知事定例記者会見(2021年11月2日)
2021年11月10日令和3年11月2日
(県政記者クラブ主催)
【知事】
おはようございます。皆様方も、総選挙、お疲れ様でございました。第49回の総選挙も終わりました。結果が出ました。戦われた方、支えられた方、関わられた方すべてに敬意を表したいと存じます。特に、今回は非常に短い期間での、解散されてから選挙期日までが非常に短かったということで御準備も大変だったと思います。また、コロナ感染後に初めて行われた総選挙、国政選挙ということもございまして、宿泊療養施設に入所される方とか自宅療養される方への郵便投票等も行われたということで、その準備に対応していただいたこともございます。心から感謝を申し上げたいと思います。
また、当選された方には祝意をお伝えいたしました。同時に、課題がたくさんありますが、その課題を克服し、可能性を伸ばすために、国政で大いに御活躍いただくことを期待したいと存じます。私個人としては、やはりこういった選挙の機会に政党であれ、候補者であれ、受けとめられたお声、そして、選挙の折に出された政策や課題。こういったものは県政に関わることも多くございますし、県民の皆様方のそのときの思いが凝縮されているものでもあると思いますので、例えば、当選された方との意見交換、また、出された結果、政策等の分析をしながら、今後の対応にしっかりと役立ててまいりたいと考えているところでございます。早速、11月、12月は国においても予算編成が行われます。既に政府省庁への政策要望・提案させていただいておりますが、新しい国会の構成においてもしっかりと県政の課題が届けられるように努力してまいりたいと存じます。
COP26(第26回気候変動枠組条約締結国会議)が行われております。岸田総理もイギリスに向かわれたということでございます。この前に行われた経営会議で、このCOP26の議論の経過ならびに決まった結果をしっかりとフォローするように総合企画部ならびに琵琶湖環境部に指示をいたしました。世界レベル、国レベルの議論でございますが、地方自治体としても、環境先進県としてもしっかりと取り組めることを整理し、先取りし取り組んでいきたいと考えているところでございます。石炭の廃止、輸送のグリーン化などが大きなテーマになるようでございますし、財政的技術条件を整えていくための協調というものも議論されるようです。5年ごとではなくて毎年計画や政策を見直そうというような発議もすでにされているようでございますので、しっかりとこういったところにコミットメントしていきたいと考えているところでございます。
本県も現在、CO2ネットゼロにかかる条例、計画の見直し作業を進めているところでございます。2030年度で50%削減の目標を掲げて、現在、条例をつくり、計画をつくろうとしておりますので、このCOP26の議論もしっかりと反映させていきたいと考えております。
なお、目下、コロナの状況でございますが、先週末にステージIに引き下げました。今朝の時点でも、まだ今日(の新規陽性患者数)は0件ということでございますので、以前よりも落ち着いた状況にあると思います。気をつけながらも、肩の力を抜いて過ごそうと県民の皆様に呼びかけておりますし、次の波に備えた準備も怠りなくやっていきたいと思います。同時に、県庁の業務は、通常業務に戻す準備にかかろうということで、この11月に、すぐにすべてを戻すことはできないかもしれませんが、どういった業務をやめ、どういった業務をまた元に戻すのかという整理を行うことについても、先の経営会議で指示させていただいたところでございます。
それでは資料に基づきまして3点の情報提供をさせていただきます。
まず1点目は、イチゴでございます。県で初めて育成したイチゴ新品種の名称を募集したいということでございます。この新品種は「滋賀SB2号」というものだそうでございまして、県の農業技術振興センターが平成28年から5年の歳月をかけて育成してきました。約1,600個体の候補から選び抜かれた逸品ということだそうでございます。特徴が3つ。適度な酸味があって甘さが際立つ味を持っているということ、2つ目はさわやかでフローラルかつ芳醇な香りがあるということ、3つ目は大粒で明るい赤色の見た目ということだそうでございます。もうすでに甘い香りが漂っています。すいません、皆さんに食べていただけないのが残念ですけど。
皆さんに親しまれておいしいと思っていただけるイチゴになるよう名前の募集を11月1日、昨日から開始しておりまして、これから12月26日まで約2か月間受け付けるということでございます。応募方法は「しがネット受付サービス」と郵送の2つ。「しがネット受付サービス」は県のホームページからアクセスしていただくことができ、郵送の方ははがきに必要事項を御記入のうえ、応募いただきたいということでございます。応募についてのチラシをお手元に配っております。これらは(県農業農村振興事務所)農産普及課、県内の全ての直売所、そして全ての平和堂、県内約80店舗の平和堂様、そしてコープしが様などの県内量販店等で配布をさせていただいておりまして、チラシに記載の2次元コードからも「しがネット受付サービス」にアクセスいただけるとのことでございます。
御応募いただいた作品の中から名前を決定し、令和4年3月に公表する予定です。採用された方には記念品と本格販売前のイチゴ新品種1キログラム、したがって4パック入りの1箱というイメージだそうでございますが、これが贈呈されるということでございます。その後、令和4年冬から生産者の募集を始めまして、令和5年に本格販売となる予定でございます。多くの方に御応募いただき、みんなでこのイチゴを滋賀の新たな看板に育てていきたいと考えているところでございます。
(知事のイチゴ試食)
確かにちょっと甘酸っぱい、言ったことがなかなかその通りだなと思います。なぜ、ちょっと酸っぱそうな顔をしたかというと、きゅっとなる感覚もあるし、甘さもあるしということでございまして、ぜひ皆様方にもお楽しみいただきたいと思います。可愛い名前を募集したいと思います。
続いて、こちらも資料がございますが、ハノイ工科大学と3者覚書を結びますということです。県内企業におけるベトナム人材の受け入れを促進するため、滋賀県と滋賀経済産業協会、ハノイ工科大学の3者で覚書に調印することとなりました。近年、外国人労働者、とりわけベトナム人労働者の増加が顕著でございます。今後も本県産業を支える重要な担い手、一緒に住み働くパートナーとして注目しているところでございます。
一方で、ベトナムは経済成長著しい国でございまして、今後も優秀な人材を確保するためには、県が先頭に立ち協力関係を構築していく必要があると考えております。そこで、今般、特に製造業での活躍が期待できる技術系人材を輩出しているハノイ工科大学との協力関係を構築することといたしました。ハノイ工科大学が日本の自治体と覚書を締結するのは今回が初めてのことでございます。さらに、県内企業のニーズを反映させていくことで協力関係を実効あるものとするため、滋賀経済産業協会にも御参画いただくこととしております。調印式は11月12日、金曜日の14時30分に県庁で行うこととしております。
新型コロナの影響により往来ができないということから、ハノイ工科大学はオンラインでの御出席となります。今般の覚書では、就職支援のみならず、日本語教育など、学生サポートに関する協力も行うこととしておりまして、三方よしの実現を目指しているところです。
これまでから、ベトナム最大の商業都市であるホーチミン市や、ハロン湾で有名なクアンニン省と覚書を締結いたしまして、経済や環境分野での交流を深めてまいりました。この(ハノイ工科大学との)覚書が人材分野において、世界から選ばれる滋賀を実現するための大きな一歩となることを期待し、努力してまいりたいと存じます。
最後は、滋賀県立総合病院が開設50周年を迎えますということで、そのための記念式典、シンポジウム等開催させていただくということでございます。資料にもございますように、現在の滋賀県立総合病院、前身の県立成人病センターが開設されたのが1970年(昭和45年)の12月ということでございまして、開設当初は消化器系、婦人科系の集団検診ですとか精密検査を担う小規模施設として出発し、以来、機能を拡充し、サービスの向上に取り組んできたということでございます。今は、あらゆる疾患に関わる高度専門医療を担う県立病院として全国トップクラスの健康長寿県の形成に大きく貢献をしております。昨年4月以降はコロナの対応に御ご尽力いただいているところでございます。
昨年度が50周年でしたので、予定していた記念イベントがあったのですが、コロナ禍で見送らざるを得なかったということでございまして、既に御案内しておりますとおり、来る11月14日の日曜日にシライシアター野洲文化ホールにて開催いたします。当日は、県立総合病院の歩みを振り返りますほか、医師で作家でいらっしゃいます鎌田 實(かまた みのる)さんによる「『がんばらない』という生き方」についての特別講演が行われるほか、医師や関心の高い病気についてわかりやすく解説をいただく公開講座も予定しているところです。御参加は申し込み制でございますが、できるだけ多くの方々に御参加いただけるように、コロナのステージも下がったということもございますので、11月11日まで受付けをしようということで直前まで受付期間を延長させていただきました。感染防止対策も万全に行っておりますので、安心して御来場いただきたい。また、記者の方にも御取材等で来ていただければ幸いでございます。
また、県立総合病院では、気になる病気や治療についてわかりやすく解説された書籍『県民の元気をささえる-滋賀県立総合病院の最新医療』を発行されたところでございます。県の総合病院がこのような書籍を発行するのは初めてということでございまして、県内書店やオンライン書店でお買い求めいただけるということでございます。県内の医療機関や図書館などにもお送りいたします。この書籍については、今日の午後に県立総合病院から詳しい内容を発表するということでございますので、あわせて御取材等もいただければと存じます。皆様方に、より一層信頼され、また、親しまれる病院になるよう、頼りにされる病院になるよう、ともに努めてまいりたいと存じます。長くなりましたが、私からは以上でございます。
[中日新聞]
冒頭にあった選挙の受け止めの件ですけれども、今回の小選挙区では自民党が全勝で、野党系も2人比例復活で、4年ぶりに野党系の議員もいるという状況になったと思うのですが、この結果の受けとめを少し詳しくお願いできますか。
【知事】
県内の情勢ということですか。
[中日新聞]
全国としても与党が結果的にはかなり取ったということも含めてお願いします。
【知事】
前の総選挙から言えば、安倍政権、菅政権、岸田政権となられての総選挙。そして、コロナ禍を経て、今まだ渦中でございますが、その中での総選挙いうことですので、そういった対応等が一定問われた選挙だったと思います。
結果的に絶対安定多数を与党として確保されたということでありますので、そういった信任を得られたと総理はじめ政権の皆様方が思われるのも、これはもうその通りの結果なのではないかと受けとめております。
ただ一方で、改選議席を減らされたということであるとか、一定、与党以外の政党の躍進等もみられたということでありますので、今の対応、今の政権に対する「もっとしっかりしてほしい」といった、いわゆる批判票というようなものも、一定、結果として出たのではないかと思います。この結果をそれぞれがしっかりと受けとめて対応することが必要だと思います。
冒頭に申し上げたように、県としても知事としても、この間、出されたいろいろなお声、特にコロナ対策等では、医療の問題、治療の問題等も様々出ましたし、その中で生活や経済支援の課題等も出ましたので、そういったお声等を受けられた議員の皆様とも、しっかりと共有させていただいて、今後の対応に生かしてまいりたいというふうに考えております。
[中日新聞]
今回、戦後最短の時間で、新首相就任から解散も最短で、解散から総選挙も最短ということで、具体的な新政権でのコロナ対策など、あまりみえない中で選挙が行われたような印象もあるのですけれども、こういうやり方の受けとめと、県内での投票率も3回連続60%を切っていて、五十数%で世間の信任と言えるのかなという気持ちもあるのですけれど、その辺りも受けとめをお願いします。
【知事】
冒頭も申し上げたように、解散から選挙まで短かったので、相当、事務、実務は苦労しました。これはもって有権者の皆様方のいろいろな投票行動にも一部影響したのではないかと思います。投票所入場券の到着が期日前としっかりと整合していたかというと、そうでない部分もあったのかもしれません。
また、新政権が誕生してから短いではないかというお尋ねがございましたが、これは与党・自由民主党のいろいろな事情や都合でこうなった面もあるのかもしれません。時の総理の御判断もあるのかもしれませんが、総選挙は、その解散行った時の政権の審判ということだけではなくて、この間の政権運営に対する一定の評価ということもございますので、岸田政権以外の、菅政権、安倍政権に対する評価というものもあわせて、それぞれの政党が問われたのではないかと思います。その結果がどう出たのかということもあるでしょう。同時に、政党評価だけではなくて、政権評価だけではなくて、それぞれの候補者や現職の議員の皆さんが、日常活動をどのように、それぞれの地域においてなさっているのかというようなことも、結果として出た面があるのではないでしょうか。
最後におっしゃった投票率の問題は、県内は57.33%ということでございまして、全国平均よりは高かったですけれど、過去3番目に低い投票率ということになりました。コロナ禍において実施されたということもあって、いろいろと集会の持ち方とか、選挙運動のやり方とか、随分、これまでと違う選挙戦になったようでございます。まだ、すべて聞けているわけではないのですけれども。ただ、一方で、ネット選挙などでこれまでにない活動もできたということもあったようでございますので、そういったことがどのように影響していたのかということは、今後も少し分析がいるのではないかと思います。
ただ、投票行動を通じた政治参画というのは極めて重要だと思いますし、民主主義・自治の根幹でもありますので、こういった権利がしっかりと大切に行使される環境を整えるという努力は我々もしっかりと行ってまいりたいと思っています。
[中日新聞]
今回、衆院選で野党共闘という形は本格的に初めてということだったと思うのですけれど、知事も、元民主党で政権交代ある政治などを目指されてきたと思うのですけれど、やはり小選挙区制という中、野党が勝つのはなかなか難しい選挙制度だと思うのですけれど、野党共闘というやり方について何かご感想や、元々労組の出身でもあると思うのですけれど、連合の会長などは否定的な発言などもしていると思いますが、その辺り含めてお願いします。
【知事】
なかなか難しいテーマですね。小選挙区比例代表制ですので、それぞれの選挙区においては、1対1の構図に基づいて、1対1の構造をつくって、そして政権選択を問うという戦いにならざるを得ない。したがって、分立する野党はできるだけ1つにして有権者に問うというやり方になるのは一定致し方ないと思いますが、戦略上そういうこともあるのだろうなと思います。どうしてもその際、違う政党が共闘するということに伴う疑問ですね。理念、政策は、そして、それぞれの手段はといったようなことに、どのように、有権者が受けとめられるのかということは付いて回るのだろうと思います。
こういった戦い方がどうだったのかという総括は、今後それぞれの政党においてもされると思いますが、私がその政党にいたら、なかなかやりにくかっただろうなと思います。違う政党と一緒に戦うというのは、構図としてわからなくもないけれど、やりにくいだろうと思います。
[中日新聞]
2大政党のどちらかを選ぶという意味では、選択肢が広がるのか狭まるのか。
【知事】
わかりません。選択肢が広がるのか狭まるのか。5人で戦うより2人で戦う方がどちらかを選ぶということになるのかもしれませんけれども、全国でそれができているのかということとか、その連合体・共闘体が何を目指すのかということが、きちんととれているのか。こっちで共闘、こっちでバラバラということが、国政の運営を担う政権選択として、どう映るのかといったようなことは、どうしてもそのわかりにくさ、戦う人のわかりにくさは、結果、選ぶ側としてもわかりにくさに繋がるのではないかなと思います。
[日経新聞]
引き続き、衆院選について伺います。日本維新の会の躍進というのが、今回の1つの結果だったと思うのですけれども、それについてどのようにお考えでしょうか。ご存じのように自治体の首長が代表と副代表を務める政党です。かつ、今回の躍進の理由の1つとして、コロナ対策でメディアにたびたび取り上げられた吉村知事の人気も大きかったのではないかというふうに言われています。近隣県の知事として、そうした日本維新の会の躍進というのをどのようにみているのか伺えればと思います。
【知事】
大きく躍進されたということは、期待の表れではないかと思います。また、これまでやってこられたことの実績に対する評価という面もあるのではないでしょうか。大阪府市で行われている改革等が有権者の皆様方に大阪だけではなくて、他の自治体においても一定、響いた、届いたのではないかと思います。
特に、コロナ禍もございましたので、そういった地方の自治体、リーダーの発信というものの受けとめもあったのではないかと思います。こういった自治体レベルでの取組が、政党の評価、もしくは国政の選挙結果に表れるというあり方というのも、1つあるのではないかなと思います。コロナ対策、今の不安、そして、将来にどう向き合うかというときに、今どうやっていますかという事例が1自治体の中で示されているということは、選択材料の1つの重要な部分になってくるのではないかと思います。
[日経新聞]
大阪の場合、成長戦略においても万博の開催であったり、まだ、決まっていませんがIRの誘致であったり、国家プロジェクトを誘致して地域の成長戦略に結びつけるというやり方を取っています。国政の場に議席を持つことが、そうした個人的な首相との繋がりなども含めて、そうした国家プロジェクトを地域に持ってくるということに繋がっているのだと思うのですけれども、そうした手法についてはどのようにお考えですか。
【知事】
1つのやり方だと思います。特に、統治機構改革をはじめとする改革を主張される日本維新の会が、大阪府市での実績を持って国の改革に取り組むべきだという、そういうご主張です。これは一定あると思います。かつ、そういった国家プロジェクトとの関わりにおいて、大阪を中心に広がってきた、伸びてきた政党が、国政政党でも一定役割を担っていきたいということというのは、やり方としてあるのではないかと思います。
ただ、国政に出られた方が、大阪府市以外の選出の方が、大阪のことだけを語られるわけにはいかないでしょうから、そのあたりのガバナンスを今後どのように政党として取っていかれるのか。その方々が国政においてどういう御主張なさるのかということが今後問われてくるのだと思います。
[日経新聞]
経済対策について1点伺います。特に、家庭と企業への給付金について、今、検討されていますが、例えば、家庭への給付金であるならば、非正規労働者とか、学生とか、重点的に給付するのか、あるいは高校生以下の子どもを持つ子育て家庭に一律に給付するのかといった問題がありますが、知事はどのような形で、こういった家庭への給付金というのはあるべきだと思うのでしょうか。
【知事】
まず、コロナ禍で痛んだ生活ですとか、暮らしを立て直すためにという御提案だったと思いますが、この総選挙の期間中、それぞれの政党が、それぞれの候補者が多くの給付金、支援金のことを口にされました。少し乱立しましたので、何がどうなっているのか、どういう要件で語られていたのか、財源がどこにあるのかということについて、十分に整理できていないことがあると思います。
一定、結果が出て、国会の構図が決まりましたので、年内にもというようなことも総理がおっしゃっていらっしゃいますので、早急に全体像を示していただいて、国民もって私たちに御説明をいただければというふうに思います。ただ、こういった生活支援のための給付金制度は、公平性と迅速性が問われると思います。かつ、財政のことを考えると、持続可能性というものも当然つきまとうと思いますので、この3つの点で、今だけよければいい、もらえる人だけよければいいということではない給付金がどのように制度設計されるのかを、注目してみていきたいというふうに思います。
[日経新聞]
企業向けについてはどうでしょうか。コロナ禍で痛んだ企業を支援するというのはわかりますけれども、それがかえって企業の新陳代謝といったものを阻害する要因があるとも言われています。そうした持続給付金のあり方についてはどのようにお考えでしょうか。
【知事】
これも両面あると思います。そういった厳しい経営状況にある事業者の皆様方を支援金等で支援すること、これも一定必要です。そのことが変わることですとか、継承されること、改革をされることを阻害する要因にならないように、どのようにこの制度をつくっていくのか。ですから、我々も事業者の事業継続を支援する部分と、新たな取組を支援する部分とセットで県独自の支援金などはつくってきたところもございます。やはり、厳しい状況を手当するところと、こういった感染症を受けて時代に合わせて変わっていくこととの両輪でやっていく必要があるのではないかと思います。
[京都新聞]
衆議院選挙の結果について話を戻してお伺いしたいのですけれども、特に、県内での結果。小選挙区においては自民が全勝した、野党勢力が1つも取れなかった。この結果について、知事御自身どのようにお考えになっているか、受けとめているか、まずお聞かせください。
【知事】
やはり、現職の皆さん強かったと思います。そこは、それぞれが支援者の方も含めて頑張られた成果だと思いますし、そして、やはり選挙というのは、熱量の伝達というか、この人と一緒に頑張ろう、この人を頼むという人がどれだけ多くいてくださるのかということだと思いますので、そういったところがやはり小選挙区で勝たれた方々には、他の候補にも多かったということではないかと思います。ただ、前回の選挙はその自民党の現職の方々が、一部新人もいらっしゃいましたけれども通られて比例復活を許されなかったところ、今回は野党も含め、他の政党も含め、比例で議席を確保された方々もいらっしゃいますので、また前回とは違う結果というものも一定表れたのではないかと思っております。
[京都新聞]
現職が強かったというところですが、滋賀の有権者の思いというのは、どういうところにあるのかというところですね。現職が非常に強さをみせたという、この選挙結果から滋賀の有権者の想いみたいなものを、どのように、知事御自身が感じ取られましたか。
【知事】
まず、投票率が57%です。ここにその投票行動にまで行かれなかったという1つの結果があると思っています。投票に行かれた方の結果として、現職の方が通られた。自民党の候補の方が通られたということで言えば、この間やってこられた、特に1期目、2期目、3期目として取ってこられた活動等が一定支援者、有権者の皆様方に支持されたのではないかと。相対的に支持された。変えることよりも、引き続きしっかり頑張れという、そういう審判としてあらわれたということではないかと思います。ただ、他候補よりも大きく勝ちきれなかったということで言えば、これまでの対応に対する批判等も一定、結果としてあらわれたのではないかと思っています。
[京都新聞]
一方の野党としては、県内において共闘しても1つも勝てなかった。この状況について、もう一度、御見解と受けとめをお伺いできますか。
【知事】
そこは私もその中にいたわけではありませんし、すべての情報を持ち合わせているわけではありません。今後、関わられた方々との意見交換、ディスカッションなどもしながら、どういったことだったのかというのを自分なりにも考えてみたいなと思うのですけれども、県内だけでも4つの選挙区で、政党の選択肢の構図をすべて揃えて整えることができたかというと、そうじゃない面がありました。そうすると、この政党ということを全県で訴える難しさというのもあったのではないかと思います。
また、野党共闘という言い方は随分経ってきましたし、戦略として一定あるのかもしれませんけれども、私はそういう戦い方を国政時代にしたことがありませんでした。理念と政策が違うところをすり合わせるというのは、なかなか難しいだろうというふうに思います。現政権に対する批判を集めて、政権選択を問うというところまではいいのでしょうけれど、政権交代した後、誰と何をするのかというところの難しさというのは、やはり付きまとうのだと思います。本気になって政権を取りに行こうとしている、担おうとしているというところがどう有権者に映ったのかというところはあったのではないかと思います。
[京都新聞]
その結果から、県内においては自民指示という声が多数を占めたという結果が出たのですけれども、その結果を受けて、知事として自民党という存在との距離を県政運営においてどのように取っていきたいか、今後の県政運営について自民党とどうつき合いながら、運営していきたいと考えになっておられるか、お聞かせください。
【知事】
この自民党という政党は公明党と連立を組まれての政権与党でありますので、政権与党を担う自民党とは、しっかりと県政のための政策対話を積み重ねていきたいと思います。同時に、とはいえ、すべて政権与党に従うということではなくて、県の課題は県の課題としてしっかりと届けながら、どのように国政においても実現していくのか。また、より多くの方々に御理解、御支援をいただくという面で、自民党以外の政党や野党も含め、どのように対話をしていくのか。これもやはり大事なことだと思いますので、今回は自民党だけではなくて、野党の方々も一定通られたということも受けて、より丁寧な対話をしっかりとつくっていかなければならないのではないかと思っております。
[京都新聞]
そのうえで、知事選について御自身は態度をまだ表明されておられないわけですけれども、今回の自民が勝った、野党が負けたという選挙結果が、知事選に対してどのような影響を持ってくるか。御自身の今のお考えも含めてお聞かせいただけますか。
【知事】
県政1日1日をしっかりと担うために、国政政党もそうですし、国会議員の皆様方、そして地方議員、あらゆる方々としっかりとお話をして、御理解をいただいて、一緒に頑張ろうという輪をつくっていくということに尽きると思います。結果は結果としてしっかりと受けとめて、新たに議員になられた方も含めて、しっかりと話をしていきたいと思います。
[京都新聞]
仮定の話をして恐縮ですが、仮に知事選に次も挑まれるということがあった場合、自民党に対して推薦を求めていくというような思いみたいなものはお持ちであるかどうか聞かせいただけますか。
【知事】
知事として、県政を進めるために必要だと思うことについては、垣根なく考えていきたいというふうに思います。
[読売新聞]
衆議院選挙の話ですが、今回、自民党が小選挙区を全部取りました。これで2012年から4回連続になりました。一方で、その前、(衆議院選挙に)知事が出られた時は民主党が独占しておりました。なぜ、野党が勝てなくなっているのかというところですが、知事はこの12年間、県内の有権者の意識含めて何が起こっていて、なぜ野党が勝っていないとお思いでしょうか。
【知事】
今回の総選挙ほど、何とももやもやした気持ちを抱いて、期間中過ごした選挙はなかったです。大体、解散とか選挙というと武者震いする方ですけれど、何とも言えない感覚を持って過ごした12日間でした。やはり、2009年で政権を渡された自民党がその時の轍を踏まれて、政権運営ですとか、候補者の活動ですとか、そういったことを非常に緻密にこまめにやられているということはあると思います。また、一方の野党は国会でのチェック機能を果たしながら自分たちが政権を担った場合にこうするという政策づくり、その提言・発表活動などに勤しまれているのですけれども、いかんせん、政権交代の現実味というものが展望できないので、有権者の熱い期待を持ってずっとローリングできているかというとそうじゃない面があるので、少しそういったところが、投票に結びついていかない、結果に届いていない面もあるのかもしれません。
ただ、政治ですし、選挙ですので永遠というのはないので、今、担われていない方も次担うためにどうするのか。今、(選挙に)出られてないけれども、次(選挙に)出られる方がどうするのか、やはり、絶えずみんなで考えるというのが重要かと思っています。
[読売新聞]
野党側の話ですが、県内だと立憲民主、国民民主、共産、社民党の4党が市民団体の方に間を取ってもらって協力しようという枠組みで協力をされておりまして、結果、2人は比例復活しましたが、勝てませんでした。
全国的にみても、その立憲民主中心の共闘というものに対して、あまり上手く機能せず、立憲民主・共産は実際議席を減らしているという結果になっています。小選挙区制度におけるその戦い方という話で先ほどありましたけれども、その共闘のあり方。今回は県内でも比例復活できましたが、不発だったのかなと思っているのですが、この共闘の枠組みのあり方みたいなものというのはどうあるべきでしょうか。
【知事】
学者でも評論家でもないのでなかなか難しいところがあるのですけれども、不発とまでは言えなかったのではないですかね。やはり一定、共に戦ったから勝ち取れた比例区の議席という面もあったでしょう。ただ、比例票で議席を得て通るということは、それぞれの選挙区において、どういう言い方をするのかという事とも連動しますので。戦いにくさとか、選ぶ側のわかりにくさというものも、やはり付きまとったのだと思います。
この野党共闘と銘打ってやられる選挙も数回重ねてきました。今回の結果を受けて、今後どうされるのかということで、継続すれば、また、こなれてくる部分もあるのかもしれませんし、変わるのなら、また違う枠組みというのもあるのかもしれないなと思ってみているのですが。
[読売新聞]
いずれにせよ、国会議員については自民党しか議員がいないという状態は解消されたのですが、今のその状態について、政権与党の人達が強い地域であるということと勢力が拮抗しているということと、どちらがいいというか、今回の結果を受けたその状態をどういう評価をなさいますか。
【知事】
滋賀も社会も多様ですので、何も政権政党支持者ばかりではありませんので、多くの方々の多様な意見を政治の場に反映するという意味においては、私はいろいろな方が議場・議会にいらっしゃるということはいいことだと思います。
そういった受けとめは、今回の結果を受けて、おそらく小選挙区で当選された方々も、どこかで持たれているのではないかと思います。そのことが行動の変容、政策・主張の変容にも繋がってくる部分もあるでしょうから、そういったところを僕らもよくみていきたいし、県としては数が増えた選出国会議員の皆様方との政策対話を、県政を進めるうえでしっかりやっていきたいと思っています。
[時事通信]
先ほど、おっしゃったように、国会議員が今回4人から6人に増えたという点について、県としては政策課題を実現するうえで良いことなのかどうなのか。どういうふうにお考えでしょうか。
【知事】
やはり、県民が選んだ国会議員は少ないより多い方がいいと思います。私が衆議院議員の時代には衆議院議員と参議院議員で11人いたこともありますので。それがよかったか悪かったかというのはちょっと置いておきますけれど。やはり、県民の声を国政に届ける人は少ないより多い方がいいのではないかと思います。ただ、我々、間に立つ県行政を担う者としてはそういった議員の皆様方にしっかりと情報をお届けして、法律づくりだとか、政策提案にしっかりと役立てていただけるようにしていく。その対象者が増えるわけですから、そこはやはり丁寧にしっかりやっていかなければならないと思っています。
[時事通信]
政府・与党では、補正予算の議論が進むと思いますが、何か望まれる政策がもしありましたらお伺いしたいのですけれども。
【知事】
やはり、長引くコロナ禍で、また今年も年末を迎えるということに伴う「今の不安」にどう向き合うのかということ。人口減少・子どものこと、さらには財政のこと、地球温暖化のことといった「未来将来への不安」にどう向かい合うのかという、この2つのことが問われているのではないでしょうか。それぞれの政党、候補者が、そのための処方せんを語って勝ち抜かれた選挙。言われたこと指示されたことをどのように具現化されるのかということが重要だと思います。
滋賀の場合でいうと、冒頭も申し上げたCO2をはじめとする環境の問題。これは琵琶湖をお預かりする立場から、強い関心を持ってみていかなければならないと思っていますし、全国知事会の中で次世代育成支援対策のプロジェクトチームリーダー県としては、やはり「こども庁」をはじめとする関連予算がどのように補正と来年度に形づくっていかれるのか。こういったことは、やはりしっかりと地方の声を届けていかなければならないと思っておりますので、この11月、12月は忙しくなると思っています。頑張っていきたいと思っております。
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