
品川エリアを中心にゲストハウス運営、ツアー企画・運営等を行う株式会社宿場JAPAN(代表取締役:玉井(渡邊)崇志、以下宿場JAPAN)は旧品川宿エリアのまちづくりに関するパートナーシップ協定を、旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会と2025年2月25日に締結いたしました。「地域融合型ゲストハウス」をコンセプトとし、「Join the Local Experience」をスローガンに掲げて、旅人とまちを繋ぐ役割に努めてまいりました。今後は、品川宿エリア・品川というまちを背負う立場で、自社の事業運営とともに持続可能なまちづくりを目指してまいります。
??背景と具体的な内容、今後の展開
宿場JAPANは、旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会との密接な関わりの元に誕生しました。代表である渡邊は、バックパッカーとして国籍や言語を超えてあらゆる人と繋がることができる点に魅了され、ゲストハウス立ち上げを目指し、品川に。夢のみで資金もツテもなかった青年の渡邊に、まちとともに商いをしていくことの意義やまちづくりの本質といった部分を教え、働き口の斡旋や物件の紹介等、多大な支援をいただいたのが、発起人であり会長を務める堀江新三氏を筆頭とする旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会でした。
旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会は、昭和63年に地域の商店街会長など有志を中心に発足。30年を超える活動の中で、「まちづくり計画書」を策定し、品川宿らしさを次世代に受け継ぐための石畳や街路灯などのまちなみ整備や祭りなどのイベント運営、まちづくり活動拠点であり品川宿の観光情報を発信する場でもある「品川宿交流館」の設立・運営、関連パンフレットの作成やワークショップ運営等々、インフラから情報発信、地域住民の交流の場作りまで、地域住民による地域住民のための工夫を弛まず続けてきました。また、足元を固めるだけでなく他地域との連携にも率先して取り組みます。同じ東海道の宿場町や、友好協定を結ぶジュネーヴ市との交流など、広い視野と長期的目線でまちのための活動を展開してきました。
自社やゲストハウスの利用客ばかりでなく、まち全体での有益性や価値創造を深く考え、サービスや事業に落とし込んで実行すること。そうした重要性を身をもって学び、実践する機会を与えてくれたのが、他ならぬ旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会でした。
今回の協定は近年、様々な時代的背景を元に、江戸から続く宿場町としての姿勢は残しながらも、再開発等でまちのあり方が目まぐるしいスピードで大きく変わっていることを鑑み、より一層宿場JAPANとしての活動を、街全体の利益や公共性に拡張し、まちを代表して発展を目指し、実行していくことを約束するものです。
<これまでの宿場JAPAN・旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会との取り組み 一例>
品川宿エリアのPR関連事業の請負といった企業としての事業協力から、従来のご近所付き合いの延長にあるまちの一員としての小さなお手伝いまで、積極的に関わりを続けてきました。
・品川宿のいまとこれからを考える「まちゼミ」(2014年度)の企画立ち上げから実施運営までを担当

・WMH マスターズホッケーワールドカップ (2022/東京)にて、観光案内ブース運営を担当。また、試合参加者やそのご家族に向けて、銭湯や地元の飲食店を巡る地域ツアー(有料)を飲食店とのコラボで企画、実施した。


・旧東海道品川宿エリアの魅力PRと、来訪者の増加促進を目的としたPR動画を制作
◎旧東海道を巡る「品川クルージングツアー」前編・品川駅~品川橋(目黒川)
https://youtu.be/OwW9ZbPr7Z0
◎旧東海道を巡る「品川クルージングツアー」後編・品川橋~鈴ヶ森刑場跡
https://youtu.be/ztFf1z_uVJE
◎品川の水辺をめぐる自転車クルージングツアー~しながわ水族館から天王洲エリアまで~
https://youtu.be/eyiuLuOZqnc
・まちづくり協会への他地域からの視察時の講演および交流事業の実施
(対応地域一例:埼玉県・鹿児島県・静岡県、自民党議員視察 他)
・東京ビッグサイトにて行われた「地域資源∞全国展開プロジェクト」の際のまちづくり協議会PRのブース出展の実施
・品川宿の地域資源に触れる体験型プログラム「体験+まち歩き」の実証実験事業(2022年度)の実施(ツアー内容の企画から実施、報告まで)
・旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会が主導する景観整備事業に1事業者として協力。ゲストハウスの日除け暖簾や外観を街並みに馴染むように整備
・毎年東海道五十三次の宿場で開催される「東海道シンポジウム」の事務局の運営補助(事前訪問および当日準備、合流事業のセットアップ等)
・IBSAブラインドサッカーワールドグランプリ開催時の応援メッセージフラッグをグラウンドに設営
??旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会メンバーからのコメント
旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会のコーディネータを務める佐山吉孝氏から、今回の協定に合わせて、激励のメッセージをいただきました。品川区報「グラフしながわ」の編集を20年担い続けた編集者としての視点で、これまでの宿場JAPANの活動を、客観的に考察してくださっています。
品川宿において、宿場JAPANが果たしてきた役割、成果
彼から最初にゲストハウスの構想を聞いた時、僕にはそのような視点、発想がなかったからとても新鮮だったし、また地域にとってすごくいいことだと直感した。
その時に考えたことは、以下のようなことであった。
・地域の空き家の活用が見込まれる(表通りにはその頃からすでに空き店舗はなかったが、裏の路地には古い小さなアパートの空室が多くあった)。
・ゲストハウスの宿泊客が飲食、風呂に関してまちの店舗を利用する。
・ゲストハウスの利用者は、宿からまちへ出て地域の人々と交流し、地域の歴史や文化に触れることを旅の楽しみ、目的としている。ゲストハウスはその仲介者となる。
実際にはすぐに路地の古いアパートが活用されることはなかったが、その後、南馬場の解体目前の長屋の一部が「Bamba Hotel Tokyo」になったし、また従業員の住まいのためにいくつかの古い物件が活用されるようになった。そしてこの傾向は今後より伸長していくはずだ。
宿場JAPANは、近隣の飲食店のメニューの英語化などから取り組み始め、独自のイベントなどを繰り広げながら次第に商店街にも地域にも溶け込み、今やゲストハウス品川宿は地元商店街はもとより、品川宿全体にとっても欠かせない「まちの一員」になっているのではないかと考える。品川宿のような古い地域では新参者が我が物顔に振る舞うことは禁物だが、彼らはあくまでも地元の現状、人々の動き、物事の流れを尊重し、その下支えとして活動し、少しずつ独自色を滲み出している点が非常に賢明だと常々、感心して見ている。利用者が地元の商店を使ってくれることによる経済効果はもちろんのこと、宿場JAPANが成長するに従い雇用が増え、そのための住まいの確保をはじめ様々な経済効果が生まれている。
上記したゲストハウスの利用者の特性、旅の目的からしても、ゲストハウスと地域、まちづくり協議会とは親和性が高いし連携も密になるのが必然だと思う。ゲストハウススタッフが利用者に対して、彼らの旅の目的をよく理解し誠実で親切であろうとすればするほど、両者の関係は深くなり互いに意義ある存在になっていく。その点は飲食店との関係とは根本的に異なる。飲食店の利用者が増えることも地元にとっては大変にありがたいことだが、飲食の目的は単一だしまた滞在も短時間だ。「KAIDO Books&Coffee」のように地域との密着性を特色に打ち出して継続的な利用者を増やしてくれているような特異な店もあるが、やはり宿泊客の「まちの利用」は質量共に、ゲストハウスとは比較にならない。
また最近、同社が力を入れている「LOCAL CONNECT」(※)のような交流をテーマとしたツアー事業では、これまで馴染みのなかった若い人たちや国内外の多様な人々に、品川宿をよりよく知る機会を創出し、品川宿のファンづくりに大いに貢献してくれている。宿場ジャパンが「日本にゲストハウス品川宿あり!」と頑張ってくれるほどに品川宿の価値は上がっていく。僕らはその頑張りに負けないように、彼らからの多様な要請、提案にいつでも応えられるよう、彼らをガッカリさせないように努力していかなければならないと思う。
宿場JAPANに、今後期待することとは
やはり「初心忘れず」で、これからも地元尊重を第一として取り組んでほしい。創業直後の東日本大震災、コロナ禍、この二つの危機を見事に乗り越えた渡邊君をはじめスタッフの頑張りは本当に心からの尊敬に値する。あの日々を思えば、もう怖いものはないだろう。これからも独自の視点、発想で新しい事業を創出してほしい。そして「LOCAL CONNECT」のような「交流ツアー」は是非とも継続的に実施してほしい。宿場ジャパンの事業活動は、地域経済を潤し、新しい雇用を生み出し、そしてまちづくりにも大いに貢献してくれている。これからも地域のみんなと共に楽しく、溌剌と活動をつづけてほしい。
宿場ジャパンのスタッフみんなの幸せを祈っています。
旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会
佐山吉孝
※「LOCAL CONNECT」とは、ともに「ゲストハウス及び旅行業を通して社会課題を解決する」ことを掲げ、そのための多文化共生社会づくりの基盤となるコミュニティの総称、およびスローガンを指します。2024年1月10日、宿場JAPANは韓国の大邱において、第一回「LOCAL CONNECT」を開催し、共感シーズと協定を締結しました(プレスリリース「社会課題解決と観光を両立させるコミュニティの誕生!韓国の社会的企業「共感シーズ」と宿場JAPANが協定を締結」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000097061.html)
<佐山吉孝氏 経歴>
広告代理店勤務の後、1983年に個人事務所を設立。広告制作、博物館・美術館の展示設計、自治体/企業の広報誌の企画編集などに携わる。品川区では1987年から「グラフしながわ」の編集長を20年間努め、1991年からは「まちづくりコーディネータ」として品川宿にかかわる。2022年に「品川宿33年間の活動報告~みんなで楽しんでこそ、まちづくり~」を発行(公益財団法人アーバンハウジング)。また2012年から藤岡市鬼石で地域新聞「神流風土子」を発行しまちづくりに取り組み、現在に至る。
??代表・株式会社宿場JAPAN 代表取締役:玉井(渡邊)崇志のコメント
先述したように、宿場JAPANは旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会のご支援がなければ存在しません。それは単に、資金や不動産面、人脈などの要素に分解できる話ではなく、ある地域において事業を始め、続けていくために不可欠な人間関係の築き方、根底に持ち続けるべき姿勢といった数値化できない概念的・精神的な部分に至るまでです。そうした切っても切れない仲であること、また、旅人を迎え入れるまちにとっての玄関口であるゲストハウスがまちづくりの観点を持って経営していくことの重要性については、自著『ゲストハウスがまちを変える: エリアの価値を高めるローカルビジネス』でも記しております。
これまで、旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会を筆頭としたこの品川宿のまちづくりは、いわば「暗黙の了解」で個々人の自主性や連帯感に委ねられる形で行われてきました。「まちで暮らす人たちの自主的な姿勢に貫かれた自治」、言語化できない精神性こそがある意味ではまちづくりの真髄でもあります。一方で、品川駅南地区の約92ヘクタールに及ぶ再開発、SNS等により便利になった反面希薄にならざるを得ないご近所付き合い、まちの商いを担い祭りなどの行事を率いる人材の高齢化……様々な要因により、これまでのまちづくりのあり方をそのままの形で続けることが困難になりつつあることもまた事実です。私自身も2023年6月から南馬場商店会 会長を引き受けることになり、まちを継続・発展させていくことへのよりシビアな現実を知ることにもなりました(商店会再生についての動きは、私個人のnoteでも綴っております)。そうした背景から、年々増す危機感とまちに育ててもらった当事者としての責任の重さを感じ、より一層「品川宿」の顔としてこのまちの継続的な発展と存続に貢献したいと覚悟を決めました。今回改めて明文化をすることで、我々宿場JAPANとしての姿勢を示した次第です。
今後は、宿場JAPANとして品川という街を代表し、国内の他地域や海外諸国までに拡張しながら街全体のこと、公共性について考え続け、歩を進めてまいります。具体的には、多拠点居住などを掲げたいまちづくり事業者や自治体との連携、そのためのパートナーシップ協定、プレイヤーの育成など、広くまちづくりに関わる人を増やしながら地域のお困りごとを解決するような「窓口」のような役割を担っていく所存です。ぜひ、ご関心をお寄せいただける地域の方はもちろん、団体、企業、自治体の方、メディア関係者様など、どなたもお気軽にご一報いただければ幸いです。このまちのより一層の発展のために、今後とも変わらぬご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
■旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会
会長:堀江新三
活動拠点:品川宿交流館(東京都品川区北品川2-28-19)
公式HP:https://www.toukaido-shinagawashuku.com/
■株式会社 宿場JAPAN 会社概要
社名:株式会社 宿場JAPAN
会社HP URL:https://shukuba.jp/
代表取締役:渡邊崇志
住所:〒140-0001 東京都品川区北品川1-22-16
設立:2011年3月
資本金:100万円
事業内容:
宿泊施設「品川宿ゲストハウス&ツアーズ」の運営
宿泊施設「Araiya Tokyo」の運営
宿泊施設「Bamba Hotel Tokyo」の運営
宿泊施設「Kago #34 Tokyo by Shukuba HOTEL」の運営(※2024年3月5日付けで民泊業から旅館業に切替)
スモールラグジュアリー宿泊施設の受託運営
宿泊施設の開業コンサルティング
自治体と連携したエリアプロデュース
おもてなし人材の育成と教育
ゲストハウス開業支援プログラム「Detti プログラム」の提供