を整えることで、地産地消を推進していきます。昨年は、25の新メニューが13店舗と12生産者により開発されました。
3年目となる今回は、生産量の多い秋、冬の生産物に加えて、夏の生産物を作る農家とのマッチング会も開催。5月27日に行われたマッチング会には、日本料理や洋食、ラーメン、カフェなどさまざまなジャンルの12の飲食店・菓子店・加工業者が、農家側は生産量日本一の大葉とラディッシュをはじめ、摘果ミカンやトウモロコシなど11の生産者が参加しました。マッチング会では、生産者から育て方のこだわりや特徴、おいしい食べ方などを発表しました。飲食店側は、気に入った生産者へ自身の名刺を投票。その結果、メニュー開発に13件、それ以外にも、生産者との取引のみを希望するマッチングも30件が成立しました。こうして飲食店と開発オファーを受けた生産者がグループを組み、約1カ月かけて食材の特徴を生かしたメニューの創作に励みました。
7月16日、マスコミ向けに行われた新メニュー発表会には、6の飲食店・菓子店等と8の生産者が出席。6組のグループがメニュー開発の秘話やこだわりなどを5分間でプレゼンしました。
トウモロコシが真っ白いプリンに【カフェ&ガトー ノード】
「カフェ&ガトー ノード」(駅前大通1丁目)の「雪の妖精の白プリン」(500円、以降すべて税込)は、「村松農園」の白いトウモロコシのペーストを使った、優しい甘さが口に広がる一品。また、ウイスキーに漬けたセミドライのトウモロコシを焼き込んだ「コーンパウンドケーキ」(200円)は、食べている間に食感と香りが変わるところに面白さがあります。 一方、薄黄緑色の「エメラルドソーダ」(500円)は、「ヤマイシ果樹園」の摘果ミカンを使用。グラスの下には皮から抽出した青ミカン茶のゼリー、液体部分はシロップとビネガーをバランスよく配合しました。小さくて青い摘果ミカンがちょこんと飾られ、見た目も涼を感じるドリンクに仕上がっています。
マッチング会に初参加した村松農園は「ドライのトウモロコシは使い方を明確にできないまま作ったが、おいしくしていただいた。ペーストは思いつきもしなかった。勉強になりました」、ヤマイシ果樹園は「名前もかわいいが、この暑い中で働いて、外で作業してるときに飲みたい一杯」と語りました。提供は8月1日~31日。
次郎柿の葉と皮を生かしたバウムクーヘンを開発【ドイツパン専門店 渡りに麦】
続いて、ドイツパン専門店「渡りに麦」(牟呂町)は、豊橋の特産品次郎柿とコラボし、ドイツの伝統菓子であるバウムクーヘンを作りました。豊橋の魅力が詰まった土産にするため、通年で作れるように次郎柿の葉と皮を使っています。「すごく糖度があるし、栄養もある」と言う柿の皮はドライにして使用。「柿の糖度を利用したことで実質40%ほど、いつものバームクーヘンに比べて、砂糖を減らして作ることができました」と説明しました。葉の美しい緑色を生かすため、粉とペーストを混ぜ込み、2層のバームクーヘンになっています。「本来いらない、 使わなくなったものもあえて拾って役目を与えてあげたい。ここにクローズアップしたいと思い、皮と葉っぱを選びました」と開発のこだわりを語りました。
次郎柿を生産する「おかもと農園」は、「試食を食べて感動しました。完成度も高く、色合いも上品で大人のお菓子という感じがして、とてもうれしいです」と喜びました。「ジローのブレッターバウムクーヘン」(420円)の提供は7月20日から。
豊橋市住みます芸人が福祉事業所とコラボ【きゃらっとICHI】
弁当や手羽先を販売する「きゃらっとICHI」(西橋良町)は、「豊橋市住みます芸人」でお笑いコンビのASANAと協力。きゃらっとICHI代表者は、「芸人をやりながら農作物を育てているASANAさんと、飲食店だけど福祉事業所もやっているきゃらっとICHI、お互いに二つのことを同時にやってるということで、通じるものがあるのかなと思って選びました」と、コラボ理由を説明しました。今回は、ASANAが育てたジャガイモで、「ASANAふぁーむのノンフライポテトICHIプス(予定)」と「ASANAふぁーむのキャラット揚がった極コロッケ5種(予定)」(各400円)を用意。コロッケはきゃらっとICHIで販売する手羽先のほぐした身を混ぜたものや、カレー味、青じそ味などを用意しており、「季節に応じて味を変えていきたい」と言います。
ASANAは、「今年の夏はきゃらっとICHIのキッチンカーに僕たちも出て、夏を盛り上げたい」と意気込んでいます。提供期間は8月上旬~9月末(予定)。
3種類のドリンクが乾いた喉を潤す【(C)?(マルシー)】
青果市場「大一青果」内でカレーと煮込み料理を出す「(C)?(マルシー)」(南島町)が作ったのは、3種類のドリンク。「おかもと農園の柿ラッシー」(500円)は、柿のペーストとドライを柿の葉の粉末と合わせてヨーグルトドリンクにしました。ピンク色がかわいらしい「らでぃっしゅ屋のラディッシュソーダ」(同)は、ラディッシュの皮だけを煮出したシロップをソーダで割りました。「ヤマイシ果樹園の摘果みかんエード」(同)は、果汁と粉末にしたドライの皮を入れており、ミカンの魅力をストレートに届ける一杯。「商品になりにくいものや、規格の兼ね合いでなかなか市場に出せないようなものも積極的に使うことで、召し上がっていただけるような形になればと思いました」と話しました。
「らでぃっしゅ屋」は「ドリンクを作ると聞いたとき、『大根の絞り汁になりますよ』と伝え、どうなることかと思っておりましたが、出来上がったものがとてもピンクでかわいらしい飲み物でした。鼻を近づけると大根の香りがなんとなくするけれど、 飲んでみると全然違う。夏は爽やかに飲めると思います」と太鼓判を押しました。提供は7月日から。「ヤマイシ果樹園の摘果みかんエード」は9月30日まで。
トウモロコシの甘みとニガウリの苦味がドライサラミの味をより複雑に【ニクロハ】
1949(昭和24)年創業の精肉店「ニクロハ」(絹田町)のドライサラミ「ニクロハ豊橋サラミ」(1本980円)は、村松農園のトウモロコシとニガウリを加えることで、味に複雑さを出しました。ニクロハは「今後もどんどん改良しながら、いろんなサラミやテリーヌ、生ハムにも挑戦していきたい」と地産地消への取り組みにやる気十分。
村松農園は「噛んだときに、お肉の脂と塩のおいしさ、トウモロコシの甘さ、ニガウリの苦さ、いろんなジャンルのおいしいが口の中いっぱいに広がり、すごくおいしかったです。ニガウリは好きな人はすごい好きだけど、そうじゃない人もいると諦めに近い気持ちを持って作っていましたが、このサラミはそういう人にもきっとおいしいと言ってもらえるものだと思います」と喜びを語りました。提供期間は7月17日~9月末(予定)。
思わず写真を撮りたくなる回鍋肉【中国四川料理 道】
最後は中国四川料理「道」(草間町)。「びっくり回鍋肉」(シェフの気まぐれコース11000円の1品、要予約)は、低温調理でしっとり柔らかくなった田原ポークとキャベツの上に、「イラコファーム」の新商品で鮮やかな黄身が特徴の鶏卵「♯華音」が、ドドンと真ん中に乗った回鍋肉の概念を覆す一品。
また、豊橋温室園芸農業協同組合大葉部会の大葉を混ぜた「大葉のカステラ」(650円)は、しっとりとした口当たりで甘さ控えめな台湾カステラになっています。「女神のほほえみ」の米粉を使ったグルテンフリーもポイント。同部会は「大葉は食事に使われることがほとんどで、スイーツという発想がかなり斬新でした。農家の中でも『甘いものに大葉は難しいんじゃないか』という声が大きかったが、試作品を食べた農家が『本当においしい』と。 甘さも控えめで老若男女、特にお子さまにも食べてもらえると思う。少子高齢化で子どもが少なくなってる中で、癖の強い大葉をまずはこの食べやすいカステラが入り口になってくれれば嬉しい」と期待しました。「びっくり回鍋肉」は8月1日~31日、「大葉のカステラ」は7月18日から1日数量限定で提供します。
新メニューを食べて農産物ゲット! アンケートキャンペーンを実施
豊橋市は、新メニュー提供に合わせて、アンケートキャンペーンを行います。各店舗でメニューの提供開始から8月31日(土)までの期間、コラボメニューを食べて、QRコードを読み取り、アンケートに回答すると、抽選で20人に農産物や加工品をプレゼントします。各店舗で提供期間が異なるので、emCAMPUSのホームページで確認の上、ぜひ、店に足を運んでください!
新メニューについて詳しくはコチラ
https://www.city.toyohashi.lg.jp/60789.htm