
高温耐性を持つサクラマス(本桜鱒)の選抜育種と種苗供給、魚卵の生産を手がける株式会社Smolt(本社:宮崎県宮崎市、代表取締役CEO:上野賢、以下「当社」)は、mintをリード投資家として、サムライインキュベート、ANOBAKA、ちゅうぎんキャピタルパートナーズ(以下「引受投資家」)を引受先とする第三者割当増資により、総額約2億円の資金調達を実施したことをお知らせいたします。
■ 資金調達の背景
近年、日本近海の年平均海面水温は100年あたり1.33℃上昇(※1)しており、これは世界平均(100年あたり0.62℃)の2倍を超えるペースです。急激な水温上昇は、サケ・マス類をはじめとする冷水性魚種の養殖や漁獲に大きな影響を及ぼしており、養殖の現場では高水温による生育不良や斃死のリスクが高まり、天然資源についても、全国のサケ来遊数が1996年の約8,862万尾から2025年には約693万尾と、この30年で約9割減少(※2)しており、漁獲量の落ち込みへの対応が急務となっています。とりわけ、近年は天然資源に大きく依存する鮭鱒類の魚卵であるイクラは、供給量の減少に伴う価格高騰が続き、食文化そのものの減退さえ懸念されています。また、日本の水産業は就業人口の減少と高齢化、飼料や燃料価格の高騰、水温上昇に伴う赤潮の発生など多くの課題を抱えており、地域水産業の持続可能性が危ぶまれています。
当社は、宮崎大学発のスタートアップとして2019年の創業以来、ゲノム編集や遺伝子組み換えを行わずに、生理学的特性を利用した7世代にわたる選抜育種プログラムを通じて、水温24℃前後の環境下でも生育可能な高温耐性サクラマスの開発に取り組んできました。地域水産業(淡水・海水かけ流し、海面養殖)との連携事業モデルのもと、全国の水産事業者とパートナーシップを構築し、サーモン種苗供給、本桜鱒等の生魚・活魚販売、つきみいくら(R)(いくら加工品)、事業会社と連携した地域ブランドの開発など、複数の事業を展開しています。
今回の資金調達により、全国の水産事業者との連携を強化し、当社の強みである高温耐性サクラマスおよびつきみいくらの生産拠点の開拓・拡大を進めていきます。
※1 出典:文部科学省及び気象庁「日本の気候変動2025」
※2 出典:水産研究・教育機構「サケの放流数と来遊数及び回帰率の推移」


代表取締役CEO 上野賢 コメント
私たちは創業以来、魚本来の生き方や特徴を生かした育種にこだわり、本桜鱒とつきみいくらの品質を磨き続けてきました。生産連携先が増えるにつれて全国の生産地を訪ねてきましたが、パートナーとの対話の中で感じたのは、魚を大切に育てる情熱と、この先の水産業に対する強い危機感でした。毎年のように直面する厳しい自然災害や経営環境の悪化は、日本の水産業全体に共通する課題です。その一方で、地域の水産業には打てる手が少なく、取り残されているのが現状です。
この度、私たちの課題意識に共感してくださった投資家の皆さまにご参画いただけることを、大変うれしく思っています。私たちの品種と生産技術は、こうした地域の課題を解く力になると確信しています。各地のパートナーとともに高品質な製品を生み出すことで「100年先もおいしい魚と食文化を楽しめる世界」を実現します。
■ 本ラウンドにおける投資家からのコメント
mint principal 岡澤 雄介氏
養殖場に伺い、現場を拝見するなかで、上野さんの水産業にかける情熱にすっかり惚れ込み、今回ご一緒させていただくことになりました。
Smoltのイクラやお魚が、日本中の食卓に届く日を楽しみにしています。
サムライインキュベート Partner 會 義貴氏、Vice President 坪田 拓也氏
天然資源の減少や海水温の上昇、担い手不足など、日本の水産業は大きな転換点を迎えています。Smoltは、宮崎大学で培われた育種技術を基盤に、生産性の高い養殖と、地域の既存資産を活用した全国展開モデルの構築に挑戦しています。技術の独自性と、地域事業者とともに産業構造そのものを変えていく可能性を高く評価し、今回出資を決定しました。上野さんをはじめとするチームの情熱にも強く共感しており、その挑戦を全力で支援してまいります。
ANOBAKA キャピタリスト 小田 紘生氏、ポートフォリオマネージャー 原 佑理子氏
宮崎県の養殖場で代表の上野さんとお話をする中で、創業から7年間、困難な時期にも情熱や試行錯誤を絶やすことなく真っ直ぐに事業に向き合ってこられた直向きさを素敵に感じました。各地域で水産業に従事される方々と共に歩みを進めながら、この先Smoltの事業がますます大きく意義のあるものに育っていく過程を、ANOBAKAも全力でサポートさせていただきます。
ちゅうぎんキャピタルパートナーズ 取締役 投資部長 石元玲氏
私たちは、気候変動は世界が向き合うべき危機である一方、既存産業をアップデートし、新たな産業を生み出す大きな変化になると考えております。特に地方では、一次産業を取り巻く環境変化が地域産業のあり方そのものを問い直しており、地域金融機関として、地域産業の変化に資本を投じ、新たな成長産業を地域から育てていきたいと考えておりました。Smolt上野さんとは、陸上養殖のビジネス化や時代や環境について議論した上で、延岡市の養殖現場も視察させてもらい、さらに会話を深める中で、事業の可能性を強く感じました。想定以上の環境変化が起こっても、Smoltなら事業を進化させながら乗り越えてくれる。そんな期待を強くしています。宮崎だけでなく九州の人たちに強く愛されているSmoltの全国展開を、私たちも一緒になってサポートしていきたいと考えています。
■ パートナー企業の募集を拡大
当社は今回の資金調達を契機に、サクラマスとつきみいくらの生産規模拡大と全国の水産事業者とのパートナーシップ拡大を進めていきます。内水面養殖場における従事者の高齢化や、鮭の回帰数減少に伴う既存施設の有効活用、事業会社の新規事業としての陸上養殖など、ご相談はお気軽にお問い合わせください。
■ 株式会社Smolt 会社概要
会社名:株式会社Smolt
代表者:代表取締役CEO 上野賢
所在地:宮崎県宮崎市学園木花台西1丁目1番地
設立:2019年4月11日
事業内容:水産養殖業、水産に関する技術開発、サーモン種苗供給事業
主な受賞歴:2021年 STI for SDGsアワード「科学技術振興機構理事長賞」受賞、2023年 Forbes 30 Under 30 Asia 2023 選出
ウェブサイト:https://www.smolt.co.jp/









