
1.背景
■タンパク源や健康食としての魚需要に応える持続可能な水産“養殖”の重要性
日本では「魚離れ」の傾向がありますが、世界的には魚の消費量は増加し続けています。水産白書によると、世界の1人当たりの水産物の消費量は、過去半世紀で約2倍に増加しています。
人口増加を背景に、安価なタンパク源としての需要や、健康志向による魚食ニーズなどで急増する消費にあわせて、魚介類の生産量は増加していますが、漁船漁業による生産量はこの30年横ばいの一方で、養殖生産量は増加し続け、生産量の半分以上を占めるようになっています。
近年、漁船の過剰漁獲による生態系への影響も深刻な課題とされており、養殖は、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の達成において、海洋資源の維持を実現し、海の多様性を保つことにも貢献できる、重要な産業ともいえます。
■ブランド化による地域おこしや、スマート水産への参入からも注目
特に、海・川の無い場所で養殖を行う、循環式陸上養殖に注目が高まっています。水産業のなかった地域でも、陸上養殖によって魚を地域ブランド化できるため、地域おこしや、地産地消につなげています。
また、「IoT」を活用した「スマート水産」への転換を目指したベンチャー企業や、メーカー企業などの異業種の参入も増えてきています。
2.開発の経緯
エムテックは20年以上に渡り、医療向けの酸素発生器を製造し、医療現場に、当社の技術・安全性を届けて参りました。
この度、これらの実績・技術力を活かし、従来の酸素発生器「フィッシュサンソ」シリーズに加えて、酸素の吐出能力を2倍に上げた「サンソチャージャー」を開発しました。養殖ビジネスに不可欠な酸素供給に特化した酸素発生器で、養殖現場の課題を解決します。
3.酸素発生器とは
酸素発生器とは、大気を吸い込み装置内で窒素分を取り除き、90%以上の酸素を連続して供給することができる装置です。
養殖環境は、自然界よりも過密状態で、溶存酸素※1を自然と同じ状態にすることが難しく、魚の成長に悪影響を及ぼす場合があります。そこで、溶存酸素を上昇させる「酸素供給」が必要となります。
【導入例】150t水槽の井戸水かけ流し式アユ養殖場(岐阜県)
アユ養殖場で、出荷間近の給餌時、溶存酸素量が魚の生存限界である3mg/l以下となるなど、問題となっていました。そこで、酸素発生器「フィッシュサンソ」に接続したエアストーンを水槽に設置したところ、溶存酸素量が3mg/lまで上昇し、環境を安定させることに成功しました。
4.特長
1. 設置・操作が簡単。
100V電源のみで稼働できます。配管(チューブ)や吐出ノズルを取り付けて水槽に入れるだけで設置できるため、専門業者へ依頼する必要がありません。
後付けでも簡単に設置できるため、手軽に導入できます。
2. 小型で吐出能力UP(C6タイプ:0.2±0.01MPa)
今回開発した新型は、吐出能力が従来の2倍の0.2±0.01MPaとなりました。水深による水圧の影響などで吐出能力が足りず、酸素供給できなかった養殖環境にも設置できます。
また、吐出圧力が高いので、目詰まりなどのトラブルも少なくなります。
3. 2台(複数台)連結でさらに高濃度酸素の供給が可能。
溶存酸素を短時間で上昇させたい時には装置を連結させてご使用いただけます。連結させることで、より高濃度な酸素を送り込むことができます。
大型の酸素発生機1台と比較すると、小型の装置を複数設置することで、メンテナンスによる稼動中断などの、致命的なリスク軽減のメリットがあります。
5.酸素発生器の設置例・導入事例



6.商品情報
■仕様

■用途
養殖環境への酸素供給。
例:トラフグ、アユ、サーモン、マス、マハタ、チョウザメ、エビ、カキ、ヒラメ、ウナギなど
■販売情報
※メディア関係者のみご覧いただけます。
7.用語・補足
*1 溶存酸素
水中に溶け込んでいる酸素。
<会社概要>
■会社名:株式会社エムテック ■代表者:代表取締役社長 島 俊博
■本社所在地:〒481-0001 愛知県北名古屋市六ツ師女夫越3番地
■TEL:0568-25-8257(代) ■創業:2002年 ■創立:1992年
■事業:医療機器、水・酸素環境機器、特殊織機の設計・製作、金属加工
■URL:https://www.m-tec-m.co.jp/