WAYFARER株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:チュー・ウィンストン、小出ランス、以下「Wayfarer」)は、Canon Marketing Japan MIRAI Fund(運営:グローバル・ブレイン株式会社)をリード投資家とするシリーズAラウンドにおいて、資金調達を完了したことをお知らせします。

Wayfarerは2019年10月、京都の1施設から事業をスタートしました。現在は13施設を運営し、新たに7施設の開業を予定しています。東京・大阪・京都・福岡・愛知の主要都市に展開する運営中・開業予定物件を合わせた運用資産総額(GAV)は400億円を突破。現場で生じる課題を継続的に検証し、2023年11月に社内運営基盤およびソフトウェアスイート「Materia Connect」をローンチしました。Materiaは現在、Wayfarerが運営する13施設で稼働しています。
今回の資金調達を通じて、ホテル事業のさらなる拡大に加え、自社のホテル運営を通じて開発してきたオペレーションAIプラットフォーム「Materia Connect」の開発・事業化、人材採用を加速します。将来的には、既存のホテル基幹システムであるPMSを置き換えることなく導入できるAIホテル運営基盤を展開し、日本で培ったホテル運営とテクノロジーの融合モデルを海外展開することも視野に入れています。
資金調達の概要

AIをホテル運営の「現場」へ
AIがデジタル領域の仕事を急速に変えつつある一方で、不動産やホテルなど、物理的な空間と人のオペレーションが複雑に絡み合う領域へのAI導入は、まだ大きな課題を抱えています。
なかでもホテルは、不動産運営の中でも、特に業務が複雑な事業のひとつです。24時間365日の運営を前提に、予約、価格設定、決済、ゲスト対応、清掃、メンテナンス、人員配置、販売など、多岐にわたる業務をリアルタイムで連携させる必要があります。
その一方で、一般的なホテルでは複数のシステムが分断された状態で利用され、現場では依然として多くの業務が手作業で行われ、情報も十分に構造化・連携されていません。
Wayfarerは、こうした環境に個別のAIツールを追加するだけでは、ホテル運営を根本から変えることは難しいと考えています。AIが必要なデータを参照し、既存システムと連携しながら予約、顧客対応、価格調整、現場業務を実行できる共通基盤が必要となるからです。
そこで開発してきたのが、ホテル運営AI基盤「Materia Connect」です。
PMSを置き換えずAI機能を実装
Materia Connectは、既存のPMS(Property Management System)を置き換えるのではなく、ホテルがすでに利用しているシステムや業務データ、外部のAIエージェントや日々のワークフローをAPIでつなぎ、その上で自動化やAIを活用できる共通基盤として設計されています。
特徴は、ホテル運営の現場とソフトウェア開発を切り離していないことです。
Wayfarer自身がホテルを運営し、オペレーションチームとテクノロジーチームが同じ課題に取り組むことで、現場の業務プロセスを深く理解し、開発した機能を実際のホテルで導入・検証しながら改善を続けてきました。
WayfarerはMateria Connectを個別業務のみを効率化するツールではなく、ホテルがDXやAIを継続的に取り入れていくためのインフラとして位置づけています。
ホテル運営で実証した主な機能と効果
・ 収益管理 AIダイナミックプライシング、日次の価格調整、リアルタイムの競合料金モニタリングにより、RevPARを最大25%向上。
・ 予約と顧客体験 複数施設対応の予約エンジン、旅行者向けアプリ、90秒オンラインチェックイン、デジタル決済、AIチャットを統合。
・ 現場オペレーション アクセス管理、清掃業務、レビュー分析、シフト管理、消耗品発注などを自動化し、スタッフの定型業務を削減。
・ AIエージェント連携 PMSと運営データを共通基盤として、外部のAIエージェントや業務ツールを単一APIで接続。
※ RevPAR向上率はWayfarerの運営実績に基づく最大値です。実際の効果は施設、立地、導入範囲、市況その他の条件により異なります。
ホテルの現場から生まれたテクノロジー
Wayfarerの事業は、ホテルテクノロジーの開発から始まったものではありません。
創業者兼CEOのチュー・ウィンストンは、香港を拠点に約10年間、世界のテクノロジー企業やコンシューマー企業への投資に携わってきました。
2018年、日本のホテル投資案件を調査する中で、それまで投資家として見てきたテクノロジー企業と、紙や電話、複数のシステム、手作業に大きく依存するホテルの運営現場との間にあるギャップに着目しました。
「テクノロジーによってホテルの運営そのものを変えられないか」。
その仮説から、2019年10月にWayfarerを創業しました。
最初のホテルを京都で開業した直後、世界は新型コロナウイルスの感染拡大に直面しました。ホテル運営の経験がほとんどない中、チュー自身も約9カ月間ホテルに住み込み、フロント業務から清掃、販売、システム導入まで、日々のホテル運営に直接携わりながら事業の基盤をつくりました。
コロナ禍を経て、Wayfarerは1施設から複数都市へとホテル事業を拡大。その過程で、施設数が増えても高い運営品質と生産性を両立するため、自社のテクノロジーへの投資を続けてきました。
当初は自社ホテルを運営するためにつくられた仕組みが、現在のMateria Connectへと発展しています。
ホテルの現場を自ら持ち、そこで起きている課題を理解し、その解決策をテクノロジーとしてつくり、再び現場で検証する。
このサイクルこそが、Wayfarerのホテル事業とテクノロジー事業の双方を支える基盤となっています。

Vero AIは、Materiaに組み込まれたコパイロット。
創業者コメント
WAYFARER株式会社 創業者兼代表取締役
チュー・ウィンストン
「Wayfarerを始めてから何度も、『ホテル会社なのか、テクノロジー会社なのか』と聞かれてきました。長い間、『両方です』という答えは、なかなか理解してもらえなかったと思います。
実際の運営現場にテクノロジーを実装することは簡単ではありません。ホテルには数多くの手作業や例外対応、分断されたシステムがあり、それでも24時間止まることなく運営しなければなりません。表面的な課題だけを見ていても、本当に使えるテクノロジーはつくれないということを、私たちは現場から学びました。
だからこそWayfarerは、自分たちでホテルを運営することと、そのホテルを動かすテクノロジーを自分たちでつくること、その両方に投資し続けてきました。この組み合わせによって、実際の運営環境、データ、そして業務の深い理解という、簡単には再現できない基盤を築くことができたと考えています。
そして今、AIの急速な進化によって大きな転機が訪れています。ホテルオーナーや運営会社からも『AIをどう事業に取り入れるか』という相談が増えています。しかし、AIの価値を最大限に引き出すには、その下にあるシステム、データ、業務プロセスがつながっていなければなりません。私たちは、その土台を何年もかけてつくってきました。
今回の資金調達は、これまで私たちが歩んできた道のひとつの大きな節目です。ホテル事業をさらに成長させると同時に、Materia Connectを外部のホテル事業者へ展開し、テクノロジーとAIがホテル、そして将来的にはあらゆる物理空間の運営を支える世界の実現に、一歩近づきたいと考えています。」

キヤノンマーケティングジャパンとの協業可能性
今回の出資を契機として、Wayfarerとキヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下「キヤノンMJ」)は、キヤノンMJが注力するJourney CX領域を含め、ホテル・観光領域における将来的な協業可能性について検討を進めます。
旅行・宿泊市場が成長する一方、ホテルオーナーや運営会社にとって、数多く存在するテクノロジーの中から、自社の運営に実際に価値をもたらすソリューションを見極め、導入していくことは容易ではありません。
Wayfarerが持つホテル運営の知見、グローバルな視点、Materia ConnectのAPI・AI基盤と、キヤノンMJグループが持つテクノロジー、顧客基盤、ソリューションを組み合わせることで、ホテルDX、宿泊者体験の向上、運営効率化など、新たな価値を創出できる可能性があると考えています。
今後、Wayfarerが運営するホテルおよび提携施設での検証、Materia ConnectとキヤノンMJグループのサービス・アプリケーションとの連携可能性、将来的な導入・展開モデルなどを候補テーマとして、両社で具体的な実現可能性を検討していく予定です。
※具体的な協業内容については今後の協議により決定し、必要に応じて個別に契約を締結します。
キヤノンマーケティングジャパン株式会社 コメント
私たちはホテル・観光領域において、旅行者とサービス提供者の双方にとって、より安心・安全で、快適かつ持続可能な旅行・観光体験の実現を目指しています。Wayfarerは、自らホテルを運営する中で得た現場の知見をテクノロジーの開発・改善につなげ、実際のオペレーションの中で価値を磨いている点を強みの一つと捉えています。今回の出資を契機に、Wayfarerが持つホテル運営の知見やMateria Connectの技術基盤と、当社グループの顧客基盤、テクノロジー、ソリューションを掛け合わせ、実際のホテル現場での検証を重ねながら、ホテル・観光産業における新たな価値をともに形にしていきたいと考えています。
キヤノンマーケティングジャパン株式会社 R&B推進本部 阿部 龍生

グローバル・ブレイン株式会社 コメント
本経済の成長を牽引する観光産業において、リアルなホテル運営とソフトウェア開発を一体化させ、業界の構造的課題に挑むWayfarerのビジョンと実行力を高く評価し、出資を決定いたしました。インバウンド需要を的確に捉え、現場から組み上げるテクノロジー基盤は、効率的な運営と質の高い宿泊体験を見事に両立させています。自社施設で磨き上げたこのプラットフォームを広く業界へ展開し、ホテル運営を支える新たなインフラとして、日本のホスピタリティ産業のさらなる発展に貢献していくことを期待しています。
General Partner 熊倉 次郎
ウィンストンCEOをはじめとする、グローバルかつ多様な知見を持つ経営チームとの対話や現場視察を通じ、ホテル業界をより良いものにしたいという彼らの真摯な姿勢に、市場を変革する確かなポテンシャルを強く感じました。 とりわけ、現場での地道な検証を即座にソフトウェア開発へ反映し、実際のオペレーションへと実装していく実行力こそが、同社の確固たる競争力であると評価しています。 今後はリード投資家として、業界の常識をアップデートする同社の挑戦を全力で支援してまいります。
Director 大津 知之
今後の展開
今回調達した資金は、主に以下の領域に活用します。
- 東京・大阪・京都をはじめとする主要都市におけるホテル事業の拡大
- Materia ConnectのAI、API、データ、オートメーション機能の開発および外部ホテルへの事業展開
- プロダクト、エンジニアリング、ホテルオペレーションを中心とする人材採用
- 将来的な海外展開に向けた事業基盤の構築
Wayfarerは、ホテル運営で培った知見と技術を起点として、ホテルにとどまらず、実物資産の運営に共通する課題へと知見と技術を展開していく出発点でもあります。
現実世界の資産にソフトウェア、データ、AIを組み込む必要性が高まる一方、実際のオペレーションが複雑であるほど、その実装は難しくなります。
Wayfarerは、リアルな運営現場とソフトウェアエンジニアリングを一体化することで、まずはホテル領域において、複雑な運営業務をより効率的かつシンプルにすることを目指します。
Wayfarer株式会社について
Wayfarerは、ホテル運営とテクノロジー開発を一体化し、次世代のホテル運営基盤を構築するホスピタリティ・テクノロジー企業です。自ら施設を運営することで得たデータと知見をプロダクト開発に還元し、ホテル運営の生産性と旅行者体験の向上に取り組んでいます。自社のホテル運営インフラ「Materia Connect」および「Kabin API」を通じて、PMS、予約、チェックイン、決済、清掃、AI、運営管理を接続しています。自社開発のオペレーションAIプラットフォーム「Materia Connect」は、ホテルのシステム、データ、業務プロセス、オートメーション、AIをつなぎ、ホテル運営の省人化、運営品質の標準化・安定化、データ活用の高度化を支援します。
ホテル運営、不動産、プロダクト、エンジニアリングなど多様なバックグラウンドを持つグローバルなチームを通じて、ホテルを起点として、将来的にはさまざまな実物資産の運営をテクノロジーとAIが支える未来を目指しています。
本件に関するお問い合わせ
WAYFARER株式会社










