農林水産省 大臣等記者会見 2023年10月17日 - ● コメの作柄 ● ロシアによる日本産水産物の輸入規制 ● カーボン・クレジット市場の設立 ● 佐賀…

掲載日: 2023年10月17日 /提供:農林水産省

宮下農林水産大臣記者会見概要

日時令和5年10月17日(火曜日)11時31分~11時49分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • コメの作柄について
  • ロシアによる日本産水産物の輸入規制について
  • カーボン・クレジット市場の設立について
  • 佐賀県における豚熱発生事例の疫学調査について

質疑応答

記者

私から2点お願いします。1点目が先週13日に全国の作況指数が発表されました。これに対する見方と、1等米の比率が低いところもありまして、その対策が何か決まったものがあればお願いします。2点目がロシアによる日本の水産物の輸入規制が発表されましたが、これに対してどのように見ているのか、見解と今後の対応をお願いします。

大臣

まずコメの作況の話ですけれども、本年産の水稲の作柄を地域別にみますと、北海道や東北の太平洋側を中心に、概ね天候にも恵まれて、良好な作柄となっています。一方で、大雨等の影響を受けた秋田や北九州の一部地域、また、高温の影響を受けた北陸の一部地域で作柄が平年を下回っています。全体としては、各県における作況指数は、105から95、「やや良」から「やや不良」の範囲に収まっていまして、例年106以上の良とか、94以下の不良という県が出る場合もあるのですが、今回は5つのランクの真ん中3つに収まっていますので、そういう意味では、比較的ばらつきの少ない結果になっていると認識しています。いずれにしても、現時点では収穫面積が全体の6割程度ですので、大勢がわかる次回の10月25日現在の調査結果を見極めたいと思っています。1等米比率が低くなっている話ですけれども、先日公表した9月25日現在の作況概況では、新潟県の作況が95となったほか、本年は、厳しい高温や少雨に見舞われた新潟県に加えて、北陸、東北等において白未熟粒の発生等によって、地域によっては農産物検査における1等米の比率が例年よりかなり低くなっているという報告を検査機関から受けています。コメの収量減少や品質の低下による収入減に対しては、農業保険加入者に対する水稲共済や収入保険による対応が基本となります。なお、水稲共済については、従来の災害収入共済方式でもカバーされますが、高温障害の影響が広範囲にみられる場合に、この影響を加味した損害評価を行う特例がありますので、各農業共済組合から申請が提出され次第、適用の有無を速やかに判断してまいります。また、今後、白未熟粒の多く入ったお米が出回る可能性もありますが、その場合でも、水を少し減らして炊くこと等でおいしく食べられますので、そのことを消費者の方々にお伝えする動画を農林水産省として発信することとし、昨日、公表したところです。今後に向けて、高温耐性品種への転換や対策技術の導入等を進めていくことが重要と考えていまして、産地の取組が進むように対応を検討してまいりたいと考えています。
それからALPS処理水の件ですけれども、これまでの経緯を少しお話ししますと、10月10日には、ALPS処理水の海洋放出に伴う日本産水産物への影響等に関する日露省庁間の対話をテレビ会議形式で実施し、我が国の水産物におけるトリチウムを含む放射性物質の検査方法等について説明を行い、更に日本産水産物の安全性等についても科学的根拠に基づいた説明を行ったところです。その後、ロシア側から要請が更にあり、当初9月に10月16日期限で情報を欲しいという要請がありましたけれども、10日のテレビ会議の後の要請項目も含めて10月15日までにロシア側に対して、トリチウムを含む放射性物質検査方法の詳細、放射性物質のモニタリング結果の詳細、日本国内の水産物の安全基準の詳細等について、追加的に情報提供を行いました。この提供した資料は外務省のホームページにて公表しています。項目名で19項目ありまして、それぞれかなりの分量の情報になります。詳細をお知りになりたい方はご確認いただければと思います。こういったことで、丁寧に対応してきたところですけれども、これに対して、ロシア側が科学的根拠に基づかずに、日本産水産物の輸入規制措置を強化するというのは不当であり、極めて遺憾だと考えています。既に、政府として、外交ルートを通じて、ロシア側の輸入規制措置強化の決定に対し、今回のロシア側の決定は極めて遺憾であり、撤回を強く求める旨の申し入れを行ったところです。今後も、様々な機会を通じて、科学的根拠のない輸入規制措置の即時撤廃を強く求めてまいります。

記者

東京証券取引所で新たに始まったカーボン・クレジット市場について伺います。J-クレジットなどで二酸化炭素の排出量の削減を取引するカーボン・クレジット市場が11日に開設しました。市場開設への受け止めと、農業分野の脱炭素化に向けた期待をお聞かせください。

大臣

農林水産省は、「みどりの食料システム戦略」に基づいて、温室効果ガスの削減・吸収により、民間資金を呼び込むJ-クレジットを推進してまいりたいという立場です。農業分野について、これまで畜産による改善飼料で温室効果ガスの排出を減らす、家畜排せつ物管理の方法(変更)、複合肥料の施肥、バイオ炭の農地施用ということがJ-クレジットの手法として認められてきたわけですが、この度、5つ目として、中干し期間の延長によって、水田由来のメタンを削減する新たな手法が認められることになって、本年4月から新しい方法も施行され、徐々に農業分野における取組も拡大しています。今般、10月11日に東京証券取引所にカーボン・クレジット市場が設立されたことで、既に11、12、13、16の4日間で、森林に関するJ-クレジット42トンの販売があったと聞いています。これまでJ-クレジットは相対取引とか入札販売、相対が主だったということでなかなか取引実態や価格が明確でなかったわけですけれども、こういうカーボン・クレジット市場での取引は、価格公示が行われて取引の透明化がされる、また、流動化を通じて取引のさらなる拡大も期待されるということで、期待をしているところです。農林水産省としては、東京証券取引所と連携を深めるとともに、引き続き、農林水産分野のJ-クレジット制度における新規の削減手法の策定や、取組件数の拡大に努めてまいります。

記者

ロシアの輸入制限の件で、水産物の全面禁輸とロシアから伝えられているということはありますか。もしくは具体的な品目などは特にないということなのでしょうか。というのと15日に一度資料を示したという理解でよろしいでしょうか。示した回数をお伺いしたいです。最後に、情報提供した際のロシアの動植物衛生監督庁の反応、差し支えなければ教えてください。

大臣

基本的には中国の措置に追随する、同様の措置を行うという言い方で、より細かく品目についての言及はなかったと記憶しています。情報については10日にテレビ会議でお伝えすると同時に、文書で15日にロシア側に伝わるような格好でお伝えをしているということです。(ロシア側からの)反応はなしというか、情報についてここは分からないという話は全然なくて、いきなりこういう措置に踏み切るという、あえて言えばそれが反応ということです。

記者

先週同じ質問がありましたので恐縮なのですけれども、今日、靖国神社の例大祭初日を迎えたということで、改めてその後、参拝や奉納などの予定が立っていれば、よろしくお願いします。

大臣

今のところ確定したお伝えする日程はありません。適時適切に判断したいと思いますので、結果を見ていただければと思います。

記者

ロシアの措置に関連してお聞きします。日本の水産物、水産業界ですとか、輸出に対する今回のロシアの措置の影響についてはどのように見ていますか。これまで中国の処理水に対する措置というのは国際社会ではやや孤立しているようなところもあったわけですが、今回、ロシアがこれに加わるということの意味合いというのを、どのように受け止めていますか。

大臣

ロシアへの水産物の輸出額は、2.8億円ということで、水産物輸出の0.1%程度ということで、中国は20数パーセントということに比べると、かなり影響は少ないと思われます。そういう意味では、影響は中国の措置ほどではないわけですけれども、そもそも両国の措置が科学的根拠に基づいたものではないということは、我々の見解では明らかですので、しっかり科学的根拠に基づいて、解消を求めていきたいと思っています。

記者

佐賀県で発生した豚熱の対応について伺います。昨日の専門家会議で疫学検討結果が示されて、ウイルスが中国地方西部の野生イノシシに由来するものと近縁であるという解析結果が報告されました。一方で侵入要因については人為的な伝播が考えられるものの、現時点で合理的に説明できるものは見当たらないと特定に至っていません。この結果に対する所感と、専門家から農場の衛生対策の徹底などの提言を受けての今後の農水省としての対応も伺えますでしょうか。

大臣

牛豚等疾病小委員会・拡大豚熱疫学調査チーム合同検討会が昨日開催されまして、佐賀県における豚熱発生事例に関して、専門家から考察及び提言をいただきました。これまで得られた情報の中で考察をいただいたところ、主なところは3点で、1点目は今のところ野生イノシシでの感染が認められないため、人因的な要因により、中国地方西部由来のウイルスが農場に伝播した可能性があること。2点目として佐賀の2事例については、農場間の距離が近いため、野生動物を介して伝播した可能性があること。3点目として侵入から感染確認までに時間が経過していたことなどが考えられるという指摘がありました。また、こうした考察に基づいて、一つは近隣で野生イノシシの感染が確認されていない地域でも、農場への侵入防止のために、豚舎へ出入りする際の長靴の交換など基本的な衛生対策、また、防護柵などの野生動物対策の徹底が重要であること。2番目として農場間での伝播が発生しうるため、その周辺住民や企業の皆さんも含めて地域全体として対策に協力をいただく。また、農場に出入りする飼料運搬会社、と畜場等、養豚関係者が一体となった衛生対策が重要であること。3番目として毎日の飼養豚の健康観察と早期通報の徹底などが必要という提言をいただいたところです。農林水産省としては、こうした提言を踏まえて、農場における飼養衛生管理の徹底や、家畜の異常を確認した場合の早期通報の徹底を図るように都道府県、関係団体等に改めて通知を発出することにしていまして、関係者の皆さんと一体となって、豚熱の発生予防に努めてまいります。

報道官

よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上



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