多くのレトルトカレーを開発する中でヒット商品にならない要因があることがわかりました。
≪レトルトカレーが売れない3大要因≫
1.OEM先の選定の失敗
2.パッケージを見ても買いたくならない
3.コンセプトが凡庸
これらを克服し、レトルトカレーを地域の活性化の切り札にしませんか?
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今や全国に数千種類存在するといわれるレトルトカレー。
生存競争が激しいこの世界で、ヒット商品を生み出し続けるヒットメーカー、井上岳久について紹介します。
※レトルトカレーに関する質問や問い合わせ、開発やプロデュースについて取材を歓迎します。
【 プロフィール 】
井 上 岳 久
レトルトカレー開発プロデューサー
(株式会社カレー総合研究所代表、カレー大學学長)
商社勤務や横濱カレーミュージアムの責任者を経て、コンサルタントとして独立。2008年に株式会社カレー総合研究所を設立。企業や自治体に対してPRや商品開発のコンサルティングを多数手がける一方で、カレーの専門家としてテレビ、新聞、雑誌など年間100以上のメディアにも出演。カレー業界ではカレーメーカー、スパイス商社、カレー店、外食産業、小売店など幅広いネットワークを形成し、日々、カレービジネスを精力的に展開している。カレーミュージアム時代の2002年に全国初のレトルトカレーミュージアムを立ち上げ、現在のレトルトカレーブームの先鞭をつける。プロデュースしたレトルトカレーは300品を超え、監修やアドバイスなど開発に携わった商品は軽く1000品を超える。その大半が販売目標数を大きく上回るヒット商品になっている。レトルトカレーのバイブル『日本全国ご当地レトルトカレーカタログ』(株式会社ダイアプレス)を監修している。著書は、『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)、『カレーの経営学』(東洋経済新報社)、『一億人の大好物カレーの作り方』、『国民食カレーで学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』、『カレー雑学』(日東書院本社)、『おとう飯カレー』(徳間書店)、『?哩なる広報』(ごきげんビジネス出版)など20冊以上。事業創造大学院大学客員教授。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。慶應義塾大学、法政大学卒。中小企業診断士。加須市観光大使。株式会社カレー総合研究所代表、カレー大學学長。
第1部 日本を代表するレトルトカレー開発プロデューサー=井上岳久とは?
コンスタントにヒット作を生み出すレトルトカレー界のヒットメーカー
生存競争が激しいレトルトカレーの世界で、コンスタントにヒット作を生み出し続けている一人のプロデューサーがいます。その名は井上岳久。カレー総合研究所やカレー大學を運営し、カレーの専門家として多くのメディアにも出演しているカレー界の第一人者です。
中でも「レトルトカレー」に関しては、2001~07年に運営し、井上が責任者を務めていた横濱カレーミュージアムで、それまで全貌が明らかになっていなかった全国のご当地レトルトカレーを集めたコーナーを作り、レトルトカレーブームを巻き起こした火付け役でもありました。
全国のレトルトカレーを少なくとも3000食は試食し、その世界を熟知した井上は、グリコなど大手メーカーと組み、あるいは地方自治体や各地の商工会などから依頼を受けて、数多くのヒット商品を開発してきました。一方で売れないレトルトカレーの再生依頼も殺到し、多くの商品を蘇らせてきました。近年のレトルトカレーでのヒット商品には「アスメシカレー」(加須市振興雇用協議会)、「野菜が主役のカレー」(JA東京むさし)、「甘酒カレー」(河内本舗)、「焼き肉の後の〆カレー」(マルマン)などがあります。
信頼される理由は?
世の中には商品やマーケティングの知識を持たず、自ら名乗るだけの“なんちゃってプロデューサー”が大勢存在しますが、本当の知識がなければ売れる商品は作れません。その点、井上には学問と経験に裏付けられた豊富な知識があります。
[理由1]大学の客員教授も務めるマーケティングの専門家で、マーケティングプランナーでもある。売れる商品に対する確かな目を持っている。
[理由2]合格率わずか3%ととも言われる中小企業診断士の資格を持ち、経営にも精通している。商品の開発には経営者の目も必要。
[理由3]農林水産省から地域再生を仕掛ける専門家「地産地消の仕事人」の認定を受けている。地域の産業を盛り上げるノウハウも持ち合わせている。
[理由4]独自の発想法を習得し、開発アイデアは尽きない。また全国に人脈を有し、多様な企画に合った企業やスタッフをそろえることができる。
[理由5]これまでの実績が豊富で、実際にヒット商品を生み出し続けている。
以上のような理由から、他のプロデューサーたちとは一線を画した存在として、多くの依頼者たちから仕事を任され続けているのです。
横濱カレーミュージアム時代に現在のレトルトカレーブームの礎を構築した!
2000年代初頭、当時ほとんど知られていなかった「ご当地レトルトカレー」に着目したのが井上でした。全国的に調査すると、各地の特産品などを使ったユニークな商品が多数存在。当時責任者を務めていた横濱カレーミュージアム内に「レトルトカレーミュージアム」を開設して50品を一堂にそろえたところ、一気に他の全テナント10店をしのぎ、売り上げ1位の人気コーナーとなりました。その人気とラインナップの面白さに目を付けたビジネスマンたちが多数調査に訪れた他、多数の取材が入り、メディアを通じて「ご当地レトルトカレー」の存在が広く認知され、ブームの火付け役となったのです。販売商品も50品から100品、300品と増えていきました。
そうした盛り上がりを受けて、日本各地で新たなレトルトカレーが雨後の筍のごとく誕生。常時3000種以上が存在するようになり、ついに500億円市場にまで成長しました。現在では「ご当地レトルトカレー」を集めて販売するサイトやショップは数多く存在し隆盛を誇っています。2017年に、それまで日本のカレー消費の中心だった「カレールウ」を市場規模で抜いたことは、業界に大きな衝撃を与えました。この流れの基礎を築いたのも井上だったのです。
第2部 レトルトカレーに関する実状と井上岳久ならではの戦略とは?
実はレトルトカレーの開発は難しく、売れない商品も多い
こうして非常に人気を得ているように見えるレトルトカレーですが、実は生存競争が厳しいジャンルでもあります。
全国にはまちおこしのために、当地名物のレトルトカレーを開発すようとする自治体が後を絶たず、市場にはあらゆる具材のレトルトカレーが百花繚乱です。
しかし500品ほどの新商品が毎年市場に投入される一方、500品ほどは売れずに市場から去っており、競争が激化している厳しい実状があります。地域のまちおこしで全国を訪問する機会が多い井上は、日本各地で製造したご当地レトルトカレーが売れ残り、販促用に作った幟やポップなどが埃をかぶっている寂しい光景に、愕然とすることが多々あります。常時3000種類存在するといっても、定番で売れているレトルトカレーは100~200種類といわれ、販売しているだけで売れていない商品も多いのです。
なぜ多くのレトルトカレーは失敗し、すぐに終売になるのか?
なぜ多くのレトルトカレーが失敗に終わるのか、その第一の原因は、開発者の多くがレトルトカレービジネスの本質を知らずに開発及び販売を展開していることにあります。率直にいえば、レトルトカレーを作ること自体は、さほど難しいことではありません。世の中にはレトルトカレーを製造できるメーカーは山ほどあり、食材を決めれば、作るだけならすぐに作れるからです。
けれど井上は、「カレーなら誰でも作れる」と安直に考えて、地域の特産品を入れただけで、美味しくもなく、ちっとも売れないレトルトカレーをたくさん見てきました。簡単に売れるほど甘いものではないことは、これまでの経験でよく分かっていたのです。一方で、成功に不可欠なポイントも見えてきました。
レトルトカレー成功のための6つのポイントとは?
1)コンセプトメイク
売れる商品にはコンセプトが必須です。「にんじんの特産地だからにんじんを入れた」だけや、「○○の女将が作った」だけでは商品は売れません。それを超えて、消費者を引き付けるコンセプトを作り出すことが重要です。
2)OEM先の選定
先述のように、レトルトカレーの製造技術を持つメーカーは多数存在します。その中でもインド風・欧風どちらが得意なのか、辛口が得意なのか、スパイシーとコクがあるのとどちらが得意なのかなど、メーカーにも得手不得手があります。その特質を熟知して、最も適切なメーカーを選定しなければなりません。
3)売れる味への仕上げ方
マジョリティが好む「売れる味」があり、それをベースに対象層の好む味に向けて仕上げていくのがプロの技です。これは10,000食以上も試食した舌だからこそわかる感覚なのです。
4)パッケージデザイン
多数の商品が並ぶ陳列棚で、手に取りたいと思わせるパッケージデザインの役割も重要です。インターネットが発達した現在では、地方在住の優秀なデザイナーに発注することも容易になりました。多くの才能と出会えるよう、日々アンテナを張っている者が、よりよいクリエイターに発注できるのです。
5)販売主体者の情熱醸成
地元の商工会などにやる気がある人たちがいることも重要ですし、販売を委託する問屋などが本気で販売してくれると百人力です。販売主体者たちを上手にノセて、売る情熱を醸成することもプロの力です。
6)プロモーション
ご多聞に漏れず、レトルトカレーもコストをかけないPRが求められます。マスメディアにいかに取上げてもらい、消費者に知ってもらえるかが売れ行きを大きく左右します。井上はPRのプロなので、効果的なメディアへの露出法を熟知しています。
第3章 井上が成功に導いたレトルトカレーの事例
1)埼玉県加須市「アスメシカレー」
埼玉県加須市の外郭団体である加須市振興雇用協議会からプロジェクトでレトルトカレーの開発依頼を受けました。条件は「加須市産いちじくを入れること」で、要望は「地元を代表するお土産品を作ること」でした。
◆開発から発売までの流れ
井上が知る限り、いちじく入りレトルトカレーは全国に多数あり、単にいちじくが入った商品では売れないことはわかっていました。そのため、全国的に有名な施設など他の観光資源と掛け合わせ、いちじくを入れた上で加須市の特性が盛り込めるアイデアをメインに検討しました。
候補に挙げた遊園地など数社に打診しましたが、ビジネス的に難しいと思われて断られることが相次ぎました。けれど最終的に、最も望ましかった甲子園優勝校の花咲徳栄高校に決定することができたのが幸運でした。花咲徳栄高校はアスリートを養成するのに定評のある学校であり、食の専門家を養成する食育実践課もあるため、生徒たちとカレーを共同開発することにしました。ポイントは体を鍛える人たちの間で近年関心が高まっているタンパク質を入れ、1食で30g超の高配合にすることでした。
肝心の味は、10回ほど試作を繰り返しました。関係者が多いと様々な希望が出てまとまらないのが常ですが、「これ以上タンパク質を入れると、苦くなって万人が好む味から外れる」など明確な判断基準を井上が持っているため、そこを信頼してもらい、味をまとめることができました。
そうして95%完成したものに、最終的ないちじくの量を花咲徳栄高校の食育実践課の生徒とともに試作して決めました。いちじくを入れても甘くなり過ぎず、かといっていちじくが分からなくならない境目が難しかったですが、生徒たちには事前にカレー大學の出張講義をしていたので、スムースに議論することが出来ました。
OEM先のメーカーは、井上の提携先の中から今回のコンセプトに適切な10社程度に条件を打診し、万人向けの味を作ることに長け、関係者からの信頼度も高いハウス食品の子会社に決定しました。
パッケージは提携デザイン会社やデザイナーの中から3~4人を選出。各5案程度を提出してもらい、最も消費者に響く1案を採用しました。水色は花咲徳栄高校のユニフォームカラーで、地元の人ならすぐに分かる色なのでメインに使用。単品では出来が良くても、スーパーに並べると埋もれてしまうこともあるため、カレーにはあまり使わない色なのも好都合でした。
花咲徳栄高校の食育実践課ではもともと、アスリート育成のためのメニューを「アスメシ」(=アスリート飯)と呼んでおり、商品コンセプトにも合っていて語呂も良かったため、そのまま商品名に採用。
ネット上では市関連のHPが多数あるため、極力載せてもらえるよう持ちかけ、広報面では記者発表に市長に出席していただき、地元のテレビや新聞にも多数掲載がありました。プレスリリースも「スーパーに導入」「〇千個達成」など機会を見て配信を繰り返し、日経新聞や産経新聞など全国紙にも掲載があったことは大きな成果でした。
いよいよ迎えた発売日、最初は地元商店の店頭でテスト販売をし、消費者の反応を見ることにしました。すると当初1か月の販売予定分が10日で完売、実質的には3日で初回製造分の受注が完了。予想を上回る好反応に慌てたのは依頼主でした。本来はテスト販売後すぐに全国展開する予定でしたが、まずは地元分の商品を確保することに専念。
増産して、1か月半後にようやく全国に向けて販売を開始しました。すると半年で販売が1万個を超え、ご当地レトルトカレーではヒット商品のレベルに達しました。全国的には知名度が低い加須市発の商品としては、期待値をはるかに上回る売れ行きを、今でも示し続けているのです。
成功のポイント
最大のハードルは加須市には観光資源がないことで、コンセプトメイクには苦労しました。しかし提携先が花咲徳栄高校に決まったことで一気に展望が開けました。やはり甲子園優勝校のネームバリューは大きい上に、同校に食育実践課があったため共同開発できたのも、単に名前を借りるだけでなく実質的なつながりが出来て商品力につながりました。また井上自身が近年、タンパク質配合食品が流行しつつあることに目を付けており、商品コンセプトにうまく結びつけられたのも功を奏しました。
販売業者の頑張りもキーポイントでした。依頼したのは地元の有力酒販卸業者で、食品卸には馴染みが薄いため、当初は難色を示したのですが、井上が「地元の発展のため」と口説いて引き受けてもらえました。同社はちょうど新型コロナ感染症の影響で酒類の販売が減っていた時期だったため、非常に力を入れてくれてヒットに結びつきました。
またこれは井上が常に感じていることですが、ご当地商品をヒットさせる最大のポイントは「地元を味方に付けること」です。観光などで訪れた他地域の人は、物珍しさで1回は購入してくれますが、それきりで終わるケースがほとんどです。けれど地元の消費者は、気に入れば何度でも購入してくれます。加須市にはこれまで、他地域の人に渡せる地元の土産品がありませんでしたが、アスメシカレーが完成したことで、手軽に配れる地元色のある土産品ができたと喜ばれています。スポーツで活躍する花咲徳栄高校を応援するなど、地元の活性化につながるコンセプトが作れれば、地元の人を味方につけてヒットにつなげることができるのです。
★その他にも、多数レトルトカレー開発に携わっております。
2)JA東京むさし「野菜を主役にしたカレー」
3)長野県飯田市のマルマン「焼き肉の〆カレー」
4)鹿児島県鹿児島市の七呂建設「鹿児島・黒豚プレミアムなキーマカレー」
5)大分県大分市のSAKAI「おおいた和牛の白いカレー」を開発
6)徳島県徳島市のリーベフラウ「阿波美豚 高級ポークカレー」
7)東京都のウエニ貿易「マイルーティーンカレー」
??? 気になる続きは、こちらをご覧ください
https://presswalker.jp/press/5792
「カレー総合研究所」は、 カレーを通した日本全体の食文化、 健康食としてカレーの普及による健康面からのアプローチなど、 日本総国民が大好物で国民食とまで言われているカレーをさらに盛り上げ、 発展させることを目的とします。
http://www.currysoken.jp/