アリスタと新農園芸資材「バイオスティミュラント」分野で協業へ

掲載日: 2024年06月06日 /提供:サカタのタネ

異常気象を背景に市場拡大、「GAXY」国内発売、BS商品共同開発開始




株式会社サカタのタネ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:坂田宏)は、農薬大手のUPL Limited(本社:インド、CEO:Jai Shroff、以下UPL社)のグループ会社であるアリスタ ライフサイエンス株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:カノウ ダニエル ケンジ、以下アリスタ社)と、世界的に市場が拡大している新しい農園芸資材バイオスティミュラント(以下BS)分野で協業します。協業の第一弾として、UPL社が開発した海藻由来のBS「GAXY」(ギャクシー)の日本販売権を得て、2024年6月6日から発売し、第二弾として新しいBS商品の共同開発を開始します。2年以内の商品化を目指しています。

BSとは、植物生理に作用し、高温乾燥・低温など環境ストレス耐性、栄養吸収、代謝の促進、光合成活性化などに寄与する資材です。近年、異常気象による農作物の収量低下などを背景に、世界的に利用が拡大しており、市場規模は約3,650億円とも推定されます(※1)。日本でも農林水産省「みどりの食料システム戦略」に明記されるなど、認知が広がっています。

一方、農薬や肥料と比べて新しい資材であるBSが普及するには、その効果はもちろん、散布労力やコストの軽減が求められます。アリスタ社の試験により、「GAXY」は多くの農薬と混用できることが確認されています。「GAXY」の原料である海藻抽出物 GA142は、不純物の除去に成功したことによりゲル化沈殿の問題が生じにくく、海藻系BSの中では粘度が低いためドローンでの散布にも向きます。他社商品と比べ少量(希釈倍率 葉面散布 5,000~10,000倍)で効果を発揮するため、コストパフォーマンスにも優れます。

日本の農業現場では猛暑や日照不足、肥料価格の高騰など、さまざまな課題があります。「GAXY」は水分や養分吸収の改善による高温乾燥、塩害などのストレス耐性向上、光合成能力のサポート、内生ポリアミン生成による花芽誘導および果実の肥大均一化など、生産者の課題に対し広く活用できます。

「GAXY」の価格(※2)は1リットル26,400円(税込)です。全国の種苗店、農業資材店、JAなどを通じて営利生産者向けに発売します。3年後の販売目標金額は1億5,000万円です。

※1 DunhamTrimmer(R)’s Global Biostimulant Report 2020より、2021年:$2,540Mを円換算(1USD=144円)。
※2 価格はすべて希望小売価格(税込)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。

■国内外で市場が拡大、バイオスティミュラントとは
BS(バイオスティミュラント)とは、植物生理に作用し、環境ストレス耐性、栄養吸収、代謝の促進、光合成活性化などに寄与する資材です。高温乾燥、低日照、塩害など、栽培環境は日本のみならず、世界的に厳しくなってきています。さらに化学肥料や農薬削減への潮流もあり、従来の栽培方法とは異なるアプローチが求められています。このような中で、植物生理に作用し、根の活性化、栄養吸収効率向上などにより収量や品質向上に寄与するBSは、国内外ともに市場が拡大しています。

なお、BSは2010年代後半から認知が広がった言葉ですが、農業の現場では古くからその考え方や資材が経験的に使われてきました。当社でも今ではBS資材とされる「バイテクバイオエース(R)」(1988年発売)、「サカタGB」(2011年発売)などを30年以上前から販売し、生産現場の課題を解決しています。



出典:DunhamTrimmer’s Global Biostimulant Report 2020

■農薬メーカーと種苗メーカーで手掛けるBS普及
BSは植物の環境ストレスに対応する資材です。植物が受けるストレス(高温、低温、低日照など)は毎年条件が異なるため、BSを有効活用するためには植物の状態を見極め、適切な資材を施用する必要があります。サカタのタネは植物の新品種を開発する種苗メーカーとして、植物生理に精通した活用提案が可能です。また、自社品種の栽培に関する講習会を毎年各地で開催しており、その中でBS活用についても現場の課題に即した提案ができます。当社は長年のBS商材販売実績があり、各品目への活用方法や社内人材など多くの蓄積があります。

世界的農薬大手UPLグループは、バイオスティミュラント開発においても優れた製品・技術開発力と普及推進力を持ちます。今後はサカタのタネから同社に生産現場のニーズや活用方法などの情報を提供し、それらを基に日本の農業の課題解決につながる新しいBSを共同開発することなどを計画しています。

■散布コスト低減、ドローン散布可、「GAXY」をBSの入り口に
天候不順や化学肥料・農薬削減など、現在の農業現場が抱える課題解決に寄与すると期待されるBSですが、普及には農薬や肥料と比べて現場の優先度が低いという課題があります。「GAXY」は他社商品と比べて薬剤費、作業コストを軽減でき、気軽に生産者がBSを利用することができます。特に、現在日本でも活用が広がっているドローンで散布できる点は大きなメリットです。一般的な海藻系BSは粘度が高く、ドローンの機体によっては詰まりやすく、散布に向きません。また、ドローンは積載できる薬剤量も多くないため、少量で効果が出ることが求められます。「GAXY」はこれらの課題を解決したうえに、農薬との混用(※3)もできるため、作業労力軽減を実現しました。資材費が安く、ドローン散布できることは、広い面積で栽培していることの多いコムギなど穀類への活用も期待できます。

「GAXY」は環境ストレスの緩和、肥料要素の吸収促進、光合成能力のサポートなど、多くの品目の課題に寄与します。通常行っている農薬散布の際に混用散布(※3)するだけでも、天候不順などへの備えになり、収量低下リスク低減が期待できます。「GAXY」をBS活用の入り口とし、国内生産現場でのBS利用拡大を目指します。

※3 「GAXY」は多くの農薬と混用できることが確認されている。

■白ブドウ(シャルドネ)に対する果実肥大効果 比較試験

(開花初期~果実肥大期処理)





リンゴやブドウなど、果実サイズの均一化に寄与し、市場評価につながることが期待される。
※4 「GAXY」と同じ原料の海藻抽出物による試験結果。「GAXY」でも同様の効果が期待できる。

■植物の栄養素吸収を改善する「GAXY」


「GAXY」施用により、左図のように肥料要素吸収を改善できる試験結果があります(アリスタ社調べ、大玉トマトでの試験結果)。

特に、高温環境で吸収が阻害されやすいホウ素やカルシウムの吸収効率改善に期待でき、肥料と併せて施用することで、高温障害(ホウ素欠乏、カルシウム欠乏など)の改善に寄与すると期待されます。




■アリスタ ライフサイエンス株式会社 マーケティング本部 本部長 田中 栄嗣
「UPLグループは、世界中に5拠点の研究開発施設、研究開発や取り組みを発信する拠点、7拠点の実証試験圃場、9拠点の専用生産施設を持ち、製品紹介や現地実証試験をサポートする専門技術者を世界に派遣し、バイオスティミュラントの普及推進に向け、販売パートナーと農業生産者へのサポートを充実させ、ビジネスをリードして参ります。環境ストレス対策でご利用いただけるBS剤を含め日本農業に貢献できる資材開発を引き続き注力して参ります。」
■株式会社サカタのタネ 上席執行役員 国内営業本部長 齋藤 弘佳
「当社は『バイオエース』や『高機能液肥 サカタマモルシリーズ』など、BSの名称が世界に広まる前から数十年にわたって生産現場の課題解決に取り組んでまいりました。今後アリスタ社との協業により、従来から蓄積したノウハウを駆使した解決策の提案が可能になります。また、さらなるBS資材の共同開発にも取り組み、生産現場の課題解決につながるものと確信しております」

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