東京23区の大規模オフィスビル供給量調査 '22

掲載日: 2022年07月11日 /提供:森トラスト

?22年以降5年間の供給量は過去平均を3割下回る~?21年に続き、?22,?24,?26年も過去最低水準~

森トラスト株式会社(本社:東京都港区)では、各種公表資料、現地確認およびヒアリングに基づいて、1986年より東京23区の大規模オフィスビル(オフィス延床面積※10,000平方メートル 以上)、2013年より中規模オフィスビル(オフィス延床面積5,000平方メートル 以上10,000平方メートル 未満)の供給動向を調査しており、以下に最新の調査結果を取りまとめました。※オフィス延床面積:対象が店舗や住宅、ホテル等と一体の複合用途ビルである場合には、オフィス以外の用途を除いた延床面積。〔調査時点:2021年12月〕    


■調査結果のポイント
1.供給量の推移
 ?21年の大規模オフィスビルの供給量は61万平方メートル に留まり、過去20年で最も少ない供給量となっ た。?22年、?24年、?26年の供給量は絞られる一方、?23年、?25年は過去20年の平均供給量115万 平方メートル を上回り、起伏の激しい供給環境となる。
2.供給エリアの傾向
 ?22-?23年は都心3区における供給が7割超を維持する。将来5年では、千代田区における供給 割合が低下し、中央区と港区の割合が増加する。特に港区は全体の5割を占めることとなり、今後 は港区を中心に供給が進む。過去5年では突出した供給量となっていた「大手町・丸の内・有楽 町」が、将来5年では上位10地区から外れ、「虎ノ門・新橋」「白金・高輪」「芝・三田」「赤坂・六本 木」「芝浦・海岸」といった、港区における開発が進む。
3.開発用地別の供給動向
 ?12年以降の開発用地別の供給動向の割合を追うと、都心3区における「低・未利用地(再開発 等)」の開発が拡大していることがうかがえる。「建替え」が供給の中心であった大規模オフィス ビルの開発用地が、「低・未利用地(再開発等)」へとシフトしている。
4.中規模ビルの供給動向
 ?21年の中規模オフィスビル供給量は7.4万平方メートル となり3年連続で前年を下回ることとなったが、 ?22年は一転して12.1万平方メートル まで上昇する。将来2年の平均供給量は10.2万平方メートル となり、過去10年の 平均供給量10.6万平方メートル と同水準の供給となることが予測される。

【総括】
 ?21年の新築大規模オフィスビルは供給床の約9割でテナントが内定している。?22年は約5割、?23年は 約3割が内定しており、新築ビルの需要は底堅い。既存ビルに目を向けると、都心5区の空室率上昇トレン ドは?21年下期で落ち着いた。?20年に落ち込んだ成約総面積も?21年に反転し、?22年には一定水準まで 上昇する見込みである。賃料も一部エリアでは?19年と同水準まで浮上するなど、堅調に推移している。
 このような賃貸オフィスマーケットの動向は、企業がワークプレイス戦略の再構築を保留する「様子見」 姿勢から脱却したことを示唆している。テレワークの普及が、対面コミュニケーションの重要性を認識する 機会となり、オフィス回帰傾向が強まっている。ワーカーエンゲージメントの低下や企業文化の希薄化を 危惧する企業は、自社ブランディングや自社文化の伝播、ワーカーのウェルビーイング向上等の広範な観 点からセンターオフィスの役割を再定義し、メッセージとして空間に落とし込むことで、対面コミュニケーシ ョンの質の向上を図り始めている。このような底堅い需要に加え、今後5年間の大規模オフィスビルの平均 供給は過去20年間を約3割下回る低水準となっており、需給バランスは締まっていくと見込まれる。
 社会やライフスタイル、働き方の変化が目まぐるしい時代だが、成長やイノベーションという企業の変 わらない需要に対し、ディベロッパーは時代を捉えた空間サービスを提供し、日本経済の持続的な成長に 貢献することが求められる。

<調査概要>
調査期間:2021年1月1日~2021年12月31日
調査主体:森トラスト株式会社
調査対象:オフィスビルの供給動向
調査方法:各種公表資料の参照、現地確認、ディベロッパーヒアリング

※詳細については以下のURLをご参照ください。
https://www.mori-trust.co.jp/pressrelease/2022/20220705.pdf

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