吉田外務報道官会見記録 (9月22日15時45分) - ●冒頭発言 ●米国・EUによる日本産食品の輸入規制撤廃・緩和 ●米国・EUによる日本産食品の輸入規…

掲載日: 2021年09月22日 /提供:外務省

記者会見

吉田外務報道官会見記録

(令和3年9月22日(水曜日)15時45分 於:本省会見室)

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冒頭発言

米国・EUによる日本産食品の輸入規制撤廃・緩和

【吉田外務報道官】冒頭、当方から一点、歓迎のコメントを申し上げたいと思います。
米国政府による、放射性物質に係る日本産食品輸入規制撤廃、それからEUによる輸入規制の緩和についてです。
既にご案内かと思いますけれども、日本時間の9月22日、本日の未明、米国の食品医薬品局(FDA)は、科学的な根拠に基づいて、米国による放射性物質に係る日本産食品の輸入規制をすべて撤廃したということを発表されました。今回の撤廃によりまして、これまで米国に輸出することができなかった福島県産のコメや、各県の野生キノコや原木シイタケといったような品目の、対米輸出が可能となります。
米国の輸入規制の撤廃につきましては、首脳会談を含めて、様々な機会に働きかけを行ってまいりました。科学的根拠に基づいて、日米間、政府当局間で協議をした結果、今回の撤廃に至ったと、このように認識をしています。
併せましてEUですが、同じく放射性物質に係る日本産食品の輸入規制の見直しを行うことを決定しまして、現地時間の20日、月曜日に公表され、10月10日から実施されるという発表がありました。今回の見直しにおきましては、放射性物質検査証明の対象品目が限定され、規制が大幅に緩和されることになったと、このように承知をしています。
例えば、従来は栽培されたきのこ類、これをEUに輸出するために必要とされた放射性物質検査証明書や産地証明書の発行が必要でしたけれども、こういったものが不要になるということです。EUに対しても、首脳レベル、それから当然農水大臣もそうですが、茂木外務大臣からも度重なる働きかけを行ってまいりました。今回の規制の緩和については、こういった働きかけ、我が方の科学的な根拠に基づく説明が受け入れられたものと認識をしています。
東日本大震災から10年目という節目の年に、このような米国及びヨーロッパの規制、それぞれ撤廃及び緩和が行われたということは、被災地の復興を後押しするとともに、国際社会にも日本の姿勢を示すことにもなるものと認識をしておりまして、日本政府として歓迎を表したいと、このように思います。冒頭、私の方からは以上です。

米国・EUによる日本産食品の輸入規制撤廃・緩和

【NHK 渡辺記者】今の冒頭のご発言の内容の関連ですが、一方で農産のそういった食品とか、輸入規制を続けている国がまだあるわけですし、実際問題、今度また処理水を海洋放出するとなった段階で、また新たに例えば水産物なんかは、また風評というものがいろいろ出てくると思うんですが、今後そういう中で、日本政府として、どういった対応をとっていくのかというところで、対外的な説明とか、それは今、どう考えていらっしゃるのでしょうか。

【吉田外務報道官】ご質問にありましたように、今回米国が撤廃をして、ヨーロッパで規制緩和が行われましたけれども、ご指摘のとおり、引き続き輸入規制を設けている国・地域は14あります。元々55ありましたけれども、これが順次、働きかけ・説明等々によって、結果14にまでなってきているということです。勿論その14か国・地域の中には、近隣諸国・地域というものが含まれていると認識しています。
今回米国が、輸入規制撤廃に至ったのは、そういう規制を継続する科学的根拠がないという判断に基づいて、決定されたと承知していますので、そのような判断も踏まえて、各国・地域には引き続き検討をしていただきたいと思いますし、日本政府としても、最重要課題として、透明性の確保、それから科学的な説明等々、働きかけを粘り強く行っていく考えです。
それから併せて処理水のことについてですか、ご質問いただいたと。

【NHK 渡辺記者】処理水を流すとなると、更に水産物に対して、厳しい目が向けられる中で、そういうことに対して理解が得られるのだろうかという問題があると思うのですが、いかがですか。

【吉田外務報道官】福島の東京電力福島第一原発のALPS処理水につきましては、いろいろな場でこれまでも申し上げてきていますけれども、日本政府としては、ALPS処理水については、客観性・透明性・安全性を確保するということが重要だと認識をしています。これまでも、様々な機会に、各国、それから国際社会に対して、高い透明性を確保するための、ご説明を行ってきたと認識をしています。
本来は、この問題と先ほどの輸入規制の問題とは、直接関連されるべき問題ではないと、このように考えてはいますけれども、この処理水につきましては、基本的な対処方針を既に4月に明らかにしていますけれども、こういった考え方については、原子力分野の専門的機関である国際原子力機関のIAEA、その海洋放出について考え方を伺っておって、IAEAからは技術的に実現可能であるし、これは国際的な慣行にも沿っているという評価をまず受けています。
更には、今月ですが、IAEAのレビューミッション、IAEAの次長をヘッドとしてミッションが来られました。こういった場でも議論して明らかにしてきていますけれども、今後、IAEAとの間で協力をして、そのIAEAの中において専門家を加えたレビュー、これはその安全性の問題もありますし、それから規制面の問題もあります。そういったものについて、レビューのミッションを受けると。このことをもって、きちんと国際社会に対して、客観性・透明性の確保をしていくことを明らかにしていきたいというふうに考えています。
いずれにしましても、その処理水を放出するまで、まだ1年以上の月日があります。その放出に先だって、実際のその決定というものはまだ先のことでありますし、それまでの間に、海洋環境に及ぼす潜在的な影響などを評価するための措置であるとか、先ほどのようなIAEAによるモニタリングであるとか、レビューであるとか、こういった第三者的な客観的な評価も加えながら、国際社会に日本として、安全で透明性のある措置を執っていくんだということをご説明して、そのような風評の払拭に努めていきたいと、このように考えています。

北方四島における共同経済活動

【NHK 渡辺記者】別件ですが、昨日、日露の共同経済活動について、オンライン形式というか、発表ありました、ゴミ処理の問題についての協議をしたということですけど、日露関係、直接、コロナで人が会えないという中で、このオンラインによるその共同経済活動の議論というのは、これまでも何回も発表はあるんですが、毎回何か具体的な進展があったわけではないということで。ただ協議だけは続けているんですが、現時点で、その何か発表できる段階とかになってないとか、法的な問題は解決しないって話は常にあるのに、回数だけは結構重ねていると思うんですが、目指すところというか、今どういう議論をやっているのかというのがもう少し分からないと、何か、本当に日露は平和条約締結に向けて動いているのかという、そこは疑念を抱かざるを得ないと思っていまして、現状で、どういうふうな共同経済活動を実現しようとして、どういうゴールを目指しているのか、どれぐらいの、今、位置に来ているのか、その辺は今どうなっているんでしょうか。

【吉田外務報道官】お尋ねのありました、日露間の領土問題に関連して、北方四島における共同経済活動についてですが、これは首脳間での合意を踏まえて、技術的・事務的なレベルで、具体的な分野について、検討が継続しているという状況であります。
ご指摘がございましたように、現在コロナ禍ということもあって、大勢が参加する形で、集中的な議論を行うという形式が非常に困難という状況にはありますけれども、そういう中でも、関係する専門家含めて、オンラインの協議で、日露間の双方の認識をすり合わせる。そういった形で議論を継続していると、こういう状況であります。
共同経済活動につきましては、様々これまでも、議論が積み重ねられてきていますけれども、当然、根幹にあるのは双方の立場を害さない形で、特に日本の北方領土に対する法的な立場、これを損なわないということが大前提であります。決して容易な課題ではないということですので、当然のことながら、詳細な、極めて多角的角度から検討しなければならない論点、これがあるということであります。
日本政府の立場としては、そういった議論を継続した上で、日本政府の立場に基づいて、これまでの日露間の諸合意を踏まえて、領土問題を解決して、平和条約を締結していくという、基本的な政府の立場、その重要性については何ら変わるものではありません。
様々な協議が行われていますけれども、国民の皆様にお知らせすべき進展があれば、そういう結果が出れば、進展があれば、その都度、発表していくということになりますけれども、現時点ではまだそのような状況には至っていないという認識です。

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