
『N・Aの扉』とは、2025年1月に文庫化されて大きな話題を呼んでいる『堕天使拷問刑』の著者、飛鳥部勝則さんが1999年に発表した第3作目の長篇小説です。本格ミステリーでありながら、幻想小説であり、私小説的な面も持ち合わせる、作家の個性を最もディープに堪能できる作品です。
発表から26年間、書籍は古本市場で高騰し入手困難。未文庫化・未電子書籍化のため作品に触れることが難しい状態でした。株式会社書泉と株式会社復刊ドットコムは、これまで『影の獄にて』『夢野久作の日記[新装版]』の2作を共同取組として復刻してまいりました。今回は新たなチャレンジとして、飛鳥部勝則さんの全面的なご協力のもと、「N・Aの扉」という作品を作り直します。
今回の復刻の目玉は、飛鳥部勝則さんによる新規書き下ろしパートの追加です。「本格推理の幽霊」を巡る本編に引き続き、巻末には「別館入口『変格推理の幽霊』」パートが加わります。時を経て辿り着いた、作家最新の答えに触れてください。
また、書泉・芳林堂書店にて、飛鳥部勝則さん書き下ろし短篇(タイトル未定)収録の有償特典小冊子を同梱した限定版を同時発売致します。
数量限定のサイン本も販売するたいへん貴重な機会ですのでどうぞお見逃しなく。
書泉・芳林堂書店でのご予約をお待ち申し上げております。
<この企画を起案した、芳林堂書店高田馬場店 店長 山本さん コメント>
それぞれに個性的な飛鳥部勝則さんの作品群の中でも、『N・Aの扉』は特に異彩を放つ作品です。現実と虚構が入り交じり、著者の推理小説への考えが多く盛り込まれているように見えつつも、あくまでフィクションとして構成されています。著者のことをもっと知りたい読者にとっては絶対に外せない作品であることは間違いありませんが、どのように消化するべきか、少なくとも一読しただけでは呑み込むことは難しいです。手元に置いてじっくりと味わい、読み返して頂くために復刊して頂きます。書き下ろしパートで私たちは漸く出口に辿りつけるのか、さらに迷子になってしまうのか。ご一緒に別館へと足を進めましょう。
<著者 飛鳥部勝則さん コメント>
第三長編『N・Aの扉』は、ミステリーやホラーなどのいかなるジャンルにも属さない、離れ小島のように特異な作品であり、それ故に復刊の喜びもひとしおです。この長編は飛鳥部のすべての小説の原点であり、同時にすべての小説のあとがきでもあります。復刊にご尽力いただいた書店様や出版社様、関係者の皆様、何よりご支持いただける読者の皆様に、心よりの感謝を申し上げます。
<編集・装丁担当 大河原哲さん コメント>
著者のデビュー翌年に書かれた長編第3作にして、その後の一筋縄では行かない作風を早くも覗かせる異色作。
語り手による「幽霊小説(ゴースト・ストーリー)」についての考察から幕を開ける『N・Aの扉』は、それ自体もまた一編の幽霊小説となっています。ただし「幽霊についての小説」ではなく、「それ自体が幽霊である小説」として。
主人公の作家・浜崎が学生時代に執筆した習作への言及がありますが、作中作としてそのまま引用されないため読者は想像するしかない幽霊のようなそれらの習作が、友人による評論という形でのみ触れられるという構成は、J・L・ボルヘスやスタニスワフ・レムによる「架空の書物への書評」を思わせるところもあり、「お決まりのミステリ」からの脱却を目指した著者の意欲が窺われます。
また浜崎が幽霊のように謎めいた少女と出会って繰り広げるミステリ談義も興味深く、小説の形を借りてミステリ評論を内包したメタミステリとしての側面もあります。
そうしたさまざまな読み方を可能にする要素が盛り込まれていることから、一般的な意味でのミステリとは呼べないように見せつつも破綻させることなく、まるでこの小説すべてが幽霊であったかのような不思議な読後感を残していく手腕の鮮やかさが再評価されるべき作品です。四半世紀を経て新装復刊されるこの機会にぜひお手に取ってください。
商品情報
『N・Aの扉 [新装版]』(著者:飛鳥部勝則)

税込価格:3,300円
ISBN: 9784835459561
判型:四六判・上製 280P予定
新装版目次より:
入口 『我らに残るただ一人の女、エヴァ』
第一の扉 『N・Aの扉』
第二の扉 『それからの孤島』
出口 『ここは私の遊び場』――入口ふたたび
あとがき 『ここは私の仕事場』あるいは『コウモリと暮らす男』
新装版あとがき 別館入口『変格推理の幽霊』
本書の特長:
1. 古書価も高騰し長らく品切れだった『N・Aの扉』。口絵・本文内容はそのままに、装いを新たにした新装版として刊行。
2. 巻末には復刊にあたり「別館入口『変格推理の幽霊』」パートを大幅加筆。
3. 著者による見返しへの直筆サイン入り仕様にてお届け。通常版とは用紙も異なる特別仕様!数に限りがございますのでご注文はお早めにお願いします。
*本書は、『N・Aの扉』(飛鳥部勝則・著 新潟日報事業社・刊 1999年11月)を底本とし、内容の一部に修正、増補のうえ、新たな装丁にて刊行するものです。
有償特典同梱版
『N・Aの扉[新装版]』(著者:飛鳥部勝則)
特典:飛鳥部勝則書下ろし短篇「タイトル未定」を収録した有償特典版小冊子
税込価格:3,910円(書籍3,300円 + 書き下ろし短篇収録小冊子610円)
■予約開始日:2025年3月10日(月)
書泉オンライン/ https://shosen.tokyo/apps/note/?e-landing-page=n_a_no_tobira
1.【サイン入】『N・Aの扉[新装版]』(有償特典同梱版):https://shosen.tokyo/?pid=185190474
2.『N・Aの扉[新装版]』(有償特典同梱版):https://shosen.tokyo/?pid=185190475
3.『N・Aの扉[新装版]』:https://shosen.tokyo/?pid=185190476
※サイン本及び有償特典の数には限りがございます。
定数に達し次第終了となること、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
■商品お届け予定日:2025年5月20日(火)以降の出荷となります
■店頭発売予定日:2025年5月20日(火)
株式会社復刊ドットコム
復刊ドットコムは、すでに絶版・品切れになった書籍の復刊リクエストをお客様から受けつけ、ご要望に応えて書籍を復刊し、お客様の手元に作品を届ける国内随一のサービスです。
2024年には創業から25年を迎え、累計リクエスト投稿数は97万件となり、皆さまからの復刊リクエストをもとに、6,000点以上の復刊を実現することができました。
https://www.fukkan.com/
株式会社書泉
「書泉」「芳林堂書店」の2つの屋号の書店を展開。「鉄道」「アイドル」「プロレス」をはじめ「数学」「占い」など様々なジャンルの本・雑貨を深く扱っています。著書にまつわるイベントも多数実施。
<参考>「書泉と、10冊」企画概要と、これまでの販売実績数
昨今、さまざまなネットサービスで過去に出版され、探しても見つからない数々の本が法外な値段で取引されています。「欲しい人が払える分の値段を払う」ということは一見、今の世の中の「当たり前」に見えますが、私たちは「そうではない」と考えます。
ファンの方が熱望するあの名作、私たちも是非お勧めしたいあの名著を「適切な価格」でお届けすることに私たちは挑戦していきます。
そして、それは私たち“本屋”だけでは実現できません。
著者の方々、出版社のみなさま、ファンのみなさま、などご縁のある方と協力しながら、少しずつでもこの挑戦をカタチにしていけると信じています。
この企画を「書泉と、10冊」「芳林堂書店と、10冊」という名前にしました。
「書泉と、ご縁ある方で世に送り出す10冊」という願いを込めての企画タイトルです。
この企画で改めておススメしたい本を2023年8月よりお届けしています。
2024年8月までの、第1シーズンでは25の作品を再度世の中に送りだし、総計で2万冊以上を販売することができました。
「書泉と、10冊」 第1シーズン(2023年8月~2024年8月)

「芳林堂書店と、10冊」 第1シーズン(2023年9月~2024年8月)

この後も、この取り組みを一過性ものにせず「書泉と言えば、10冊だよね」「芳林堂書店といえば、10冊だよね」と言っていただけるようなレギュラー企画に育てていきたいと想いを新たに、2024年11月より第2シーズンも始めております。
「書泉と、10冊」 第2シーズン

「芳林堂書店と、10冊」 第2シーズン


9タイトルを展開し、合計で7,500冊を超えてお客さまの元にお届けできています。
これからも引き続き、企画に賛同いただける出版社・著者のみなさまからのお声かけもお待ちしております。
<掲載記事リンク>
『堕天使拷問刑』の著者、小説家 飛鳥部勝則最新刊『フィフス』 を、(株)書泉が「芳林堂書店と、10冊 第2シーズン」の第1弾として同人誌で出版致します! 2024年11月5日(火)より予約受付開始!!
https://news.biglobe.ne.jp/economy/1105/prt_241105_8492432944.html
『ポケットモンスター』シリーズで知られるゲームフリークの歴史を描いた書籍「ゲームフリーク 遊びの世界標準を塗り替えるクリエイティブ集団」が復刊。本日より予約スタート
https://news.denfaminicogamer.jp/news/241217r