焼津水産化学工業株式会社
株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ
当社は、下記のとおり、株主(以下「提案株主」といいます。)より、2023 年6月 23 日開催予定の第 64 期定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)における株主提案権の行使に関する書面(以下「本株主提案書面」といい、本株主提案書面における株主提案の内容を「本株主提案」といいます。)を受領いたしましたが、2023 年5月 19 日開催の取締役会において、当該株主提案に対する当社取締役会の意見を決議いたしましたので、下記のとおり、お知らせいたします。
記
1. 提案株主
株式会社ナナホシマネジメント
2. 本株主提案の内容の概要
(1) 議 題:
① 剰余金の処分の件② 別途積立金取崩しの件③ 取締役(監査等委員である取締役を除く。)1 名選任の件④ 剰余金の処分に係る定款一部変更の件⑤ 気候変動リスク対応に関する定款一部変更の件⑥ 当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)廃止を求める件
(2) 議案の内容及び提案の理由
別紙「本株主提案の内容」に記載のとおりです。
なお、別紙「本株主提案の内容」は、提案株主から提出された本株主提案書面の内容を原文のまま掲載しております。
3. 本株主提案に対する当社取締役会の意見
(1) 剰余金の処分の件(本株主提案①)
① 当社取締役会の意見
当社取締役会は、本株主提案①に反対いたします。
② 反対の理由
当社は、株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つとして位置づけております。当社は、時代のニーズに対応するための研究開発、生産、市場開拓等への投資を進めながら、配当性向を勘案しつつ継続的に安定した配当を実施することを基本方針としており、第2四半期及び期末に剰余金の配当を行っております。内部留保資金の使途につきましては、自己資金の充実に配慮しつつも、競争力の維持・向上を目的とした効果的な設備投資、研究開発資金等の資金需要に備えております。
当社は、2022 年5月に発表した 2025 年3月期までの中期経営計画(以下「本中期経営計画」といいます。)に掲げるとおり、「価値創造の加速」を経営ビジョンとし、①安全・安心の向上、②国内事業(調味料、機能性)の強化、③海外展開の加速、④新たな事業分野の創出の4つの基本戦略を軸に推進しております。これらを実現するためには、相応の成長投資が必要になることから、当社は、事業投資と株主還元の両立を目指すことを資本政策の基本的な方針としております。
具体的には、本中期経営計画の期間中におけるキャッシュアロケーションとしては、総額 60 億円程度のうち、未上場企業への出資等の新規事業への投資や人的投資、各種設備投資として、成長投資に40 億円を配分する一方、株主還元といたしましては、配当と自己株式取得の合計で 20 億円以上とすることを予定しております。当社は、かかる方針に基づき、2022 年度には2億 86 百万円の配当を実施するとともに、4億 80 百万円の自己株式取得を実施しております。当社といたしましても、現預金を多く抱えていることは課題として認識しておりますが、成長投資として必要な資金を確保しつつ、株主還元につきましても、重視してまいりたいと考えております。
これに対し、本株主提案①は、配当財産の総額が、DOE10%に相当する額となることを企図したものであるとのことです。さらに、提案株主は、当社に対し、当社の株価の評価が改善するまで、自己株式取得を控え、株主還元として、継続的に、DOE を 10%以上とすることを期待しているとのことです。しかしながら、このような提案は、本中期経営計画に掲げる当社の将来の成長につなげるための成長投資等に向けた手元資金確保の必要性を考慮しない短期的な視点に基づくものであり、当社の企業価値・株主共同の利益の向上にはつながらないものであると考えております。
以上の理由により、当社取締役会としては、本株主提案①に反対いたします。
(2) 別途積立金取崩しの件(本株主提案②)
① 当社取締役会の意見
当社取締役会は、本株主提案②に反対いたします。
② 反対の理由
当社は、今後の資本政策の機動性を確保するため、2023 年5月 19 日開催の取締役会決議により、別途積立金につき、その全額である 84 億円を減少させ、繰越利益剰余金を同額増加させることを決議いたしました。したがいまして、本株主提案②の趣旨につきましては、かかる取締役会決議により充足されており、新たに取り崩すべき別途積立金はないものと考えております。
以上の理由により、当社取締役会としては、本株主提案②に反対いたします。
(3) 取締役(監査等委員である取締役を除く。)1 名選任の件(本株主提案③)
① 当社取締役会の意見
当社取締役会は、本株主提案③に反対いたします。
② 反対の理由
当社は、当社の中長期的な企業価値向上に向けて、当社の経営ビジョンである「価値創造の加速」を実現するために、2023 年3月期から 2025 年3月期を対象とする本中期経営計画を策定し、遂行しております。当社は、本定時株主総会において、既存の取締役(監査等委員である取締役を含む。)7名を再任すること及び新任の候補者を1名選任することを求める議案を会社提案議案として提出する予定でありますが、当社といたしましては、現在の当社の業務執行取締役は、かかる経営方針やそれを実現するための各施策を立案したメンバーで構成され、当社取締役会は、その遂行に向けて、適切に当社の経営を監督することができるものと考えておりますので、当社が提案する取締役にて取締役会が構成されることが企業価値の向上・株主共同の利益の向上に資するものと考えております。したがいまして、本株主提案③における取締役候補者の経験、識見、実績等を踏まえても、同候補者を取締役に選任する必要はないと考えております。
なお、当社は、監査等委員でない取締役について、当社事業全体としての知識・経験と経営能力のバランスを考慮し、的確かつ迅速な意思決定が実施できること、法令及び企業倫理の順守に徹する見識を有することを基準として、総合的に選任・指名しております。また、監査等委員である取締役については、内部統制・財務・会計に関する知見、当社事業に関する知識、企業経営に関する多様な視点のバランスを考慮し選任・指名しております。取締役の多様性に関する方針としては、上記に加え、社会の変化を素早く、的確に把握できる多彩なバックグラウンドを有する人材を候補者に選定することとしております。特に、社外取締役に関しては、他社での経営経験を有し、財務、人事・人材教育及びコンプライアンスの分野で見識の高い人材を選任し多様性を高めております。また、独立社外取締役のうち2名は、企業経営の経験を有しているなど、当社の中長期的な企業価値向上に向けて、上記の当社の経営戦略の立案、遂行を適切に監督するために最適な構成を確保しております。
また、当社は、本株主提案③における取締役候補者(提案株主の代表取締役)との間で、今後も必要に応じて対話を行い、かかる対話の内容は適切に経営に反映してまいりたいと考えておりますので、このような観点からも、同氏を監査等委員でない取締役として選任する必要性は認めがたいと考えております。
上記につきましては、当社の指名・報酬委員会において慎重に審議・検討し、その決定を踏まえ、当社取締役会において判断したものであります。
以上の理由により、当社取締役会としては、本株主提案③に反対いたします。
(4) 剰余金の処分に係る定款一部変更の件(本株主提案④)
① 当社取締役会の意見
当社取締役会は、本株主提案④に反対いたします。
② 反対の理由
当社の株主還元に関する方針や本中期経営計画の期間におけるキャッシュアロケーションに関する当社の基本的な方針は、本株主提案①における当社取締役会の意見として記載したとおりであります。
当社取締役会といたしましては、各事業年度にかかる具体的な配当額等も含めて、株主還元に関する方針については、当社を取り巻く経営環境等を踏まえて当社取締役会において定める当社の経営方針及びこれに基づく中長期的な経営戦略に基づき、当社取締役会において決定することが合理的であると考えております。したがいまして、これらの事項は経営判断事項として、取締役会において機動的かつ柔軟に判断することを可能にすることが、当社の中長期的な企業価値の向上にとって必要であり、株主の皆様の利益に資するものと考えております。
そのため、当社においては、会社法第 459 条第1項に基づき、定款第 33 条の規定により、剰余金の配当等の決定機関について、取締役会の決議によって定めることができるものとしております。
なお、定款第 33 条は、剰余金の配当等について、株主総会の決議に加えて、取締役会の決議によっても定めることができるものとする規定であり、会社法第 460 条第1項の規定に基づき剰余金の配当等につき株主総会の決議によっては定めない旨を規定するものではありませんので、株主の皆様の権利にも配慮したものとして、相当であると考えております。
以上の理由により、当社取締役会としては、本株主提案④に反対いたします。
(5) 気候変動リスク対応に関する定款一部変更の件(本株主提案⑤)
① 当社取締役会の意見
当社取締役会は、本株主提案⑤に反対いたします。
② 反対の理由
当社の経営ビジョンである「価値創造の加速」を実現するため、温暖化をはじめとする地球環境の変化は、強く意識しなければならない現象であると認識しております。当社グループの製品に使用する天然由来の主要原料は、地球温暖化の影響などによる気候の著しい変化及び需給のバランスの変化によって、その購入価格や調達数量の安定性に変動が生じる可能性があることから、当社としても、地球温暖化による気候変動リスクは、主要な天然由来原料の調達不調を招きかねず、当社の経営に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクであると認識しております。
そのため、当社は、法令を順守するとともに、環境マネジメントシステムを構築し、省エネルギー、省資源、リサイクルといった自主的な目標を設定して環境問題に取り組み、持続的な改善に努めております。また、社員一人ひとりの環境教育に努め、環境を大切にする企業風土の構築を推進しております。当社は、本中期経営計画において、2023 年度に、マテリアリティの特定とサステナビリティ基本方針を策定することとしており、現在、検討を進めております。提案株主が本株主提案⑤に係る提案の理由の中で述べる情報開示に関しましても、現在、当社ウェブサイトにおいて継続的に開示しております「環境報告書」に加え、本中期経営計画では、2024 年度には ESG に関する情報開示をさらに拡充することを計画しており、開示の充実化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。提案株主は、本株主提案⑤において、国連の「Race To Zero Campaign」に参加し、ネットゼロへの移行計画を定め、ネットゼロへの移行を実行することを定款に規定することを求めております。上記のとおり、当社としても、気候変動対策は重要であると認識しておりますが、具体的にどのような方針で進めていくかについては、当社を取り巻く環境や事業戦略に関わる業務執行事項であると考えております。このように、定款において、気候変動対策等の特定の経営課題に関する個別具体的な方針に関する事項を定めることは、当社経営陣による柔軟かつ機動的な判断を制約するものであり、当社の中長期的な企業価値の向上に適うものではないと考えております。
以上の理由により、当社取締役会としては、本株主提案⑤に反対いたします。
(6) 当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)廃止を求める件(本株主提案⑥)
① 当社取締役会の意見
当社取締役会は、本株主提案⑥に反対いたします。
② 反対の理由
当社は、当社の支配権の移転を伴うような大規模買付行為について、それに応じるか否かは、最終的には株主の皆様に判断を委ねるべきものであると考えております。したがって、大規模買付行為があった場合にも、それが当社の企業価値又は株主の皆様共同の利益の確保・向上に資するものであれば、何らその行為を否定するものではありません。
しかしながら、当社株式の大規模買付行為の中には、当社が長年に亘り培った企業価値の源泉を理解することなく、当社の企業価値又は株主の皆様共同の利益を毀損するおそれがあるものも想定されます。当社といたしましては、当社の企業価値又は株主の皆様共同の利益の確保・向上の観点に照らし、このような大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切ではないと考えています。そこで、当社は、特定の者又はグループが当社の議決権の 20%以上の議決権を有する株式(以下「支配株式」といいます。)を取得することで(以下、支配株式の取得を目指す特定の者又はグループを「買収者等」といいます。)、当社の企業価値又は株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれが存する場合には、買収者等は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であるとして、法令等及び当社定款によって許容される限度において当社の企業価値又は株主の皆様共同の利益の確保・向上のための相当な措置を講じることを基本方針とし、2021 年 6 月 24日開催の第62期定時株主総会において当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「本プラン」といいます。)の一部変更及び継続をご承認いただいております。
当社といたしましては、株主の皆様に適切な判断を行っていただくためには、その前提として、当社固有の事業特性や当社グループの歴史を十分に踏まえていただいた上で、当社の企業価値とその価値を生み出している源泉につき適切に把握をしていただくことが必要であり、また、当社固有の事業特性を十分に理解している当社取締役会から提供される情報及び買収者等による支配株式の取得行為に対する当社取締役会の評価・意見や、場合によってはそれを受けた当社取締役会による新たな提案を踏まえていただくことが必要であると考えております。
したがいまして、当社といたしましては、本プランを通じて、株主の皆様に対して、必要かつ十分な情報に基づき、大規模買付行為の是非について検討していただくための十分な時間を確保することが非常に重要であると考えております。
特に、昨今は、買収者等から情報が十分に開示されないまま、市場内で大量買付けが行われ、強圧性が問題となる事例も生じており、このような強圧的な買収を抑止し、株主の皆様に適切な情報と時間を提供する枠組みを確保しておく必要性も高いものと認識しております。
以上の理由により、当社取締役会としては、本株主提案⑥に反対いたします。
当社取締役会といたしましては、中長期的な観点から、当社の企業価値及び株主の皆様共同の利益を最大化すべく、全力を尽くしてまいります。株主の皆様には、当社の企業価値向上の取り組みに対するご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
以 上
公式ページ(続き・詳細)はこちら
https://www.yskf.jp/images/1588.pdf









