中国による水産物の輸入停止への対応及び水産業を守る支援策等についての会見
更新日:令和5年8月31日総理の演説・記者会見など
中国による水産物の輸入停止への対応、そして、水産業を守る支援策につきまして、申し上げさせていただきます。まず、中国など特定国による、輸入全面停止による損害は、東電により賠償されることとなります。しかし、その前に、既に用意した800億円の基金による国内消費のPR、漁業者団体による一時買取り、一時保管の支援、さらには燃油コスト削減などの対策、こうしたものを十分に活用して、我が国水産業の生業、事業を活力ある形で、子や孫の世代まで持続的に引き継いでいけるよう、政府として万全を尽くしてまいります。そして、それに加えて、政府は状況に応じて、臨機応変に支援を講ずることとしてきました。今回の輸入停止措置は、中国への輸出に大きく依存してきたホタテ等の特定の水産品、さらには、特定の地域に集中的かつ甚大な影響を与えます。この輸入停止の混乱を乗り越えて、中国市場だけに依存せず、世界の和食ブームを機会として、持続的・安定的に生業や事業が発展していくよう、特定国依存を分散するための緊急支援事業、これを創設いたします。具体的には、殻むき機の導入支援や、そのための人員確保の対策、さらには新規海外市場への思い切った販売、あるいは流通の支援、こうした必要費用、これを幅広く支援してまいります。これに加えて、既存の対策についても国内消費拡大支援など、必要な積み増しを迅速に行い、全国の水産業支援に万全を期してまいりたいと思います。そして、ここにありますように、この5本柱で政策パッケージを来週初めまでに取りまとめるよう、西村大臣・野村大臣に指示をいたしました。とにかくスピード感が大事であると考えています。予備費の活用も含めて、機動的に予算の確保を行い、そして早急に実行に移していきたいと考えています。私からは以上です。
(輸入停止の撤廃に向け中国政府に対しどのように働き掛けるか及び中国以外の国に対して理解獲得や販路拡大のためどのような外交を行っていく考えかについて)
まず、日本は、これまで具体的なデータ・数字を含めた説明を、中国を含む国際社会に対して行ってきています。日中首脳会談については、具体的な日程、何ら決まっているものではありませんが、中国等に対しては、これに応じた科学的根拠に基づく対応を粘り強く求めてまいります。中国に対しては、以前から科学的・専門的見地から意思疎通を行うこと、累次の機会を捉えて提案してきました。その際に日本側として、対応者、すなわち外務省であったり、資源エネルギー庁であったり、原子力規制庁であったり、こうした専門部局を具体的に明示しながら、中国側カウンターパートに当たる関係当局との間で科学的な意思疎通の実施について、具体的な日程も示しながら提案してきたところです。中国側には一刻も早く、こうした提案に応じていただきたいと思っています。また、これに加えて、G7等の枠組みにおいても、日本側の取組も含めた現状などについて、丁寧に意思疎通あるいは情報提供を行っています。こうした取組はこれからも継続していくわけですが、これまで日本が科学に基づき、高い透明性をもって対応しているとの評価、これは米国、豪州、あるいは太平洋島しょ国、さらには欧州も含めて、多くの国から頂いているところです。具体的な内容、また各国の反応等についても、今後も可能な範囲で継続的に発信をしていきたいと思っています。今述べたような取組に加えて、米国や東南アジアなどに向けて輸出先を転換するためのビジネスマッチングですとか、海外市場の開拓、あるいはブランディング、こうした支援を行っていきたいと考えています。以上です。
(野村農水大臣がALPS処理水を汚染水と発言したことに対する受け止めについて)
まず、御指摘の発言については遺憾なことであり、野村農水大臣に対して、全面的に謝罪するとともに、撤回するよう、指示を出したところであります。以上です。
(今回の支援策の実効性について)
自信というより、こうした現実に対して、政府としてやるべきことを全てやるということを申し上げています。今後の状況については、予断を持って今申し上げることは控えなければならないと思いますが、この問題については当初から、国が前面に立って、責任を持って対応する、こういったことは申し上げてきたところであります。今後の状況についても、しっかり注視していきますし、また何よりも、先ほど来申し上げているように、中国を始め、国際社会に対して説明や働き掛け、これはしっかり行っていきます。それと併せて、国内対策についても、政府としてやるべきことをしっかりやっていく、こういった説明をさせていただいています。是非、こうした取組はしっかり進めていきたいと思いますし、こうした取組は、併せて国民の皆様にも、また御協力をいただかなければいけない、こういった部分もあります。是非、現状について、また政府の取組について、国民の皆様にも御理解をいただきながら、我が国の水産業をしっかり守り抜いていきたいと考えています。以上です。
(今回の中国の全面禁輸は想定の範囲内だったのかについて)
これは、こうした我が国の取組については、長い間説明をし、理解を得るべく努力をしてきました。こうした結果、そして、こうした処理水の放出を行うことによって、様々な動きがあると、これは想定をしてきたわけであります。そして、様々な動きに対して、しっかり対応できるように、800億の基金を始め、様々な準備をしてきました。そうした様々な用意した対策も十分に活用しながら、水産業を守るために、政府として努力を続けていきたい、このように思っています。