本共同研究では、理研 環境資源科学研究センターが有する植物の環境ストレス応答に関する研究知見と、キリンおよびメルシャン株式会社(社長 大塚正光、以下メルシャン)が有する研究開発・栽培技術の知見を組み合わせ、シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤードの実栽培環境で検証を進めます。また、気候変動下においても既存品種の品質や収量を維持し、栽培を継続できる技術につながる知見の獲得を目指します。
本共同研究は、理研が参画する内閣府の「研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)※1」における取り組みの一環として、研究成果の社会実装に向けた実証にも位置づけられます。
※1 研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE) - 総合科学技術イノベーション会議 - 内閣府
1.共同研究開始の背景
近年の気候変動に伴う高温化や乾燥は、ワイン用ブドウの生育や品質への影響に加え、水資源の利用にも関わる課題として、世界のワイン産地で関心が高まっています。こうした環境変化への対応として灌漑(かんがい、人工的な給水や排水技術のこと)などが行われていますが、水資源が限られる地域では農業用水の確保そのものが課題となります。そのため、限られた水資源を有効に活用しながら、気候変動下でも持続可能な栽培を実現するための新たな技術や知見が求められています。
理研 環境資源科学研究センターでは、植物がさまざまな環境変化にどのように応答・適応するのかについて研究を進め、農作物の安定生産につながる知見を蓄積してきました。一方で、キリンでは、長年にわたり培ってきた発酵・バイオテクノロジーなどの研究基盤を生かし、自然資本と向き合う事業活動を推進してきました。また、メルシャンでは日本ワインの持続可能な発展を目指し、国内の自社管理畑においてワイン用ブドウの栽培技術や知見を培ってきました。
今回、こうした知見を、実際のワイン用ブドウ栽培環境で検証することで、気候変動下における持続可能な栽培技術の実現を目指し、共同研究を開始しました。
2.共同研究の概要
本共同研究では、2026年4月より、長野県上田市のシャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤードの一部圃場において、植物の生育状況や環境条件を評価しながら、暑熱・乾燥環境への適応力向上につながる可能性の検証を進めています。
研究開始 :2026年4月
共同研究先 :国立研究開発法人理化学研究所 環境資源科学研究センター
研究目的 :気候変動下における既存品種の品質・収量維持に資する知見の獲得
研究内容 :暑熱・乾燥環境への適応力向上に関する実栽培環境での検証
試験場所 :シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤードの一部圃場
3.本共同研究の特徴
本共同研究の特徴は、植物の環境ストレス応答に関する研究で得られた知見を、気温や降水量などの条件が変動する実栽培現場で検証する点です。シャトー・メルシャン 椀子ヴィンヤードを実証の場とすることで、暑熱・乾燥環境への適応力向上が、既存品種の品質や収量の維持にどのように寄与するかを評価します。
なお、本研究は実栽培環境での検証を開始する段階であり、その有効性や応用可能性を慎重に検討していきます。
4.今後の展望
キリンと理研は、本研究を通じて、高温や乾燥などの環境変化に対するワイン用ブドウの生育や栽培に関する知見を深めていきます。将来的には、高温や水不足などが課題となっている国内外のワイン用ブドウ産地において、既存品種の栽培継続を支援する技術としての応用可能性を検討していきます。
キリンは、発酵・バイオテクノロジーを活用し、生物資源の持続可能性を高める研究に取り組んでいます。自然への敬意を胸に、その恵みを未来へつなぎ、次の世代へ受け継いでいくことを目指しています。









