社有林「アサヒの森」で、「低コスト再造林プロジェクト」の実証実験開始

掲載日: 2021年10月20日 /提供:アサヒグループホールディングス

早生樹(※1)「コウヨウザン」を活用し、スギなど伐採まで50年要する生育期間を30年に短縮


 アサヒグループホールディングス株式会社(本社 東京、社長 勝木敦志)は、全国森林連合組合会(本社 東京、代表理事会長 中崎和久)と、農林中央金庫(本社 東京、代表理事理事長 奥和登)が立ち上げた、再造林(※2)・育林にかかる期間短縮・コスト削減を実現する「低コスト再造林プロジェクト」に参画します。社有林「アサヒの森」の一部を試験地として提供し、早生樹「コウヨウザン」を育林する実証実験の実際の作業は、三次地方森林組合(広島県、代表理事組合長 邉見俊宗)に委託します。
 プロジェクトでは、10月上旬から「アサヒの森」の三次市地区の一部(約1ha)を伐採し、伐採と造林を一体的に行うことにより、10月下旬から「コウヨウザン」の苗木約1,500本を植栽します。5年間の実証実験期間において生育状況を確認することで、従来型の造林と比較した作業量や育林コストの低減などを検証します。
 現在林業が抱える課題を解決する持続可能な森林・林業の実現に向けた新たな事業モデルを開発し社会実装することを目指すことで、山村地域の活性化にもつなげます。

 「アサヒの森」の試験地における各社の役割は、アサヒグループホールディングスは実証実験のための試験地の提供、全国森林連合組合会は事業主体としてプロジェクトの進捗管理(実証試験は三次地方森林組合)、農林中央金庫は、プロジェクト費用支援や企画・調整機能となります。(※3)
 日本は国土面積の約3分の2が森林です。生物多様性の保全やCO2吸収による地球温暖化防止への貢献など森林が有する多面的機能への注目が高まっている一方で、森林・林業経営においては、健全な経営を行う上で多くの課題を抱えています。
 日本の森林は戦後造林された人工林が中心で、その約半数が一般的な主伐期にあたる50年生を超えています。国産材の利用や安定供給のために、50年生の樹木を伐採し、新たな苗木を植える作業が必要となっていますが、再造林とその後の育林にかかるコスト増、担い手の確保ができないことなどから、再造林が進まない状況です。
これら林業の課題解決に向けた一つの方策として、「低コスト再造林プロジェクト」において、生育期間の短縮や育林コストの削減を目指し、木材強度と成長性に優れた早生樹「コウヨウザン」の再造林・育林を実施します。
 「コウヨウザン」はスギの約2倍の速さで成長するため、スギで約50年かかる伐採までの期間が30年弱に短縮できます。また、苗木にコンテナ容器で育苗された「コンテナ苗」で、かつ通常より大きな「大苗」を活用し、更に伐採と植栽を同時に行うことや面積あたりの植栽本数を減らすことで、地ごしらえ(※4)や雑草の下刈りなどの作業が削減されることにより、再造林・育林コストが半減される見込みです。

 アサヒグループでは持続可能な社会への貢献を目指し、「アサヒグループ環境ビジョン2050」を策定しています。2050年までに、事業活動における環境負荷ゼロ(ニュートラル)を目指すとともに、アサヒグループの独自技術や知見を生かした新たな環境価値創出(プラス)することで、事業成長とともに持続可能な社会の実現に取り組んでいます。
 林業は気候変動の緩和・適応に貢献する産業であり、森林の適切な整備や保全等を通じて地球温暖化防止の取り組みを推進していく必要があります。本プロジェクトで得られた成果を全国に波及させることで再造林を促進し、持続可能な森林・林業経営の実現に向けて取り組んでいきます。

■参考 アサヒグループの社有林「アサヒの森」について
・「アサヒの森」は、アサヒグループが1941年から広島県庄原市と三次市に保有している森林で、現在の総面積(管理面積を含む)は2,467haです。持続可能な森林経営を続けています。
・2001年に「FSC(R)森林認証」(※5)を日本で3番目に取得し、持続的でよりよい森林経営の実現にむけた取り組みを強化しました。
・2011年に環境省によるオフセット・クレジット(J-VER)を取得しました。
・2014年に「アサヒの森」の森林経営の取り組みが評価され、全国林業経営推奨行事において「林野庁長官賞」を受賞しました。
・2016年に「アサヒの森」における多様なステークホルダーと協働した持続可能な林業の取り組みが高く評価され、第5回いきものにぎわい企業活動コンテスト行事において「農林水産大臣賞」を受賞しました。
・2019年に広島県の「意欲と能力のある林業経営者」(※6)に登録されました。

※1)成長の早い樹種。熱帯性の樹種が代表的であるが、温帯性樹種のコウヨウザンやセンダン等が近年注目されています。
※2)人工林を伐採した跡地に再び苗木を植えて人工林をつくることです。
※3)「低コスト再造林プロジェクト」は、長野県・根羽村森林組合、宮崎県・都城森林組合を含む3カ所で
実証実験を行っています。
※4)地ごしらえとは、伐出後に林地に残された幹の先端部(末木)や枝(枝条)、あるいは刈り払われた低木や草本などを、植栽しやすいように整理、配列することです。
※5)持続的でよりよい森林経営につなげるために、国際的な森林認証機関である『FSC(Forest Stewardship Council(R):森林管理協議会) 認証』を2001年に取得しました。FSC認証は、「FSCの10原則」に基づき、適正に管理されている森林を認証するものです。
※6)森林経営管理法に基づく森林経営管理制度において、森林所有者が自ら経営管理を実行できない森林を市町が経営管理の委託を受け、市町は委託を受けた森林のうち、林業経営に適した森林の経営管理を「意欲と能力のある林業経営者」に再委託し、「意欲と能力のある林業経営者」が森林の経営管理を実施することができるものです。

【アサヒの森についてはコチラ】
https://www.asahigroup-holdings.com/csr/asahi_forest/summaly/index.htm

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